オンライン観劇 パリ・オペラ座「オープニング・ガラ」@ガルニエ宮 | 明日もシアター日和

明日もシアター日和

観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。

 

↑いつまで視聴可能か不明。

 

「デフィレ」

振付 アルベール・アヴリーヌ/セルジュ・リファール

音楽 エクトル・ベルリオーズ

 無観客で行われたガラ公演。冒頭、空っぽの客席が映されて胸が痛みました😢  ダンサーたちがマスクを付けて登場するのも前代未聞の光景。確かにステージ上は密だけど飛沫が飛び交うわけではないし、そこにはメッセージ性を感じたな。マスクをしていると身体や動きに一層目が行きますね。手指の先、つま先まで神経を行き届かせた、流れるような歩みは芸術そのもの。

 エトワールが奥の暗い闇からフワッと突然現れるように登場するのもドラマティック。エトワールたちのレヴェランスは少しずつ違うけど、特にアマンディーヌはたっぷりとタメを取り腕の振りも大きくて、ひときわ華やかだったー😊  ミリアムの腕のしなやかな表現も綺麗、スキンヘッドのアリュが超カッコ良し。女性エトワールは10人のはずと思ったら、エレオノーラ・アバニャートは昨年引退したんですね。2019年12月にアデュー公演の予定だったけど年金問題に絡むストで公演がなくなり、その後はコロナ禍で……というのが気の毒😔  最後に全員が揃ったフォーメーションは圧巻だけど、拍手がなくて、ダンサーの気持ちを思うとまた辛くなりました。

 

「グラン・パ・クラシック」

振付 ヴィクトル・グゾフスキー

音楽 ダニエル=フランソワ・E・オーベール

ヴァランティーヌ・コラサント/ユーゴ・マルシャン

 2人の笑顔が眩しい。最初は少し緊張しているように見えたけど(緊張していたのは観ている自分だったかも😅)ヴァランティーヌの滑らかな踊りが空気をどんどん和らげていったような……。いつもつい気になるのは前半の、女性がポワントでバランスを取っている間に男性がトゥール・アン・レールし、2人同時に片膝を突いてポーズ!というシーン、今回は2回までタイミングが合って思わず拍手(ヴァランティーヌがタイミングを合わせてゆっくり片膝を突くという気遣い)。

 ヴァリエーションは2人とも輝いていた。ユーゴはジャンプの力強さと脚の伸びやかさが美しく、アントルシャも綺麗でしたね😍  ところでユーゴは太ももの外側筋肉の張りが増した? それあってこその安定感と瞬発力だとは分かりますが。そしてシャネルの衣装が素晴らしい。青みがかったダークグレイが洗練されたニュアンスを醸し、星の装飾の散らばり具合も絶妙で、最高にゴージャスでした。

 

「イン・ザ・ナイト」

振付 ジェローム・ロビンズ

音楽 フレデリック・ショパン

リュドミラ・パリエロ/マチュー・ガニオ

レオノール・ボラック/ジェルマン・ルーヴェ

アリス・ルナヴァン/ステファン・ビュリオン

 複雑なステップとパートナリング、そこに感情や心理を乗せて描かれる男女の心情ドラマ。ペアによっていろんな解釈ができるけど、3組それぞれ登場の仕方と、腕を伸ばした時の表現が違っていて、そこに今回の3組の物語を見ました。

 リュドミラとマチューは2人とも後ろ向きで登場。リュドミラが背を向けているシーンが多く、目を合わせてもスルリと逃げていくし、伸ばした手はすれ違い触れることはない。愛が冷めかけているよう😢  レオノールとジェルマンは腕を絡ませ正面向きのポーズで始まります。同じ振りで踊り、何度も目を合わせ、伸ばした手は触れ合う。不安もあるけど少しずつ気持ちを確かめ合い愛を育もうとしている若いカップル☺️  アリスとステファンのパートは、ステファンにリフトされて登場するアリスが、そこから自由になろうと感情をほとばしらせる。互いに伸ばす手は反発し合う磁石のように跳ね返るのね💦  アリスの強さに対してステファンの表現がちょっと地味に感じたな。

 最後はどのカップルも理解や信頼、和解を通して愛の絆を確認するんだけど、皆が出会いそれぞれの振付で静かに踊るパートがとても好き。個人的にはリュドミラ&マチュー・ペアのダンスがジワッと胸に染みました。

 

「The Vertiginous Thrill of Exactitude」

振付 ウィリアム・フォーサイス

音楽 フランツ・シューベルト

アマンディーヌ・アルビッソン/リュドミラ・パリエロ/ポウル・マルク/ハナ・オニール/パブロ・レガサ

 このガラのフィナーレにふさわしい、観ているうちに気持ちがどんどん高揚していく作品。ダンサーたちの笑顔も輝いていて、楽しんで踊っている様子がわかる。それこそフォーサイスが望んだ表現でしょう。クラシックバレエの動きや形を、遊び心をもって自由に膨らませた感じの作品で、微妙にオフバンランスになりそのまま回転やステップに繋がって身体が流動する。確かに、厳密に計算された振りながらその揺れ動く不安定さは目がくらむような感覚やドキドキ感を呼び起こします。重層的な音楽と相まって、そのめくるめく動きが観客の気分を祝祭感で満たして、怒涛の終盤へ🎉

 超忙しいステップも、脚と上半身の動きの対比も、フォーサイスらしいシャープさやパワーよりしなやかさを感じるのはパリ・オペ仕様? 動きが醸し出す味わいは5人のダンサーそれぞれ微妙に違うけど、八菜さんこういう踊り合うなと思いました。

 

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