明日もシアター日和

明日もシアター日和

観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。


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原作 ジェフリー・チョーサー/ジョン・フレッチャー&ウィリアム・シェイクスピア

脚本/演出 ジョン・ケアード

出演 井上芳雄/堂本光一/音月桂/島田歌穂/岸祐二/大澄賢也/上白石萌音

 

 シェイクスピアとジョン・フレッチャーが共作した「二人の貴公子」をジョン・ケアードがダンス・ミュージカルにするって、そこに芳雄くんと堂本さんが出るって、期待度マックスキャッ しかも超良席 笑 見終わって、大きく誤解していたことが判明しましたQueenly「二人の…」を元にしているけど、結末を含め、大幅に改変してありましたびっくり

 具体的に言えば、「二人の…」では、エミーリア(大公ではなくヒポリタの妹!!)を巡る決闘でアーサイトがパラモンを倒すんだけど、アーサイトはその直後に暴れ馬から落ち がっかり パラモンにエミーリアを譲る遺言を残してアーサイト死亡叫び →パラモンとエミーリア結婚 Queenly パラモンを想う牢番の娘(エミーリアの幼馴染ではない!!)は失恋で気が触れ、彼女を慕う別の男がパラモンのふりをして結婚してしまうショックという、トンデモ結末青ざめ顔

 それが本作では、アーサイトはエミーリアと結ばれハート パラモンは牢番の娘への愛に気づいて結ばれハート その牢番の娘も、実はエミーリアの幼馴染で高貴な出だったことがわかり、2人の身分の差も解消(こういう改作版は17世紀にダヴェナントも作ったらしい)。さらにケアード氏は、意思が無視され「戦勝品」として扱われるだけの女性を現代風に書き変え、家族の再会(ヒポリタと妹たち)を盛り込み、シェイクスピアの祝祭劇風テイストを加えていましたパチパチ

 

 だからこれは、シェイクスピアの「二人の貴公子」のミュージカル版ではない。音楽・歌詞のゴードン氏が言うように「素材に自由に手を入れ独自の作品を作り上げた」もの。そうと分かって観れば、いや〜、楽しかったクラッカー 芝居、ダンス、歌(歌い上げるような、印象に残る曲は特になかったけど苦笑い)に見応えがあり、美術や照明もうまくマッチ、シリアスな中にコメディーの要素が入っていて、良質のエンターテインメント作品になっていましたぁahaha*

 空虚なプライドや闘争心と名誉に執着する男性たちと、物事の本質を見つめ現実的でより良い解決方法をさぐる女性たちとの対比も明確。女性たちの「女性の才能とウィットを使って男たちが馬鹿馬鹿しい戦いをするのを止めましょう」「知識と常識の女神が支配する世界を」と言うセリフがカッコいいです。

 

 芳雄くんのミュージカルは昨年冬の「ダディ……」以来だけど、やっぱり正統派ミュージカル俳優だワと再認識しました きらきら 伸びやかな声(歌声もセリフも)はますます研ぎ澄まされ帝劇の空間に響き渡るらぶ1 歌詞がセリフになっているという意味で歌が圧倒的に上手い。今までもそう感じていたけど、改めて納得ですきゃー

 芳雄くん演じるパラモンには陰り(ちょっと哀愁を背負っている)があり、理想と現実の間で本来の自分を探しているキャラ。最初にエミーリアを目に止めたときの芳雄くんは「美しいもの」を崇めるような表情だった(堂本さんは、彼女を見た途端に一目惚れしたキラキラ笑顔だったネ笑顔)。エミーリアを愛していると言ったときはアーサイトへの対抗心が明らかに出ていて、その後もエミーリアを見つめる眼差しは恋する男の表情ではなく、崇高な存在を遠くから見つめる目のままだった感じ。

 一方で、牢番の娘に対する不思議な感情が何なのか(それこそ恋心なんだけど)を手探りで確かめていく過程も良かったです。彼女を見る目が、最初は好奇心のある凝視から、最後にそれが温かい眼差しに変わっていく、それがよくわかりましたうっとり

 ストプレに出る芳雄くんに対しては、アウェイであることを承知で、厳しい見方をしてきたけれど土下座 今回観ると、そこで経験してきたことが確実に血肉になっていると感じました。歌やセリフのない時でも繊細な演技をしていて、もちろん今までもそうだったけど、ミュージカル風のパターン化された仕草が薄れ、役柄やプロットやシーンと自然に馴染んでいたのでした。やはり、ストプレという畑の違う役者さんや演出家と仕事をするのって大事だと思った。

 

 堂本さんの舞台を観るのは初めてです(映像でも観たことない)。基本、芳雄くんにロックオンして観ていたのですがニコ 堂本さんはさすがにスターとしてのオーラが半端ではなく、目が釘付けになる時がしばしば驚き顔 アーサイトは自分の感情に素直で目的を持ってまっすぐに行動する青年で、そのイメージにぴったり。ダンスや立ち回りのキレは期待に違わず、その勢いのある動き自体、逡巡しない一途な役柄と合っていました。ライバル心あらわにいちいち突っかかってくる苦笑いパラモンを、時になだめ、時に挑戦相手になり、時に無視し、というところは、彼のほうが少しお兄さん役なのかもと思ったり。

 2人とも、騎士としてのプライド、名誉を重んじる高潔さ、そのために死を恐れない崇高さなどを、美しい所作で見せていて、でも、そのために2人が競い合うところがコミカルになって面白いきゃぁ~ デュエットは、芳雄くんが高音パート、堂本さんが低音パートでハモる形で、2人の声質をうまく引き出していると思いました音符

 

 ほかの出演者の感想を書ききれなくなってしまったけど、岸さんと歌穂さんの、舞台を占める存在感が素晴らしくて、でも歌を聞かせるシーンが少なくてもったいなかったな凹 あと、東京バレエ団を退団した松野くんがアンサンブルで出ていて、鹿狩りシーンでの雄鹿の役、目の覚めるジャンプとステップを見せてくれて、ちょっと懐かしかったクラッカー右から

