ロンドン出身で同地に拠点を置き、間もなく29歳になるアルバニア人Dua Lipaの3作目新譜"Radical Optimism"を聴いております。

彼女は、私が「只今売出し中」の音楽家を追いかけている数少ない例の一つで、フランスのChristine and the Queens (またはRedcar)同様、自作曲のメロディに独特の冴えを見せる点で贔屓にしています。今回もその期待は裏切られることはなく、レッドカーよりはかなり正統派寄りのダンス・ポップが11曲・36分35秒全面展開です。

 

※ Amazonのみ特典の「メガジャケ」と、本体CDの中ジャケ

 

さて、本盤で私なりにもう少し突っ込んでみたいのは、11曲のうち7曲がTame ImpalaことKevin Parkerとの共同制作・作曲であることで、先行シングル曲"Houdini"・"Training Season"をパーカーが手掛けて話題になったようですが、アルバム全体、特に1曲目"End of an Era"や最終曲"Happy for You"等はパーカー色が濃く、紗がかかったようなイムパラのサウンドをそのままバックにして、パーカーの代わりにリーパが歌っている印象です。

リーパは2015年のイムパラ"Currents"に「衝撃を受けた」そうですが、私が新しいと感じるのは、人気上昇中の歌手という立場を最大限活かして、自らをサポートしてくれる制作・作曲チームに「自分が好きで、その人の曲・制作で歌ってみたい」既に有名どころの音楽家を簡単に(内幕はそうでもないかもしれませんが)加えられることです。先ほどのレッドカーや、果てはEd Sheeranも含めて、最近のピン音楽家は「個性の強い自分が主導権を握り、その個性をがっちり支えられる音楽制作パッケージを都度選んで」音を創っていくのだと、あらためて納得しました。

 

(6/29/2024)