キンキー・ブーツ」@シアターオーブ | 明日もシアター日和

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観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。

脚本 ハーヴェイ・ファイアスタイン

作詞・作曲 シンディ・ローパー

演出・振付 ジェリー・ミッチェル

小池徹平/城田優/ソニン/勝矢/ひのあらた/玉置成美

 

 とっても楽しかったです。この作品は、2005年の同名映画(ミュージカルではないけど、これがミュージカル舞台版の「原作」になった)を観てすごく気に入ったんですよねー。いかにもイギリスな社会性を背景に、これまたイギリス人好みのユーモアが散りばめられた、ハートウォーミングなお話。ミュージカル舞台は2016年のブロードウェイ来日版を観ました。日本人キャスト版は再々演だそうですが、私が観るのは今回が初です。

 

 知る人ぞ知る人気作品なのであらすじは割愛🙇‍♀️ 自分らしく生きる、なりたい自分になる、あるがままの他人を受け入れる、といったベタなテーマだけど、もう一つ、ミュージカル版は映画版よりも、父と息子の関係に焦点を当てた物語になっているんですよね。

 チャーリー(小池徹平)の父は息子に家業を継いでもらいたい、でも彼は恋人とロンドンでの生活を選ぶ(父の死により従業員のためにシブシブ家業を継ぐ)。ローラ(城田優)の父は息子にプロボクサーになってほしかった、でも彼はドラァグクイーンの道を歩む(父は息子と決別し高齢者施設?でぼんやりと暮らしている)。2人とも父が望んだ息子になれなかった、父の期待に応えられなかったという負い目を背負っている、そこが個人的にはけっこう刺さるんです😢 また、チャーリーの父は息子が継いで苦労しないように密かに工場を売却する予定でいたとか、ローラの父が最後に息子を受け入れ彼の手を握るとか、自分にとっての泣きポイントでした😭

 

 ミュージカルをあまり観ないのでそのレベルでの感想ですが🙇‍♀️ まずチャーリーの小池徹平がすごく良かったと言いたい👏 いまさら何を……と言われそうですが、私は彼の舞台は「ロッキー・ホラー・ショー」でのブラッド役しか知らないのよね。あのときも、あら良いじゃん?と思ったけど、今回、ミュージカル俳優としての彼の実力をしっかり記憶に留めました。

 チャーリーは一見すると普通の青年。ちょっと不器用でローラに対して自覚していないけど偏見もあるし、苛立って従業員やローラを傷つける言葉も言ってしまう。でも自分の過ちに気づいて修正する勇気や、ここぞというところで踏ん張る強さがある……それは徹平くんの等身大の姿に見えたし、精神的に成長していく過程もクリアになっていて感動を呼びました。

 

 城田優のローラはあの容姿ゆえの輝くオーラと圧倒的な存在感を放っていましたね✨ それと同時に、華やかさとは裏腹の、心の陰りや悩み、葛藤、弱さといった繊細な感性を丁寧に表現するのが城田くん本当にうまい。ローラになる前のサイモン(=本名)だった時がどんなだったかも想像できるし、偏見や差別を受けることより父に見捨てられたことの方が何倍も辛いという、その痛みが伝わってきた。だから最後の父との和解のシーン、城田くんの大きな体がまったく目立たなくなっていて、1人の息子に戻っていたな。あと、歌は申し分ないけど、ドラァグクイーンとしてのダンスはもっと弾けてもいいと思ったし、女性的な部分がもう少し見えるといいかもね(偉そうにすみません💦)。

 

 ローレンはソニンです。ソニンはどんなお役でも手堅く演じられる本当に良い役者さんだなといつも思っていて大好きなんだけど、このローレンについては(まあ、初演から役作りしてきているわけだから今更どうのこうもないんだけど🙇‍♀️)、ちょっと作りすぎな感じがして、そのせいかセリフが流れてしまい聞きづらいときがあったのが残念。

 でも全体としては、多くのキャストにとって再々演となるからか、安定感と深みがあって良い意味でこなれていて、アンサンブルのチームワークも完璧🎉 シンディ・ローパーの曲と詩がまた、どれもすごくいいんですよね。それに合わせた振り付けもキラキラで、1幕最後のベルトコンベアを使った「Everybody Say Yeah」、そしてカンパニー全員で締める「Raise You Up/Just Be」は最高でした。あと、城田ローラの「Hold Me In Your Heart」も好きだ〜!

 

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