 舞台美術は、鳥の巣をイメージしたらしい。中央が編み込まれ、そこから枝が四方に伸びるようなデザインは地母神とか生命力とかを感じさせました。衣装や音楽はヨーロッパと日本の融合ということで、以前のケアード氏演出のストプレ「ハムレット」よりも違和感はなかったです冷や汗 兵士や騎士は日本の戦国の武将を思わせる甲冑姿、殺陣は日本の刀を持った戦いぶり、戦闘時の音楽は和太鼓、津軽三味線、笛がメインで、かなりカッコよかったな剣 殺されるときに真紅の布が翻ったり、背中の旗をもぎ取られたりという象徴的な演出も良かったです。セリフや歌詞の翻訳はケアード氏の奥さんだからこそ、十分コミュニケーションをとって練ったとは思いますが、韻文っぽさや語数制限のためか、日本語としてぎこちないときがあったのが少し残念。

 

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→その①からの続き。

 

第4部

「ウルフ・ワークス」 
振付 ウェイン・マクレガー

アレッサンドラ・フェリ/フェデリコ・ボネッリ

 フェリがこれを踊ってくれて嬉しい ジュエル・red ライヴ映像で観ましたが、すごく感動した作品です。今回は3幕の、入水自殺を覚悟したシーンでした。波打つ海の映像こそなかったけど、波の音が時に胸騒ぎ、時に安らぎを感じさせる。物悲しいシーンだけど、美しかった うっとり 絶望の淵に立って孤独に身を任せるフェリの身体が儚げで、波に身を任せるような浮遊感ある動きがアート。でもそこには人生を見据えたような心の強さも確かにあった。そのフェリと寄り添うボネッリの安定感と優しさ。ウルフを理解し過去の思い出の中で幸福を噛み締めあい、最後の安らぎを与えているようでした。

 

「マルグリットとアルマン」
振付 フレデリック・アシュトン

アリーナ・コジョカル/デヴィッド・ホールバーグ/ヨハン・コボー

 コジョカルの切ないマルグリットの表現、とても良いです クラッカー 幸福が一気に崩れていくのを必死に隠しつつ、ときどき覗くその片鱗に怯えながら、何とかアルマンの愛を受け止めようとする、繊細な表現が要求されるシーンで、コジョカルはまさしくダンスで演技していた。ホールバーグは愛にまっしぐらという性急な感じはないけど、純粋でナイーヴな良家の青年そのもので、伸びやかなダンスは端正でエレガント。よかったです 笑顔 いつも思うんですが、マルグリットの、七夕の短冊をいっぱい付けまくったような衣装、なんとかならないのだろうか がっかり

 

「プルースト―失われた時を求めて」より"モレルとサン・ルー" 
振付 ローラン・プティ

ロベルト・ボッレ /マチュー・ガニオ

 はぁ……きらきら 眼福でございました らぶ1 怪しく美しい、という陳腐な常套句しか出てこないのが情けない がーん 誘いかけ、求め、突き放し、引き寄せ合い、という何とも狂おしいPDD。このシーンは「天使の闘争」というサブタイトルが付いていて、邪悪な音楽家=闇の天使(ボッレ)が美貌の貴公子=輝く天使(マチュ−)を闇の世界に誘い込むのですが ハート 2人の美しさがまさに拮抗していて、まるで鏡を見合っているようにも見えた。時々2人が入れ替わったような、善と悪とが混じり合う瞬間があったような、不思議な錯覚を覚えました。ボッレがマチューを抱え、2人が腕を天に向けて伸ばすポーズ、あのままミニ彫刻にして飾っておきたい キャッ カテコでは、マチューは随分ほっとした表情で、ボッレは会心の踊りだったネみたいな笑顔で見つめ合い、萌え萌え ため息

 

「アー・ユー・アズ・ビッグ・アズ・ミー?」 
振付 ロマン・ノヴィツキー

レオニード・サラファーノフ/ダニール・シムキン/ダニエル・カマルゴ

 確か「バレエの王子さま」でもこの3人が踊りましたね。コレ、ほんっと楽しいです 笑 三人三様のダンススタイルが見られる。まず基本形?であるマラソンをするような動きに3人の個性が見えて面白くて、負けないゾみたいに互いに牽制し合うコミカルな演技もいい。途中でそれぞれが自分の得意技、超絶技巧を見せるハイライトシーンがあって、ドヤ顔するたびに、タイトル通り、俺の方がbigだぞという声が聞こえてきそう 冷や汗 カマルゴのトリプル(たぶん?)のトゥールザンレールはお見事でした びっくり

 

「ドン・キホーテ」 
振付 マリウス・プティパ

タマラ・ロホ/イサック・エルナンデス

 実はロホのキトリ、ちょっと心配だったんですが全くの杞憂に終わりましたー 土下座 ポワントキープの長さが尋常じゃなくて、笑ってしまうレベル。軸がぶれない力強い回転が気持ちよい。グランフェッテではトリプルを見せる余裕で、ロホの身体能力の高さに驚愕です びっくり ヴァリではセンスを持って登場。そのチャッ!チャッ!という使い方が小気味好く、ロホのダンスも軽快でした。エルナンデスは、サポートは問題ないし、テクニックも見事なものを見せてくれました。が、集中力が切れるのか、踊り終わったあと素に戻ったように見えたり、手足の先に神経がいき届いていないように見えたりしました Queenly 気のせいかな。

 

ファニーガラ

 今回は構成や衣装が一気にグレードアップした感じで、「眠れる森の美女」の結婚披露宴の席に、いろいろな人が招待されて大変なことになるという、大枠が作られていました。最後にオーロラ姫と王子が出てくるのかと思ったら、それはなくて、枠は閉じられずに終わったんだけど、あまりに楽しくてそういう緩さは関係なくなった。

 侍従長は指揮者のオブジャニコフ氏。前回も「(なかなか死なない)瀕死の白鳥」で登場してましたね。次の登場者を知らせるときに杖で床をトントンと鳴らすんだけど、その音がソフトすぎてもったいなかった 凹

