直木賞を受賞された島本理生さんの『ファーストラヴ』を読ませていただいた。

 書店の方々は予想以上に苦しんでいる。そういう方々の意見を出版社は真摯に受け止めてきたか。『共喰い』で芥川賞を受賞された田中慎弥さんや『ハンチバック』で芥川賞を受賞された市川沙央さんなどに代表されるように、受賞会見で彼らがおっしゃっていたように、「なぜ今頃この賞が私のもとに転がり込んでくるんだ?!」といった出版側への皮肉のコメントに真剣に向き合ってきたのかという疑問。そうしたコメントが過去からさかのぼって繰り返されてきたことに対する出版社の反省や、改善はあったのか。また、出版社へ作品を応募しても、ずっと連絡がこない方の気持ちを1ミリでも考えたことがあるのかという疑問。その辛さや苦しさが分かっていない。あまりそういった方々を低く、下に見下ろさないほうがいい。当初は漫画家志望だった凪良ゆうさんのように、作品の中で、出版社を皮肉ったり、そういう方の出世作も今後海外発で多く出てくるだろう。そういう意味では、一度この作品の出版元である文藝春秋のような大手出版社も世間の前で恥をかくと、いい薬になるのかもしれない。

 

 女性アナ(俗にいう女子アナ)やモデル、タレントは週刊誌に華々しく取り上げられ、いわば世間にちやほやされてきた職業。「華のある花形の職業」で、それがこういうふうにマイナスに書かれていることは、そうしたイメージを作り上げた出版社の功罪でもあるような気がした。ここでは聖山環奈は女子アナを目指すだけに容姿端麗と書かれていたが、それは他の業界にも容姿端麗の女性はいるだろう。その点で、逆説的な意味で、職業差別ともとられかねないので注意が必要だ。それは私がこれまでの自分の作品の中で、あらゆる業界を網羅してきたから言えること。女性アナやモデル、タレント等の職業に容姿端麗というレッテルを貼りかねない。また、そのテレビ局(放送局)で、バラエティのことが書かれてあって、そのバラエティ制作を蔑視するような言葉も気になる。私もコメディを書いてきて、いかにバラエティの要素を考えるのが難しいのかを百も承知だからだ。そうしたことを考えた時、女性アナ(作品の中では特にキー局女性アナのことを言っていた)はこういう作品を書かれているからといって、ムキにならず、(ムキになると、またプライドが高いと書かれたりする)反対におおらかな態度や対応で包み込む度量の深さ、大人の対応が求められてくるだろう。おそらく島本さんや出版元の文藝春秋は否定するだろうが、そういう方々(女性アナだけでなく、モデルやタレントなど)をおとしめようとする意図が透けて見えなくもない。(→特に、キー局女性アナ。女子アナではない)こうしたことを勘案した時、出版元の文藝春秋はそれを公益目的という名のもとに、出版化していていいのか。私は世間から婉曲的に批評、批判されてきて、あらゆる業界を2回りほど網羅してきたから言えることだが、どの業界もプライドを持たれている。その反面、島本さんの作品の中で、本を執筆している女性主人公の由紀、ここでは島本さん自身だが、(読者はおそらく島本さんと投影してしまう)自分だけがハッピーエンドになるのはひんしゅくを買う。対極的に、サッドエンドやこの作品の中の環奈のようなケースにする場合は特に気をつけていきたい。私は自分自身をいつも、どの作品も一段低く書いてきた。それは私がアメリカで非常に厳しくクリティサイズされてきたし、本当に私と同じくらい、業界の方々から厳しい意見を言われ、島本さんをはじめ、世に出ている作家や出版元の文藝春秋は厳しく批判されてきたかを疑ってしまう。それで、それで終わるのではなく、こうした意見を吸い上げ、出版社などは反省しないといけない。その点で生ぬるさを感じた。出版社の編集者は上記のようなリスクを出版前に、執筆者に助言しているのか。

 また、これは作者の島本さんに言えることだが、面接に漏れたからといって諦めてはいけない!無論、ここでは父(義理の父)の理解が得られなかったが、人事の目線から言わせてもらうと、まだテレビ局は他にもいっぱいあるし、テレビ局はキー局が全てではない。また、何度でも受験すればいいとも思っている。そのためには、テレビ局側も春の採用だけでなく、アナウンサー職の秋採用や年間を通しての通年採用、既卒採用、社会人採用(キャリア採用)などを充実させていく必要があるだろう。それは私が人事をやっているのもあるが、私は出版社に応募作がことごとくボツにされても、私は諦めていない。それでも、そんな出版社側に一言だけ苦言を呈するなら、ボツにするのもいいが、それで苦しませることが上記のように定例化していることに違和感をも覚えている。これも私の作品からインスピレーションをことごとくパクられているから言えることだが、「皆に嘘をつき、私の文章を盗んだ」というアメリカの大事件になぞらえられてしまうだろう。

 また、私に対して内偵調査をしてきたり、プライバシーを侵害してきたこともしっかりと報道して、一度世間の前で恥をかくといい。それが先ほども言ったように、いい薬になる。

 出版社の編集者は上記のようなリスクを出版前に、執筆者に助言しているのか。加えて、私のことを真剣に考えたことがあるのか。私がアメリカから航空関係者に送付した小説の最後の「~おわりに~」を読んでいただきたい。大手出版社の方は特に。それで何を感じたか。特に、そのおわりにの最後の文を。

 

※先日、台湾で大地震があり、多くの方が被災されています。一刻も早く事態が収束し、復興することを願っています。

※また、今週は入社式があり、多くの方が新社会人になったり、入学式などもありました。これから徐々に慣れていき、仕事や勉強に頑張ってくださいね。