ベジャール祥月命日の公演に行ってきました。この大切な日を日本公演に充ててくれたBBLに感謝です。
開演前に、これまでの日本公演の記録映像を20分に編集した映像の上映がありました。観たことがある作品も多々あり、思い出が蘇ります。「バレエ・フォー・ライフ」でのジュリアンのみずみずしい姿を懐かしみ、ジルの「アダージェット」を観ながら、これを引き継ぐのは誰なんだろうと思い……。最後は「バレエ・フォー・ライフ」のフィナーレ「Show must go on」で、ベジャールが舞台中央に登場してダンサーを袖から一人ずつ迎えるんだけど、途中から、ジルがダンサーを迎えた回の映像に変わる。ベジャールからジルにバトンが渡されたことを象徴する、上手い映像編集でした。
今回の「ベジャール・セレブ」も、1部でジルの振付作品を、2部でベジャールの過去作品を見せるという構成。
第1部「テム・エ・ヴァリアシオン」
振付 ジル・ロマン
出演 モーリス・ベジャール・バレエ団
う〜ん、正直言ってあまり心を動かされなかったです、ジルごめん まず、音楽が苦手でした。抽象的な音楽がテープで流れて、ステージ上にいるパーカッション奏者がそこに音を重ねるように演奏する、効果音的なサウンド、私はまったくダメ。こういうとき、バレエ作品が好きになるか否かって、音楽が大事だなーとつくづく思うのです。
この作品は、ジルがベジャールに宛てた、現在のカンパニーの姿を綴った日記というコンセプトだそうです。が、私の理解力や感性が足りないせいか、残念ながら伝わってくるものがあまりなかったなー。物語はなく、バレエスケッチのオムニバスです。ダンサーたちの日々の様子や人間関係などをダンスで表現したのかな、頭にトゥシューズを乗せて踊ったり、片足だけトゥシューズを履いて踊ったりというユーモラスなシーンもあるし、パートナーを巡って争ったり和解したりというドラマも描かれているみたいだけど……いろいろ象徴しているのかも。ちょっとよくわからなかった。
後半になって、とくに男性ダンサーが複数で踊るシーンはベジャール色があり(結局、ベジャールの作品が好きってことですね)そのあたりでグッと引き込まれました。でも、全体としてみれば、自分の中でまとまらなかったです。
以前に見たジルの振付作品にも同じ感想を持ったんだけど、彼の作品には(音楽のチョイスも含めて)無機的な肌触り、ひんやりとした硬質な空気を感じる。暖かさとか感情、情念という有機的なものがあまりなくて、そこが自分としては作品に入っていけない理由なのかも。
ダンサーとしてのジルをファンとしてずっと見てきて、ベジャールの精神性をダンスで見事に表現していたと思うけれど、ジルはジルなんだと当たり前のことに気付くのでした。ベジャール作品が身体に馴染んでいても、自分の作品を創造するときに内側から出てくるもの(本来持っている感性)はまた別ということですね。
でもこの作品の最後で、全ダンサーが横一列に並び、どこかで見てくれているベジャールに向かって、空中に手紙を書く仕草をしたときは、ジワッと感動が込み上げてきました〜。
その②へ続く。