 ポロネーズのメロディーに乗って王(アッツォーニ)と王妃(マチュー)を先頭に、招待客たちが続々と登場。アッツォーニはお行儀悪めの王、マチューは堂々としたゴージャスな王妃ですが、2人は下手の王座に座っていて、パフォーマンスは見せなかったけど結構ふざけていた。出番でないダンサーも舞台上に居て小芝居をしているので、あっちもこっちも見たい状態で困りました。ちょこちょこ登場していた医療班?のサーシャとかほとんどチェックできなくて がーん

 

For me formidable(マチアス/シムキン/ホールバーグ)

 何から始まるのかと思って待っていたら客席がざわざわしていて、振り返ったら1階通路にこの3人が おぉ! マチアスはピンクのドレスに身を包んだドラアグクイーン、追っかけしてる?のがセーラームーンに扮したシムキンとホールバーグ。マチアスがアズナブールの「For me formidable」を歌うんですけど、かなり上手くてびっくりびっくり 3人が観客をいじりながらそのまま下手通路を通って舞台へ上がり、そこでもノリノリで歌いまくるマチアス。会場内は一気にファニーモードですOK

 

佐々木さんのために(アレクサンドロワ/ラントラートフ)

 前回もそうだったけど、ファニーな中に一つは、ある程度きちんと見せる踊りがあって、今回はマーシャとウラドのPDD。ロマンティックで美しかったー。最後、カラになったオケボックスに足を投げ出して座って、会場のどこか上の方に居るであろう佐々木氏に手を振っていて、何か胸が熱くなりましたキラキラ

 

ジゼル(アイシュヴァルト/サラファーノフ)

 下手側にペラッペラの家の書き割りが出てきて、「ジゼル」だなと。最初に出てきたアイシュヴァルトのアルブレヒトがちっこい。家から出てきサラファーノフがキュートで可憐、しかも完璧にジゼルなりきっていました 驚き顔 ふわりとしたジャンプ、軽やかなステップ、ポワントでの回転、うますぎる、でも可笑しい キャッ ベンチに大股広げて座っちゃうし、花びら占いで大げさに悲しむし。アイシュヴァルトは帽子を取ると真ん中ハゲていて、申し訳程度に毛がポヨポヨ生えていて、2人のアンバランスが最高。PDDは当然アイシュヴァルトが翻弄され気味でした暑い

 

カルメンズ(ルーヴェ/エルナンデス)ホセ(ヴァルデス)

 ルーヴェ、う、美しい……らぶ1 でもって完全に弾けていました。ボブヘアがお似合い、メイクが決まってる、衣装がセクシーQueenly 何よりいいのは全く照れることなく、なりきってカルメンを踊っていたこと。腰のひねり、腕のしなり、気取ったポワント、脚を顔の前までスッと上げるあのポーズもお見事でしたびっくり それに対してエルナンデスは照れ臭いのか、なりきり方が中途半端でした 苦笑 最後は倒れてどこかに連れて行かれてしまうし、あれどういう設定なのだろう。ルーヴェだけでも十分目の保養になりましたが、せっかくカルメン“ズ”と2人を強調しているのだから、セクシー系とマッチョ系のバトルとか、もっと違う演出がほしかったな 冷や汗

 

猫(ボラック/フォーゲル)

 巨大なキティちゃんの顔を頭につけたメス猫のフォーゲル、全くわからなかったーOK セーラームーンもそうですが、日本のアニメの浸透率はすごいのですね。オス猫ボラックとのやりとりが軽快で、最後、ボラックにやりこめられるフォーゲルのしぐさが可愛い。

 

ドン・キホーテ(ロホ/シムキン/ホールバーグ)

 ロホのバジルを挟んでセーラームーン姿のシムキンとホールバーグが登場し、パ・ド・トロワ。コスプレ男性2人のしなやかでダイナミックな回転がお見事でしたパチパチ

 

青い鳥(コチェトコワ/レヴァツォフ)

 登場シーンでは男女逆の「青い鳥」が見られるかと思ったけど、コチェトコワが踊り始めたら、黒衣姿の人が出てきて(これがレヴァツォフだったのね)彼女を持ち上げてジャンプを大げさに見せるという展開でした 苦笑い 踊らなかったのはレヴァツォフが準備不足だったからかな。

 

スパルタクス(バデネス/カマルゴ)

 カマルゴは毛深いフリーギアで、腕を上げると脇毛(付け毛)がもっさり 叫び ポワントも見せましたね。バデネスのスパルタクスはちっちゃいんだけど、腕立て伏せして、大丈夫、サポートできるOKみたいな威勢の良さです。2人の「じゃじゃ馬ならし」を思い出しました。

 

3羽の白鳥(ボッレ/ボネッリ/ラントラートフ)

 前回は「(4羽ならぬ)8羽の白鳥」で、今回は「3羽」ですね、これ定番になるかも。この3人ですから、大きい。とにかく大きい とりとりとり 3人が踊り出すと風が立つような勢いがあり、空間を占領してしまう。ダンスはかなりきちんと踊っていて、しかもポワントもそれぞれ巧みで、どれだけ練習しただろうかと思いました。3人がシンクロして踊るところは、あの身体ですから大迫力で、バッサバッサという感じ 冷や汗 何より、3人が楽しそうだったのが嬉しいきゃぁ~

 

黒鳥のPDD(ドロテ/ゴメス)

 真打は今回もゴメスで、彼のオディールがすべてをさらっていきました うるとらまん あのがっしりした体型を支えるポワント、一見痛々しくもありますが、見事なステップで踊りまくります すごい 脚だけではなく、腕のしなやかな動き、上体の動きなども本気モード。回転は周りをなぎ倒すほどのパワーで、フェッテはダブルを入れてくるし、感動しましたおぉ! 他のダンサーたちもノリノリで応援していましたね。ドロテも男前な王子で、男性パートの回転を何気に踊って見せ、これはこれですごかったです パチパチ

