決勝は激闘だった。何度も汗をぬぐうB。コート脇から指示を飛ばす顧問監督のX。二人三脚でここまで来た。
B(V.O.):「バドミントンに必要な体力は?」
X(V.O.):「行動体力は①行動を起こす力(筋力・瞬発力=筋機能)②行動を調節する力(平衡性・敏捷性・巧緻性=神経・筋機能。柔軟性=関節機能)③行動を維持する力(全身持久力=呼吸循環機能・内分泌機能)」
激しいデッドヒートが繰り広げられている。試合は終盤に来ていた。ここまでBが僅差で負けている。やはり、今日も勝てないのか。このまま自分は引退するのか。そんな決断を迫られる決勝だった。
B(V.O.):「なぜ苦しくなるまでトレーニングを行うの?」
X:「自分が限界だと感じても、もう少し頑張る気持ちを持てば、伸びる可能性がある。トレーニングを行っていても、常にそのような気持ちで取り組むことが大切」
その時、過去に大学の医務室でねん挫などのケガをした時、治療に当たってくれた医師からの助言を思い出す。色々とアドバイスを受けた時のことを。
→回想シーン→医務室での医師との会話
医師(V.O.):「夏の試合のバテ予防対策として、①水分の取り方②暑さに慣れる③栄養摂取と休養。そして、何と言っても、暑さに負けない食べ方で、三度の食事を規則正しく取り、十分なカロリー摂取。不足しがちなビタミンB¹とビタミンCを。あとはミネラルを含んだ緑黄色野菜や根菜類を摂取すること。牛乳も。水分が不足するからといって、糖分を多量に含んだ飲料は逆に食欲を減退させる。試合前夜や当日朝の食事では、本番で力を発揮することが重要。糖質(ご飯やパン)、ビタミンB、クエン酸、カルシウム、マグネシウムが含まれている食事をしっかりと取る」
それでBは自分は今まで一人で戦ってきていないことが分かった。これまで自分を支えてきてくれた顧問監督のX、医務室の医師、大学の友人ら、そして、母。さまざまな方々の支えがあって、ここまで来たことを思い出した。それらが決勝の舞台のさなかで脳裏をよぎった。
試合は終盤にBが同点に追いつき、やむを得ず相手がタイムアウトを取る。コート脇に来たBを顧問監督のXが声をかける。
X:「イケるぞ!」
B:「はい!」
この時もBとXは心の中で、これまでの苦しい練習を思い出していた。そのことを何度も心の中で復唱するように。
B(V.O.):「ウォーミングアップは①呼吸・代謝機能に好影響②筋力の発揮能力に好影響③反応時間の短縮に好影響④柔軟性の改善に好影響⑤傷害の予防に好影響⑥からだと心の緊張を取るのに効果的。軽いジョギング、ストレッチングなど」
X(V.O.):「クールダウンは①運動後に急に腰を下ろして休むのではなく、ジョギングやウォーキングを行う②スタティックストレッチング③アイシング」
そして、タイムアウトが終わり、再びコートへ戻るB。
試合が再開し、ついにBがマッチポイントを奪った。ここまで来た。待ちに待ったチャンピオンシップポイント。
B(V.O.):「重要な試合の直前までトレーニングを行っていいの?」
X:「それで疲れが取れるかということ。試合当日までに疲労を回復させる時間が確保できない。トレーニング量を落とし、体調を整えるほうがベター」
Xがそう呟き終えた瞬間、Bの放ったスマッシュが相手コートにスローで落下していく。
Slow Motion&Close-Up→シャトルの落下
それが相手コートにぽとりと落ち、Bの優勝が決まった。その瞬間、Bは思わずガッツポーズをし、コート脇で見守っていた顧問監督のXのもとに駆け寄り、喜びのあまり抱き合った。