どう生きたいかを伝えておく | 看取り看護師めぐ〜死ぬとは最期まで生きること

看取り看護師めぐ〜死ぬとは最期まで生きること

どうか大切な人の最期を穏やかに看取れますように
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「○○しないで」というときは、なぜそうして欲しくないのか理由を言いましょう。

患者さんの中には、元気な時に「胃ろうは作らないで」と家族に言っていたという人がいます。
メディエアの影響で、胃ろうを作ることは悪のような扱いになってしまいました。
胃ろうとは、胃に穴をあけて直接栄養剤を流し込むためのものです。


腸を使わないと認知機能や免疫機能などが急激に衰えていきます。
胃ろうを作らなくても、鼻から胃に管を入れて栄養を流し込むこともできます。
胃ろうを含め、そういう腸から栄養を吸収する方法を経管栄養と言います。


東北大学名誉教授の佐々木英忠医師らの調査によれば、腕などの細い静脈から低カロリーの点滴を受けた人の平均的な生存期間は2か月でした。
一方、経管栄養を受けた人の平均的な生存期間は1年11か月でした。


あくまで平均です。
経管栄養をすることで10年以上生きている人もいれば、身体に合わずに下痢や嘔吐を繰り返し感染症などですぐに亡くなってしまう人もいます。



そうは言っても、生存期間にこれだけ差があれば、エビデンス(科学的根拠)に基ずく方法をとりたがる医療者は、経管栄養を勧めるでしょう。


「胃ろうはいやだといっていたけど、他はわからない・・・・・」

そういう家族が多いために、本人と意思疎通ができなくて胃ろうはつくらないけど鼻からの経管栄養は行うという患者さんが増えています。
10数年前の医療に戻ってしましました。
鼻から管を長く入れると、粘膜が傷ついて出血したり痛みをともないます。
常にのどの奥に違和感を感じ、気持ち悪くて意識疎通ができないような方は引き抜こうとします。
そのため引き抜かないように手を抑制されたり・・・・・


人間の尊厳とはなんなのかを考えさせられます。

「胃ろうはいや」と言ったのなら、なぜ嫌なのかも伝えましょう。
胃ろうが悪なのではありません。
使い方をちゃんと考えれば、延命治療なだけでなく、幸せな時間を増やす手段にもなります。
例えば、脳梗塞の初期などは、胃ろうを作れば体力が保てリハビリを頑張れたりします。
メリットデメリットをしっかり知ったうえで判断するとともに、どう生きたいのかを家族に伝えましょう。

まずは、自分は何に楽しいと感じ、何を幸せと感じるのかを明確にしてみてはどうでしょうか?