 最後は侍従長の杖を使って、なぜか皆さんリンボーダンスをしながら幕でした。フォーゲルの反りがお見事でした ahaha*

 

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第1部

「ドリーブ組曲」 
振付 ジョゼ・マルティネス
レオノール・ボラック/ジェルマン・ルーヴェ

 素敵だったー キラキラ 特にルーヴェはA・Bも通してこれが一番良かった感じ。やはり基礎がしっかりしていて、オペラ座らしい優雅さが身についているから、ダンスが美しいわ。ちょっとややこしいステップも軽快に決めていたし、むか〜しのマチューのような初々しさを感じました。ボラックはリズム感があってホント良いです。ダンスも安定していてラインが綺麗。全体に清廉な雰囲気が漂っていて、しかも2人が楽しそうに踊っているのが感じられました。


「ライムライト」 
振付 カタジェナ・コジルスカ
エリサ・バデネス

 解説に「タンゴ調の音楽に合わせて……」とあったので、前回のバレエフェスでロパートキナが踊った「タンゴ」みたいな超カッコいい作品かなと思ったら、違う雰囲気なのでした ショック


「白鳥の湖」
振付 レフ・イワーノフ

オレシア・ノヴィコワ/デヴィッド・ホールバーグ

 ノヴィコワの情感溢れるオデット、儚げで憂いのこもったステップの中には意志が通っていて、不本意にも悲しい運命を背負ってしまった彼女の背景を感じさせます。王子はほぼサポートに徹しますが、ホールバーグの包み込むような柔らかさ、ソフトなサポートにオデットを気遣う優しさがあった。身体ラインも美しく彼らしいエレガンスが漂っていました。


「アリシアのために―アリシア・アロンソに捧ぐ」 
振付 タニア・ヴェルガラ

ヴィエングセイ・ヴァルデス

 アリシア・アロンソというダンサーは、映像でちゃんと見たことはないし、その伝記的な部分も知らないので、ふ〜んという感じで見ていました Queenly


「タイス (マ・パヴロワより)」 
振付 ローラン・プティ

マリア・アイシュヴァルト/ロベルト・ボッレ

 急遽ペアを組むことになった2人だけど、最初から予定されていたような、息のあったダンス。堪能しました いいな 音楽に乗って揺れる2人身体が美しく、リフトが芸術的で、叙情に溢れている。アイシュヴァルトの動きは物語バレエでなくても雄弁で繊細で、音楽から詩を紡ぎ出すよう。ボッレの頼もしいサポートぶり、どう動かせばパートナーを、そして自分を美しく見せられるかを知っている踊りですね 静怒 2人の踊りは優雅で大きくて、舞台空間を確かに支配していた。シンプルな舞台の上に浮き上がって見えました。最後、片手リフトのままボッレが回って終わるの、綺麗だったー ハート


「グラン・パ・クラシック」 
振付 ヴィクトル・グゾフスキー

ドロテ・ジルベール/マチアス・エイマン

 素晴らしかったです クラッカー右から マチアスが神懸り状態で、回転もジャンプも足さばきも絶好調な感じ。特にジャンプしたときの、空中に浮かんで止まったような感じやその時の身体の造形、着地の軽やかさなど、空気を自在にあやつっているかのよう。ドロテも急な代役ながら見事なダンスを見せてくれました。PDDはやや慎重に、ソロになると俄然生き生きしてくる感じ。回転するマチアスと着地を合わせるところは2回までタイミングが合って、自分としてはこの部分が決まると高得点となりますので、ほぼ今回は満足です ahaha*

 

第2部

「ロミオとジュリエット」
振付 ケネス・マクミラン

サラ・ラム/マルセロ・ゴメス

 サラの演劇表現が素晴らしかった 驚き顔 恥じらいながらも少しずつロミオとの距離を縮め、信頼してその腕に飛び込むまでの流れ、リフトされた時の幸せそうな表情。細かく言えば、バルコニーから降りていくとき、早くロミオのところに行きたいと思いながら、フッと部屋の方を見て乳母がいないのを確認するとか、胸の鼓動をロミオに伝える前に自分でドキドキしているのに気づいて「このトキメキは何?」と一瞬考えるとか、そうした細かい表現が重なって、リアルなジュリエットが舞台に出現するのでした。ゴメスのロミオがまた素敵 きゃー 登場してバルコニーのジュリエットを見つめる後ろ姿から、もうジュリエットへの溢れる想いが伝わってきました。盤石なサポートは包容力に繋がり、絶対守るヨと、ジュリエットを優しく包み込む頼もしいロミオでした。衣装はボッレと違って、胸ははだけていませんでしたね ニコ

 

「デグニーノ」 
振付 マルコス・モラウ

マリア・コチェトコワ

 シュールでユニークな振付。不思議な感覚に襲われましたが、好きというのではないな。人形振り系が基本的に苦手なので、ちょっと馴染めませんでした 苦笑

 

「タチヤーナ」 
振付 ジョン・ノイマイヤー

アンナ・ラウデール/エドウィン・レヴァツォフ

 全幕は映像で観ましたが、残念ながらちょっと苦手な(内面的、哲学的でよくわからない)作品なので、ぼんやり見ていました 青ざめ顔 ここだけ見ると、このどこがプーシキンの「エフゲニー・オネーギン」なんだと思いますよね。タチヤーナの夢の世界だそうですが……。それでも、A・Bも通して、ラウデールはいいダンサーだなという思いを新たにしました。

 

「モノ・リサ」 
振付 イツィク・ガリリ
アリシア・アマトリアン/フリーデマン・フォーゲル

 本当にこれスタイリッシュ!! 続けて3回観たいと思いました キャッ 突き刺すような手脚、時々入るオフバランス、突然のダンス休止、踊る相手の凝視など、ちょっとフォーサイスっぽいところがあるし、互いに挑発し技を競い合うような緊張感があって、すごく良いです おぉ! 音楽も好き。アマトリアンの足の表現がすごい。剣先のように脚が空間をビシビシ切り裂いてくる感じです。フォーゲルもコンテはかなりいいですよね。途中から上半身裸になると、筋肉の動きが美しく露わになる。2人のスピード感のあるアクロバティックな絡みが見事でした。最後、天井に並んだ何列ものライトがググーッと降りてきて(ここすごい演出だなー)、倒れかかるアマトリアンを、フォーゲルが伸ばした脚で受け止めるところまで、かっこよかった パチパチ

