ワシントンナショナルギャラリー展 | あやこ’s eye  ~今仲綾子の視点~

あやこ’s eye  ~今仲綾子の視点~

人生はアート!これまで出会ってきた美術、舞台、そのほか諸々について綴っていきます。

東京駅近く、
丸ノ内の三菱一号館で開催中の、
ワシントン・ナショナル・ギャラリー展に行ってきました。



夜の美術館も、風情があります。


ワシントン・ナショナル・ギャラリーを作った大富豪、
アンドリュー・メロンの長女、
エイルサ・メロンが集めた作品を
中心とした展覧会です。


まず会場に入って感じるのは、
小さい!

美術館でよく見る西洋画とは、
かなりサイズが違います。




(写真は主催者の許可を得て撮影したものです。)



これが今回の展覧会の面白いところ。
伝統的な格式のある、
いわば「公」の絵ではなく、
親しみやすい、親密な絵が並び、
会場の空気も
心なしか優しい感じです。


この親しみやすさこそが、
印象派の革命的なところなのですが、
現代の私達には、
そこが一番分からない
ところかもしれません。



モネの師匠、
ブーダンの絵が多く出ていました。

モネが外で描くきっかけを作った人で、
気持ちの良い屋外の風景が晴れやかです。






館長さんも仰っていましたが、
ひとつ惜しいのは、
オリジナルの額ではなくなっていること。


ほとんどが、
アメリカ向けに画商が付け替えた額で、
印象派の絵とのバランスは、
あまり良いとはいえません。







ポスターにも使われた、ルノワールの猫を抱く女性は、
女性の肌の質感、猫の毛並みのフワフワ具合がとても魅力的。








ルノワールの肖像画を見ていると、
モデルになった人は、
出来上がった絵を見て、
さぞ幸せな気分だったろうと思います。





人気の高いこの絵
背景がシンプルなので、
モデルが引き立ちます。

この女性を描いた
ルノワールの作品は11点もあり、
かなりお気に入りのモデルだったのでしょう。

これはルノワールから
本人に贈られたもの。
彼女が終生手放さなかったものだそうです。

暗めの絵のイメージが強い
ルドンやゴッホの明るい絵も
珍しいものでした。






ルドンの大ブーケも出ています!




それからナビ派と呼ばれた
ボナールとヴュイヤールも
面白かったです。




ヴュイヤールは日本ではあまり見る機会がない画家。

平坦で装飾的な画面の中に
精神性、内面性を取り戻そうとする
気概が見えてきます。








伝統的な西洋の文化は
現代の私達には、
重厚すぎる部分があるかもしれません。

今回の展覧会は、
アメリカという新しい国で
受け入れられた印象派から始まる
新しい絵画との付き合いかたが
体感できることでしょう。


西洋美術は難しそう、
と思っている方にこそ、
おすすめの展覧会です。


5月24日までです。



夜の中庭も美しい、
三菱一号館でした。