観劇予定がしばらくないので、最近読んだ本を書き留めておきます。新刊ではないし、むか~し読んだ本の再読もあるので、感想はごく簡単に🙇♀️
「ケルトの解剖図鑑」(エクスナレッジ/2022年)
著者 原聖
ケルト諸語文化圏の各地の歴史、神話、美術、考古学などから全体像を探る本。ケルトについてはここ十数年の間に研究が大きく進み、これまでの定説が実はそうではなかったことが分かるなどして見直しが行われていて、今とても流動的みたいです。その最新の研究成果を盛り込んだ内容で非常に興味深い。それにしてもあのユラユラしたタッチの頼りなげなマンガ風イラスト😑「~図鑑」と称している以上もうちょっと何とかならなかったのか? 写真もひとつも載ってないし。原聖さんはもちろんケルト研究の第一人者です👍
「写本の文化誌~ヨーロッパ中世の文学とメディア」(白水社/2017年)
著者 クラウディア・ブリンカー・フォン・デア・ハイデ/訳者 一條麻美子
活版印刷技術が誕生する前の中世ヨーロッパで、写本制作に関わった人たち(注文する人=パトロン、手稿する人、製本する人など)の仕事内容や、書かれた本がどのように売られ読まれ所蔵されたのかや、書物が当時の文化・社会に与えた影響などを解説。特に写本制作の過程がとても細かく具体的で、羊皮紙(ヴェラム、パーチメント)の作り方は生々しく、装飾文字や挿絵やレイアウトの項は興味深く、本作りに携わった人たちの個性やプライドや本音などが伝わってくるようで、非常に面白かったです。
「新版 歌舞伎十八番」(世界文化社/2013年)
著者 十二代目市川團十郎
解説 服部幸雄/撮影 小川知子
十二代目團十郎さんが書かれ2002年に河出書房新社から出た「歌舞伎十八番」を、加筆訂正して新版として発行された書籍です。2013年夏の刊行ですが團十郎さんは同年2月には逝去されてるんですよね。歌舞伎十八番の全作品についてその見どころなどを語っていますが、特に「家の芸」として十二代目がどういう心持ちで演じているかの部分がとても興味深かった。そこには市川宗家としての強い矜持、十二代目の真摯な姿勢、荒事への思い入れが感じられる。今年は十二代目が逝去されて10年という区切りの年、その年が終わろうとする今、改めて読んでみました。懐かしすぎて何度も胸がキュッとなった😭
「クルミわりとネズミの王さま」(岩波書店/2000年)
著者 E.T.A.ホフマン/訳者 上田真而子
バレエを観るんで久しぶりに読み直してみました。“岩波少年文庫” シリーズで、小学5、6年用とあり、訳文がお子さま仕様なのはまぁ良しとして、イラストをもっと入れるべきだよねー。ドロッセルマイヤーが語る、ピルリパート姫と魔法使いネズミと宮廷時計師(とその甥っ子)のくだりは、奇妙で怖くて児童向けとは思えない毒があり……なのにユーモラスで本当に面白いんですよ。
「図説 中世ヨーロッパの暮らし」(河出書房新社/2015年)
著者 河原温/堀越宏一
お馴染みの “ふくろうの本” シリーズで図版豊富。①農村の暮らし②都市の暮らしという2部構成で、その成り立ち、社会システムや仕事、衣食住に関することまで詳細&具体的に解説されており、読み応えありました。文化、特にエンターテインメント(音楽やダンスや演劇など)についてほとんど触れられていないのが残念だけど、当時は演劇は好ましくないものとされていたし、あっても宗教劇だしね。イギリスは中世のころは後進国、地理的にも辺境にあるのでどうしても付属的記述になってしまう。本書のような内容でイギリスに特化した本があるといいなあ。
「アーサー王最後の戦い(普及版)」(原書房/2023年)
著者 ローズマリ・サトクリフ/訳者 山本史郎
図書館で借りました。歴史物を得意とする児童文学作家サトクリフによる、アーサー王3部作の最終巻で、第1巻は「アーサー王と円卓の騎士」、第2巻は「アーサー王と聖杯の物語」。本書は11月に出た新刊だけど、2001年刊のやつの普及版です。予想はできたけど、アーサー王ものをいろいろ読んでいる人には物足りない😔 ランスロットとグィネヴィアのロマンスを中心に据えた、砂糖をたっぷり使ったスポンジケーキに砂糖をたっぷり使った生クリームで化粧しシロップ漬けのフルーツをどっさり載せてシュガーを吹雪のように振り掛けたスイート&ロマンティックなケーキ味でした。
「イギリス庭園の文化史~夢の楽園と癒しの庭園~」(大修館書店/2003年)
著者 中山理
いま読んでいる本です。内容が予想・期待していたのとちょっと違うかも……💦