CもK同様に、石川県で建設業界の一翼を担っていた。今日も車で職場まで通勤し、到着すると、駐車場に車を止めた。
→Reflection Shot→ルームミラーに映るCの目元
それから、車を降りて、ロックをかけ、職場に辿り着くと、裏口の関係者通用口から中に入り、まずはトイレで一息つく。トイレの大きな鏡の前に立って、くしと口紅を手に取りながら、
Reflection Shot & Make-Up→トイレの鏡に映るCと、そこで口紅を塗る。そして、くしで髪型を整える
トイレを出ると、そこには部下が朝の寒さの中、身を縮こまらせながら集団でかたまっているのが分かった。
それから、始業のチャイムが鳴り、建設会社のオフィスで黙々と汗を流し、Cは部下とともに組織の運営を図っている。まだ男性優位のはたらく建設業界にあって、こうして女性のCが上司として君臨しているだけでも稀なのかもしれない。それでも、Cはこうしてその業界で生き残った。
Cは生き生きとした目でミーティングを執り行う。 
C:「経済の発展を支える社会資本の整備。高速自動車国道の延長は、昭和40年の190kmから平成29年の8.893kmへ47倍となった。下水道の普及率も8%から79%へと飛躍的に増加している」
そうしたインフラの整備は北陸経済を根底から支え、需要をこの上なく喚起してきた。そこにいささかも疑心暗鬼するところはない。平たく言えば、Cらの組織は真面目に仕事をしてきた。地味でもコツコツと努力を続け、それが地表へ這い出てくる時を今や遅しと待ちわびる花のように。
C:「国土を守る建設業界。世界の活火山の7.0%が日本にあり、マグニチュード6以上の地震の20.5%が日本で起こっている。また、世界の災害被害額の11.9%が日本の被害額となっている」
こうしたミーティングの場では、部下からの意見も同時に吸い上げる能力を兼ね備えている。できるだけその場で、つまり、リアルタイムで部下にも意見を言わせるほうが効果的だと思っていたからだ。それがもはやこの組織の伝統となっているから、自然と下地も整っている。
それから、時間が目まぐるしく流れ、あっという間にお昼の時間になった。外ではこの寒い中でも道路工事をしていて、突然ドリルのけたたましい音が室内にまで響いてくる。
→Sound Effect→道路工事のドリルの音
C:「大きな音ね。何もかもがかき消される」
そうして気がそれた後、再度残りの仕事に取り掛かるC。注意力はドリルの音でそれたが、まだ集中力は切らしていない。
→Sound Effect→お昼休憩のチャイムの音
そのお昼休憩を知らせるチャイムの音が外の道路工事のドリルの音でかき消され、聞こえない。→音の効果をダブルで!
部下:「Cさん。もうお昼ですよ」
そう部下に言われると、Cは時計をちらりと見て、席を外した。