 

「ワールウィンド・パ・ド・ドゥ」
振付 ティアゴ・ボァディン

ドロテ・ジルベール/マチュー・ガニオ

 これが始まっても「モノ・リサ」が何度も脳内再生されてしまって、この2人のコンテが平凡に見えてしまった。タイトルの意味は「つむじ風」だけど、つむじ風っぽかったのかどうかも覚えていません がーん


「ローレンシア」 
振付 ワフタング・チャブキアーニ

マリーヤ・アレクサンドロワ/ウラディスラフ・ラントラートフ

 全幕では観たことはないですが、ボリショイのペアらしい華やかでダイナミックなPDD。空間をかき回し、支配していました。けっこう難易度高いと思われるステップやリフトも楽しげに踊っていて、2人の幸福感がまっすぐに伝わってきたキラキラ

 

第3部 佐々木忠次へのオマージュ

 幕が上がると私服のフェリがマイクと原稿を持って立っていて、佐々木氏へのメッセージを読み上げました。そしてスクリーンに映し出される在りし日の佐々木氏の姿。深く感動しウルウル 涙 私がバレエ好きになったのは佐々木氏のおかげ。本当にありがとう。

「月に寄せる七つの俳句」
振付 ジョン・ノイマイヤー

シルヴィア・アッツォーニ/アレクサンドル・リアブコ/エドウィン・レヴァツォフ

 とても観念的な作品ですが、振付に詩情が溢れていて美しい。アッツォーニは月なんだろうな(彼女は今回すべて「人にあらざる存在」を踊りましたね)。移動する姿が床から数ミリ浮かんで滑っているよう。動きの全てに透明感がありました。男性2人は、月の淡く神秘的な光に映し出されて浮かぶ、変化する人の心のイメージなのかな(自信なし)。想像を掻き立てる踊りです。サーシャとレヴァツォフがシンクロして踊ると、2人の違いが歴然と見えてしまう Queenly レヴァツォフは振付け通り普通に手脚を動かしているのだけど、サーシャは手脚の芯に何かが入っていて、それが動くことによって手脚が動かされているような。要は、身体の内側の何か(魂?)が音楽に反応して踊っているように感じました。

 

「リーフ(葉)」
振付 大石裕香

ジル・ロマン

 ジル57歳、彼のダンスを観られるとは ため息 感涙です 泣き1 もしや「アダージェット」を……と、かすかに期待しましたが、さすがにそれはありませんでしたね(いまは誰が踊り継いでいるのだろう)。振付自体は特に良いとは感じなかったけど、芽吹いたり、風に揺れたり、降り落ちそうになったり、太陽や雨粒を浴びたり、小鳥や虫と語ったり……と、1枚の葉が見せるさまざまな姿を物語っているよう。ジルのバレエ人生と重ねてみると、いまの彼が踊るにふさわしい作品かもしれない。ジルの表現は内省的で深みと詩情があり、観るうちにじわじわと感動がわきあがってきます。スピードのある動きを極力封印した振付ゆえに、足先、手の先まで含めた繊細な表現が見て取れます。ときどきシャープで勢いのある振りを見せるとき、若きジルが蘇ってハッとしました うっとり

 

「ボレロ」 
振付 モーリス・ベジャール

上野水香/東京バレエ団

 いろいろなダンサーの「ボレロ」を観てきて、自分なりに好きなメロディー像が出来上がっているわけですが、それぞれのダンサーなりのメロディーがあるのだと理解しています。水香さんも、何度も踊り込んできた彼女なりの解釈、姿勢、表現があって、しなやかで程よく力の入ったメロディーだったと思う。私の好きなヒンズー教神のポーズ冷や汗(ジャンプして顔は前を見据え、手足を独特な角度に曲げるポーズ)もきれいでした。長い髪の毛が汗で顔にペタッとくっつくのですが、ギエムはそれに構わず無心の境地で踊っていたけど、水香さんはそれを手で払い落としていて、その瞬間に現実に戻るような感じがして残念でした もうやだ~

 

→その②へ続く。

 

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→その①からの続き。長くなってしまった。

 

第3部

「ロミオとジュリエット」

振付 ケネス・マクミラン

メリッサ・ハミルトン/ロベルト・ボッレ

 はぁ〜ハート ボッレのロミオを観れるとは らぶ1 キラッキラでまさに青年のロミオ、ときめきましたぁ きらきら あのシャツブラウスの胸元の空き具合は計算づくですね 笑 超高速とか超ハイジャンプとかはないんだけど、伸びやかな手脚や美しく反り返る背中や華やかな回転などが、情熱と幸福感をほとばしらせる。あの大きなマネージュから「ジュリエットォ、君が好きで好きでたまらないんだよーハート」って声が聞こえてきましたヨ きゃぁ~ サポートは安定していて、マクミランのややこしいリフトも軽々と美しく見せてくれます。ボッレって外見が美しいだけでなく、笑顔も最高に素敵なところがいいなあ。口元から太陽が覗くようなイタリア男だわハート 

 一方、ハミルトンはお姉さんのジュリエットでした。言い換えれば少女には見えなかった苦笑 初めて抱いた男性への不思議な感情、恥じらい→ときめき→信頼→初恋の喜びというジュリエットの気持ちの変化はあまり繊細に表現されていなかったです。最後、バルコニーのジュリエットとその下にいるロミオが手を伸ばしあうところ、指先が触れそうで触れられないところが、結ばれない2人の悲劇を暗示していると思うんだけど、この2人はしっかり握っていましたね握手

 

「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"

