ヨーロッパ観劇遠征③ ベジャール・バレエ・ローザンヌ(ロベルト・ボッレの「ボレロ」) | 明日もシアター日和

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観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。

BBL(ベジャール・バレエ・ローザンヌ)トリプルビル@アルチンボルディ劇場 in ミラノ

 

 ロベルト・ボッレさまの「ボレロ」を、それも本家BBLと共に踊るのを観る日が来るとは……この巡り合わせに感謝の涙です🙏 ボッレさまがBBLに客演でメロディーを踊るのはこれが2度目らしい。

 

シンプルモダンなミラノ・アルチンボルディ劇場。

 

「ボレロ」

ロベルト・ボッレ

 

  

 

 はあああああ~😭😭😭素晴らしかった~! ボッレさまの年齢(48歳!)を思い寛容な気持ちで観なくてはと思っていたけど、とんでもなかった。最初から全力で(セーブしているように見せず)最後まで攻めてきた。硬質だけど、シャープというよりしなやかなメロディーだった、神々しかったー✨

 なんといっても、あの上半身、あの肢体、ダンサーとしてのあの理想的なプロポーション(←個人の感想です🙇‍♀️)を持った「動くギリシャ彫刻」ですから💓 ひとつの振りから次の振りへの滑らかな動き、綺麗に決めてくる個々のポーズ、どこをどう切り取っても絵になる。特に胸板~肩から上腕~前腕にかけての無駄のない筋肉が作るラインの美しさよ。腕を広げた時のフォームは圧倒的で、その腕が大きく動くたびに空間が支配され、脚は上体に合わせて音を刻み優雅に動く。リズムたちを扇動する全身の動きには力強さと勢いがあり、こちらも思わず誘い込まれ身を乗り出してしまう。

 もう何度も踊っているメロディーを完全に自分のものにしていた感じでした🎊 野生的とか情熱的とかカリスマ的とか、そういうのではなかったんだけど、神聖さを纏っていた。肉体表現の原点に立ち戻り、メロディーをゼロから構築しているような、そこにボッレさま独自の神を宿しているような、そういう尊さでした。最後のカタルシス、その崩れ落ちる姿がスローモーションになって私の脳裏で何度も繰り返される……。カテコでジルが登場、赤いテーブルの前で2人が抱き合うところで涙出そうでした。

 

「ギリシャの踊り」

オスカー・シャコン/アンジェロ・ペルフィド/クウィンテン・ギリアムス/大橋真里

 これは、もう「お帰りなさい、オスカー・シャコン‼️」に尽きます。BBLにはあなたが必要なんですよ~😭 2016年に突然の退団、(妊娠をきっかけに?)やはり退団したカテリーナ・シャルキナとの間に子どもをもうけ家族ができたとはいえ、辞めた理由がわからず本当にショックでした。それがいつの間にかBBLに復帰していた(昨年それを知りました)。そして今回、彼が再び「ギリシャの踊り」でいつものソロを……。鋭く且つ滑らかな踊りは健在、登場するたびに視線が釘付けになる不思議な存在感もそのまま、そしてヘアスタイルも変わっていなかったです😊 それにしても、この作品はいつ観ても素敵だわ〜。

 ちなみに「ギリシャの踊り」と「Alors on Danse……」ではカテコ風景の撮影🙅でした。「ボレロ」のあとは撮り放題だったんですけど。

 

「Alors on Danse……」

ジャスミン・カマロタ/ジュリアン・ファヴロー/エリザベット・ロス/大貫真幹

 ジル・ロマンが22年に振付けた作品です。その前年に亡くなったパトリック・デュポンへのオマージュだそうで、そういえばパトリックはベジャール作品たくさん踊りましたよね。いくつかのダンス・スケッチを組み合わせたもので、エスニック味のある音楽が多く使われており、でも最後はボブ・ディランの曲。踊る喜びを感じさせる小品集という感じで、コミカルな雰囲気のものもありました。でも、パトリックへのオマージュというのはあまり感じなかったな。彼が踊ったベジャール作品の片鱗を組み込んでいるのかなと思ったんだけど。メインで踊ったのはジャスミンですが、ジュリアンエリザベットもそれぞれパ・ド・カトル踊ってくれました。ジュリアンの踊る姿を見られたのがとっても嬉しい💖 ジュリアンももう45歳。あとどれだけ彼のダンスを観ることができるのだろう😢

 

以下は余談です。この公演、夜の9時に開演なんですよ。日本だったら公演によっては終演する時間ですよね。皆さんゆ~っくりディナーを楽しんでから、さてッという感じで劇場に向かうのかな。でも、9時に始まれば終演は夜11時を過ぎるわけで、しかも翌日は平日だし、う~ん、彼らの生活習慣、どうなってるんだろう🤔

 で、劇場に行ってからが色々びっくりでした。私はイタリアで観劇するのは初めてなので、この日に私が体験したことがイタリアのどの劇場でもあること=ふつうの光景なのかどうか分からないけど、体験談として書きます。えーと、アルチンボルディ劇場に来た観客のマナーに驚いたのです。なんかもう無法地帯だった……😓

 まず、開演時間の9時になっても幕が開かない、なぜなら、9時を過ぎても後から後からお客がダラダラと入ってくるから。しかも、慌てる風でもなく申し訳なさそうにするでもなく、普通に入ってくる。スタッフも急がせない。ようやく客席が埋まり始まった時は9時を20分以上も過ぎていた。開演は9時ではなく「だいたい9時ごろ」と捉えているのでしょうか💦

 そして上演が始まると、スマホを取り出して動画や画像を堂々と撮り始める人が……。それがあちこちで起こり、そのたびにスタッフが客席通路に入ってきて注意するわけです。

 そうやって撮影は治まったものの、今度はスマホで何かを見る人が後を絶たない、あちこちでポッ…ポッ…とスマホの光が瞬くのです。さらには、お隣同士でのおしゃべり……。私は前から6列目だったけど、右隣のカップルも左隣のご夫婦も後ろの友だち同士も、舞台を観ながら本当によく喋るんです💦 イタリア語だから何を話しているのか分からない、普通の騒音として耳に入ってくるのが、むしろせめてもの救いでした。

 で、この上演中のスマホ閲覧やおしゃべりを、周りの人は全く注意しないのです。マナーに反するという認識はないのですね〜😔 その人たち、上演に集中し鑑賞するってことをしないのかな?と思ったけど、終わると盛大な拍手と声援を送るわけで、サービス精神は旺盛。う……む、カルチャーショックを受けるってこういうことなのか。

 

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