劇団昴「クリスマス・キャロル」@座・高円寺 | 明日もシアター日和

明日もシアター日和

観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。

原作 チャールズ・ディケンズ

脚本 ジョン・モーティマー

演出 河田園子

宮本充/伊藤和晃/牛山茂/林佳代子/笹井達規/米倉紀之子/山口研志/田徳真尚/加賀谷崇文/美輪学/矢﨑和哉

 

 ディケンズの小説を戯曲化した作品。劇団昴ではこの「クリスマス・キャロル」を1991年初演以来、数年置きに台本、演出、キャストなどを替えて上演してきているそうですが、私は今回が初見。スクルージが自分の行いを改心して良い人に生まれ変わるというこの小説は、彼がクリスマスの精霊に導かれて自分の過去・現在・未来を見せられるという幻想的な設定は別としても、道徳色が濃くて個人的には特に好きではないけど、それをどう料理してあるのだろうという興味から観ました

 以下、辛口ですが、物語が完全に小説の通りに展開していくのは、まぁ良いとしても、脚本も演出も、良く言えば手堅く正攻法、悪く言えばメリハリがなく単調で、私は途中で飽きてしまい気を取り直してまた集中するというのを、3回ほど繰り返しましたよ💦  物語が “説教くさい”というネックがあるとはいえ、脚本家や演出家なりの解釈が入っているとか、ある部分を強調するとか、焦点をギュッと定めるとかがなくて、小説通りにただなぞっているだけだからさー😔

 

 特徴的だったのは、芝居を俯瞰的に見つめる外枠として3人の進行役が登場すること。手に本を持ち、役者が演じている所々で登場したり後方で見守ったりしながら、小説の一部を3人が交互に朗読する。ト書きのようでもあり状況説明のようでもあり、私たちはページをめくりながら、その入れ子になっている「クリスマス・キャロル」の物語を読んでいるような感覚になる。

 スクルージは序盤こそ冷酷無慈悲だけど、マーレイの亡霊が現れたあたりから、どこか気弱で情けない老人になっていた。精霊に導かれている間はコミカルな部分も割と見せていて、全然意地悪な男じゃない、むしろ、ちょっと可愛いお爺さんになっていました😆  う〜ん、何かもうちょっと皮肉を効かせるとか遊びを持たせるとかほしかったな。原作がそうなんだけどさ、人非人のスクルージ、あまりにもすんなり心を入れ替えすぎるんだよね。そういえば、精霊と一緒に時空を旅するときは、原作に描かれているジョン・リーチのイラストまんまの姿でしたね。

 

 マーレイの幽霊と、過去・現在・未来のXマスの精霊の造形がそれぞれインパクトある工夫がされていました。黒いボロを纏い重そうな鎖に繋がれたマーレイの幽霊は見た目が本当に怖くて、スクルージと同類だっただろうと思わせる悪人ぽさが漂っていた。過去の精霊は白×銀のフォーマルスーツ姿で、宝塚の男役さんのレビュー風にキラッキラで登場✨ 現在の精霊はグリーンのゆったりしたロングドレスで森の妖精風。未来の精霊は真っ黒なローブを頭からかぶって顔は見えず、袖から伸ばした骸骨の手(人差し指でポイントしている)が不気味でしたが💀  最後、ファンファーレとともにローブを脱ぐと牧師っぽい衣装になっているのが笑った😅

 舞台の下手上方にスクルージの寝室、上手には張り出し舞台風セット、中央には橋状の舞台があって、空間をうまく使った立体感ある舞台セットでした。精霊たちがスクルージを連れて夜空を飛ぶシーンはもう少し幻想性がほしかったですけどね……。

 劇中、色々なクリスマス・キャロルが歌われるし、セリフで「Merry Xmas!」を連発するので、すっかりクリスマス気分になって帰路につきました〜🎄

 

にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 演劇(観劇)へ
にほんブログ村


観劇ランキング

明日もシアター日和 - にほんブログ村