第百二十五話

昨夜、寝る前に1階のトイレに入るとずい分臭い匂いがした。匂いの原因は子供が
小便を便座に引っ掛けたことがほとんどである。いつもの引っ掛ける場所を見ると、
やはりそうだった。どうせ汚いことに平気なダメ妻が翌朝以降にトイレ掃除を
することはないので、俺は寝る直前にもかかわらずトイレ掃除をしたのである。

子供を徹底的に甘やかすダメ妻は、子供が小便を引っ掛けることも注意はしない。
引っ掛けるのは仕方がないので、拭くように注意すればいいだけであるが、別に
ダメ妻が便座まできれいにすることはめったにないので、いくら匂うと関係ないの
だろう。本当に変わった人間である。今朝、俺は子供に注意した。引っ掛ける場所も
教えて気を付けるように言ったが、バカなダメ妻は例のバカっぽいため息をついていた。
ダメ妻は子供に小言は一切言わないので、俺の小言がうっとしいのはわかる。

昨夜はダメ妻たちが寝る前までリビングのエアコンをつけていた。ということは2階の
西向きの寝室はかなり暑いことはわかっている。だが、ダメ妻はエアコンをつけずに
寝たのである。まだ寝室のエアコンはカバーがかかっているので、面倒くさくて
エアコンをつけずに寝たのだろう。俺は扇風機だけではさすがに暑くて寝ることはできず
リビングで寝た。

今朝、寝室の温度計を見たら30℃あった。別の温度計で測ってみても29.6℃だった。
ということは夜中はもっと暑かっただろう。32～3℃ぐらいはあったのではないか？
よくそんな高温の中で寝られると思う。温度感覚も狂っていることもあるだろうが、
ダメ妻は寝ることだけはのび太よりも優れている。というより、寝ることへの執着心は
呆れるほどである。だからどんな状況でも熟睡できるのだろう。

俺は今朝子供に向けて言った。もちろんダメ妻に聞こえるように、「こんなに暑くても
寝られるなら、もう寝室はエアコンをつける必要はないな。」と。30℃以上の部屋で
扇風機がいくらついているとはいえ、モワ～っとした風が当たるだけで、熟睡できる
ダメ妻はさすがである。もちろん見下しの意味を込めてである。