振付 ジョージ・バランシン

ミリアム・ウルド=ブラーム/マチアス・エイマン

 エレガントでゴージャスでしたー。自分としては反応するところがよく分からないバランシンのなかでは心がときめく作品苦笑い 抽象バレエなのに物語を感じます。腕や上半身の柔らかなしなりなど、ミリアムの身体ラインの美しさは格別。硬質で透明感があるというより、暖かさや香りのある輝きを感じますジュエル・red 男性パートはサポートが多いけど、マチアスはそういうときでもエレガンスを失わず、ステップを踏むとき、腕を伸ばすときなど、一つ一つの動きに身体の先まで神経を行き届かせていて、ひたすら優雅。ミリアムに対する優しさに、例えが変ですが、騎士のような包容力と献身を感じましたキラキラ

 

「マノン」

振付 ケネス・マクミラン

アリーナ・コジョカル/ヨハン・コボー

 コジョカルはマノンというファム・ファタール的な女性のイメージがあまりないのですが、彼女の巧みな表現力によってコジョカル版マノンがちゃんとそこにいました。過去の汚れの一切感じられない、ピュアな女性としてのマノン。死に追いかけられ、そこから逃げ惑いながら心でデ・グリューを求め、しだいに心身ボロボロになっていく。とても良かったクラッカー右から コボーのデ・グリューはネット上の感想を見ていたのでハードルをものすごく下げて臨みましたニコ そのおかげか、ショックは少なかったニコ 彼はデ・グリューを何度も踊っているから、体と頭に役は染み付いているはず。でも、このシーンのデ・グリューがどういう気持ちでどう踊ればいいかわかっていても、もう身体がそれについていけてない感はあったなショック(マノンのサポートとは別の)マノンと運命を共にした青年デ・グリューとしての踊りが見えなかったがーん マクミランの作品に意味のない動きはなく、すべての振りが人物の感情や考えを現していると言われます。その意味で、大味なダンスになってしまったコボーはデ・グリューを十分に表現しきれなくなったということだと思う。コジョカルが良かっただけに、残念です青ざめ顔

 

「アポロ」

振付 ジョージ・バランシン

サラ・ラム/フェデリコ・ボネッリ

 これ、何かすごく良かったですパチパチ ボネッリは、お顔はマイルドなのですが身体が結構たくましくて、あの衣装と相まって、アポロにふさわしい神々しい美しさキラキラ ダンスも雄々しく力強いです。腕をすっと振り上げるとか、手をグーパーさせるとか、一つ一つの動きに意味があると感じさせる。一方、クールビューティーなサラのテレプシコールは、透明さの上に高貴さとエレガンスをまとった女神。音楽に乗ったダンスには鋭さと柔らかさが同居しています。神と女神なんだけど、PDDは神聖さと同時に人間的な雰囲気があり、2人の間に会話を感じました。

 

「椿姫」

振付 ジョン・ノイマイヤー

アンナ・ラウデール/エドウィン・レヴァツォフ

 舞台奥に立つラウデールがベールをとった時の、焦燥感でやつれきった表情と佇まいが、「黒のPDD」のマルグリットでしたクラッカー アルマンに許しを請いながら抑え切れない思いに突き動かされて……。ラウデールのダンスは悲劇的なマルグリットを見事に表現していたと思う。エドウィンもアルマン役はお似合いだと思うし、ラウデールとで生み出すケミストリーも当然のごとく良くて、こういう物語バレエには何か安心感があります。綺麗なお顔とサラサラ金髪が、ナイーヴながら時々冷たさをのぞかせる、いいとこの御曹司そのものです。ダンスとしては、音楽に乗って踊り上げるまではいかなくて、あと一歩、身体による振り切った表現が欲しいなという感じ。その不足分がテクニックなのか演劇表現なのかよくわからないけど、何かがあとちょっとだなーといつも思います 苦笑い

 

第4部

「じゃじゃ馬馴らし」

振付 ジョン・クランコ

エリサ・バデネス/ダニエル・カマルゴ

 シリアス、美しい、悲劇といったガラ演目が多い中で、よくぞこの作品を踊ってくれました。そしてこの2人のダンス、絶妙でしたahaha* 2人の乱暴なやりとりだけど、そこをきちんとバレエとして見せるには、技術と表現力とユーモアのセンスと、そしてパワーがなくてはだめですよね。バデネスのじゃじゃ馬っぷりがスカッとします苦笑い ペトルーチオに縛られるのを振り払い、時には掴みかかり、なんとか自由であろうとする彼女。愛を受け止めることを知らない、まだ「幼い」女性の生き生きとした感じ、よかった。カマルゴの乱暴っぷりも気持ちいいレインボー ワイルドなダンスでも形がビシバシ決まり、荒ぶるキャタリーナを組み伏しながらも、時々彼女を見る目が優しいのですよ。バデネスが次第にカマルゴに愛情を抱いていく変化が見えて、それに合わせてカマルゴも優しくなっていき、そのあとのPDDがロマンティックでした〜赤い糸

 

「ヌレエフ」

振付 ユーリー・ポソホフ

マリーヤ・アレクサンドロワ/ウラディスラフ・ラントラートフ

 ネット上の情報で後から知りましたが、ヌレエフがマーゴ・フォンテーンと「マルグリットとアルマン」を踊る、劇中劇シーンらしいです。知らないで観ても問題なかった、というか、マーシャとウラドの愛のダンスを楽しみましたハート 柔らかで優しいステップ、エレガントな身体の動きに、2人の信頼感、愛情、パートナーシップの素晴らしさを改めて感じました。古典のようにテクニックを披露しない2人の踊りは、却って美しさが強調されていた感じ。ウラドの衣装がタートルネックのニットみたいなやつで、あー、そういえばヌレエフのイメージってこれかなと思った。

 

