23,35,44,15,7,8,5.

保育士長のEはアラスカの保育園で、熱心に業務に当たっていた。各保育士が園児への対応に苦慮する中で、どうしたら風通しの良い職場環境を創り上げることができるかを思案していた。
保育士⑦が園児の前で色々と対応し、苦労している。
保育士⑦:「皆、いい?Let's sing a song.」
園児たちがワイワイガヤガヤする中で、保育士⑦はこの集団を束ねなければならない。それも大変な仕事だ。園児たちにとって、その衛生環境はもちろん、保育士としての力量も問われてくるからだ。対応を一歩間違えれば、保護者からクレームがつく。それを分かっているから、保育士⑦は気が抜けない。
そして、他の保育士㊿も自分のクラスで対応に当たっていた。この夏場で窓際のカーテンが少し破れていて、園児が困っている。それを受けて、
保育士㊿:「Okay. Move. Move. そこは直射日光が当たるから」
そんな具合にクラスを進めていた。
その意見を集約していた保育士長のEは今日も事務室でデスクに座り、左手で業務日誌を書いていて、上へ報告していた。そこにはパソコン上のメールで、日本の保育園の方からの報告もされていた。それを参考にする形で。
E(V.O.):「⑤具体的対応事例。これは東京都、1歳、女児、中国国籍で、母国語を話せるようにとの家庭の方針で、家庭では一切日本語を使わず会話をし、子どもが戸惑い落ち着かないことが続く」
そこに保育園の園長が事務室に入ってきて、Eに声をかけた。
園長:「その時、君なら、どう対応している?」
E:「あっ、園長。Good morning.」
園長:「Good morning. Tell me your action.」
E:「はい。対応として、園では日本語を使うようにしましょうと声かけ。日本語の習得がうまくいかない時期には歌の時間でコミュニケーションをとる。例えば、イギリスだったら、ロンドン橋だったり、イスラエル・ユダヤ民謡だと、マイム・マイム」
園長:「I see. But here is the U.S.」
E:「アメリカ民謡だと、大きな古時計、森のくまさん、アルプス一万尺。その後として、園では日本語で会話をするようになり、本人の気持ちも落ち着いていった」
それを聞いた園長は納得した表情を浮かべ、
園長:「Okay. Wonderful.」
そう言って、園長は表情を緩め、手に持っていた缶コーヒーをEに手渡した。左手で受け取ったEは落ち着いた視点で物事を見て、「Thank you」と言った。
園長:「まだ君にはこれからも重責を担ってもらわなくては困る」
E:「はい」
園長:「一番大切なのは、園児がいかに過ごしやすい環境を作るかだ」
E:「それは耳にタコができるほど聞かされていますよ」
そう言って、Eはにこやかに受け答えると、一方で気を引き締めた。
園長:「まだやり残したことがあると思っている間はいい。それがなくなったら、もうそこに上昇志向はなくなる。改善意欲はないことの証拠だ」
E:「そうですね。自己改革に盲目であってはいけません」
園長:「もう少しで君の才能を潰すところだったよ
そう園長が言うと、Eは思わず胸にじんときて、感傷に浸った後、すぐににこやかに笑って、園長を見つめていた。