「アダージェット」

振付 ジョン・ノイマイヤー

マリア・アイシュヴァルト/アレクサンドル・リアブコ

 抽象バレエ苦手なのでノイマイヤーのこの手の作品はとても身構えてしまう。でもサスガ、2人にはそこに立つだけで存在感があり、動き出したとたんに物語を紡ぎだし、音楽と一体化したダンスで感動を呼び起こしてくれました音符 うまく言えないけど、演劇的バレエを踊れるアイシュヴァルトの、一つ一つの動きが何かを語るように雄弁で、それを支えて受けるサーシャが呼応するように深淵な音楽を奏でているようで、2人の身体から崇高なハーモニーが広がっていく感じ。心が浄化されたような気分になりました ため息

 

「オネーギン」

振付 ジョン・クランコ

アレッサンドラ・フェリ/マルセロ・ゴメス

 今回のバレエフェスで、おそらくもう二度と観られない貴重なパフォーマンスは、ボッレのロミオと、そしてフェリの、このタチアナじゃないかな。フェリのタチアナに対する深い解釈、それをダンスと仕草で的確に見せる技術と表現力、このワンシーンのみで、タチアナの生きてきた半生を走馬灯のように見ることができたのでした おぉ! バレエなんだけど演劇、踊っているけどセリフ喋ってる。ちょっとした指先の動き、顔の角度、身体の揺れ、どれを見てもそこにタチアナの感情、苦悩、迷い、決意が現れていました。

 ゴメスのオネーギンが、フェリのタチアナにがっつり対峙していて、これまた切なかった。本舞台登場前に紗幕の向こうで逡巡する姿を見たときに、あの身勝手なオネーギンへの同情が湧いてしまった汗 自分が過去にタチアナにしてきた仕打ちの大きさに気づかないまま、手紙を突きつけられて一瞬「あのこと?」とひるむものの、それが何だっていうんだと猛然と彼女にすがりつく。そこがちょっと可愛かったんですよね きゃー で、そんなオネーギンをまだ愛していることに気づくフェリがそこにいて、なんていう残酷な話なんだと、そのとき気づきました しゅーん

 フェリのタチアナは、最後まで妻としての自分を捨てる気はないものの、ほんのわずかな揺れのタイミングでオネーギンへの愛を取ってしまいそう。その、ギリギリの崖っぷちでかろうじて踏みとどまっている緊張感が舞台に溢れていました。最後、オネーギンを追いやった後に(たぶん)後悔の波に襲われてうろたえるフェリに「あなたは間違っていない。それでいいんです」と言ってあげたくなりました泣き1

 

「ドン・キホーテ」

振付 マリウス・プティパ

マリア・コチェトコワ/ダニール・シムキン

 やっぱりバレエフェスのトリはこういうのがいいです〜 きゃー 超絶テクニックのてんこ盛りでも許します。でも、今回のシムキンもコチェトコワも、技を見せることではなく、この作品のダンスの美しさを見せるという余裕が感じられた。とくにシムキンのサポートがとてもよくて、片手リフトも2回とも安定と美しさをキープしていて、頑張ったシムキンに感動してしまったパチパチ 軽やかなジャンプやしなやかな上体の反りなどにはエレガンスが感じられ、ピルエットのコントロールの良さにまたまた感動 驚き顔 回転では540を3回くらい決めて見せ場を忘れずに作ってくれました すごい コチェトコワはキュートだけどテクニックに裏付けされた自信が感じられ、バランスのキープも十分で、ステップは小気味好い。グランフェッテも危なげなく決めてきて、高揚感マックスのままバレエフェスを見終えることができました クラッカークラッカークラッカー

 

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テーマ:

第1部

「眠れる森の美女」

振付 マリウス・プティパ

オレシア・ノヴィコワ/デヴィッド・ホールバーグ

 端正で品があるキラキラな2人、トップバッターとして掴みはOKという感じ OK ノヴィコワは、ポワントで立った時のつま先から手の指先までのライン、緩やかなカーブを描いて伸びる身体が本当にきれい。「眠り」の王女そのものでした。ホールバーグもまず立ち姿で魅せるダンサーだし、一つ一つ丁寧に踊っていて作品(振付)を愛おしむ気持ちが伝わってきました。友だちは、ホールバーグは調子がイマイチと言ってましたが、私はわからなかったな 冷や汗 確かに、マネージュは勢いがあるわけではなく、ジャンプは控えめというか、全体にゆったりとソフトな踊りですが、そういう風に踊っているのかと思って見てました 苦笑い よく考えると、ホールバーグのバレエってたくさんは見てなくて、「調子のいいホールバーグ」がどんな感じか知らないのですけどね ニコ

 

「ムニェコス(人形)」

振付 アルベルト・メンデス

ヴィエングセイ・ヴァルデス/ダニエル・カマルゴ

 プログラムで解説を読んだら、ちょっと切ない展開なのですね。実は人形振りってすごく好きなわけではないのですが  Queenly これは人形が夜だけ命を吹き込まれて人になるという設定で、そのあたりの2人のテクニックに魅せられて、楽しく見ました。お互いに心が通じたと思った矢先にヴァルデスの動きが止まってしまい(もとの人形に戻るってことですね)、それを「え?何があったの」と驚いて抱くカマルゴに胸が締め付けられた 号泣 ヴァルデスは太ももがガッチリしていて、そのせいか足の強さが際立ち、安定していてくっきりしたダンス。このユニークな作品もきっちり踊ってみせる、技巧派ですね。カマルゴは、シュツットガルトにいた時はあまり注目してなかったけど、逞しくてテクニックもあるし表現もクリアで、良いダンサーなんだなあと認識しました。

 

「ソナチネ」

振付 ジョージ・バランシン

レオノール・ボラック/ジェルマン・ルーヴェ

 美しい2人だから目の保養にはなるものの、もともと苦手なバランシン作品の、その苦手なツボを押されてしまった ショック こういうのって、何を見てどう受け止めればいいのか戸惑ってしまう 凹 それでも時としてダンサーから醸し出される雰囲気に色がついていて有機的で感動することもあるけど、この2人にはそこまで心は動かされませんでした がーん よく言えば透明感があってピュアかな Queenly 音に乗って軽快に踊るボラック良いなと思ったけど、ルーヴェはいっぱいいっぱいという感じで、余裕が感じられなかった。ま、確かに男性パートは振りが大きくてハード。ひと踊りするたびにルーヴェが呼吸を整える息遣いが聞こえてきました汗

 

「オルフェウス」

振付 ジョン・ノイマイヤー

シルヴィア・アッツォーニ/アレクサンドル・リアブコ

 短い時間にあそこまで凝縮されたドラマを見せられるって凄い びっくり シルヴィアの身体が本当にこの世の人ではなくて(冥界の住人で)、肉体はそこにあるのに透明で重さもない感じ。美しいけどゾッとする暗さと冷たさを纏っていました。それが、夫にすがるようにまとわりつくと、か弱く愛らしい女性になる。手探りのような感じで身体を一体化して踊る2人が綺麗 キラキラ 結局そのエウリディーチェの愛が、オルフェウスを振り向かずにはいられなくしてしまうんですね涙どうしても一目見たいというサーシャ/オルフェウスの苦おしい欲望=愛情が伝わってきて、振り向いてしまう彼に納得してしまった。振り向いて見られた瞬間のシルヴィアの顔が、魂を抜かれたように凍りついて、そのあと苦痛で体をよじらせる動きが痛々しかった大泣き サーシャの、彼女を失う絶望と声にならない叫びが身体から絞り出されるようで、余韻が長〜く引きずりました 泣き1

 

「コッペリア」

振付 ローラン・プティ

アリーナ・コジョカル/セザール・コラレス

 コジョカルは可愛くて表現力があり、コラレスは男臭く力強くて、2人ともテクニックがしっかりあって楽しかったですが、プティの「コッペリア」ではなかったのがすごく残念 がっかり プティの振付のポイントでもある、スワニルダが腰をキュッとひねったり上半身をクイっと曲げたり脚をわざと強調したりという表現が、コジョカルは弱い。コラレスは元気が良すぎて、垢抜けた洒落男フランツになっていない。全体的にスタイリッシュで洒脱な雰囲気がなかったです(プティ版「コッペリア」好きなだけにがっかり 凹)。ENB来日時はロナルド・ハインド振付版(プティパ版に基づく)だったのに、なぜそれにしなかったのか不思議です。この2人はそちらの振付の方が合っていると思う。コラレスは跳躍とか回転とか技術はあると思うけど、荒削りなので、ロイヤルでは「洗練」というダンス表現を身につけてほしいな きゃー

 

第2部

「シンデレラ」

振付 ルドルフ・ヌレエフ

ドロテ・ジルベール/マチュー・ガニオ

 そこにいるだけで映えるキラキラ・ペアだけに、ハリウッドのスター男優と女優という設定がぴったりで、ただただ美しくてため息 きらきら 華やかな振付を流れるように滑らかに踊る2人に、幸福感があふれていて、無心で観ました。ドロテの弾むようなステップとキリッとした手脚の動き、マチューの優雅で包み込むような感じがよかった cracker*

 

「HETのための2つの小品」

振付 ハンス・ファン・マーネン

タマラ・ロホ/イサック・エルナンデス

 男性パート、あの衣装でなければダメなのかな?ニコ カテコで2人が前に出た時、シムキンがエルナンデスのお尻を見てニッコニコしていた(ように見えた)のがおかしかった 笑顔 それでも、彼の身体はその衣装を滑稽に見せない程度に綺麗でした。そのエルナンデスのシャープで力強いダンス。ENBにあっては王子様系かと思うのですが、こういうコンテ系の方が合うのかも。ロホは貫禄が半端なくて、2人の面白い関係性を垣間見た感じがしました汗 最後、男性を手懐けた?ロホが客席を見てドヤ顔してましたね 笑 作品は、ゆったり踊る部分とシャープで緊張感のある部分とのメリハリがあり、2人の緩急のある動きも良くて、観ている方の物語創造力を刺激しました。

 

「白鳥の湖」

振付 マリウス・プティパ

アシュレイ・ボーダー/レオニード・サラファーノフ

 アシュレイの肉食系オディール 鷹 色香ではなくパワーで王子を巻き込んでいく感じ。存在感ある体幹を使って踊るダンスには安定感があり、ぐいぐいと攻めていきますね。ポワントのポーズも揺るぎなく、突き刺すような威圧感。グランフェッテのダブルの時に両手を振り上げるという羽ばたきポーズは、王子を鷲掴みにしてやるワ!みたいな表現に見えました。そんなフェッテ中も、バランスを崩すどころか、軸がほとんど動かず1点で回っているの、凄い。サラファーノフ王子はオディールに操られるままに翻弄されるんだけど、時々迷いを抱いてハッと我に帰るところなどに王子としての弱さや優雅さがちゃんと出ていて、演技もアシュレイに負けてはいないの、さすがでした パチパチ

 

「椿姫」

振付 ジョン・ノイマイヤー

アリシア・アマトリアン/フリーデマン・フォーゲル

 よかった〜 おぉ! アマトリアンが踊る白のPDDのマルグリット、面白いです。幸福の絶頂にいるときのダンスのはずなのに、彼女が時々見せる寂しげで不安な表情が、この幸福もそう遠くない頃には終わりを迎えるのではないかという、この後に続く物語を感じさせます。ときどきアルマンの方を覗き込むような仕草が、彼の愛の深さ確かめようとしているようでもあり、あなたは不安を感じないの?と問いかけるようでもあり。そのフォーゲル、やっぱりアルマンはお似合いです〜 らぶ1 彼のアルマンは定石どおり、今この幸福な一瞬しか見ていない純粋な青年……なんだけど、全くの有頂天というより、やはり少し憂いを帯びた彼なりのアルマンを感じました。サポートやリフトは安定していてよかった。リフトした時に、マルグリットのボリュームのあるスカートの扱いにちょっと苦戦していましたが、あそこをスマートに見せるのは大変だと思います 苦笑

 

→その②へ続く。

 

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