私は、これまでひたすら「蒐集のための人生」を送ってきたと自認いたしますが、ひよっこ高齢者の仲間入りをしたこともあり、最近は「そろそろ店仕舞いを考えておかなければ…」とも感じております。

そんなことを微塵も思わず突き進んでいた大学生時代は、バイトで得た資金を元手に東京都内の中古盤店を遊弋し、独特の魅力を湛えた英・Islandの"ILPS"シリーズや日・CBSソニーの"AirPlay"シリーズを熱心に集めていましたが、どちらも当時既に後追いにならざるを得ず、また、シリーズには必ず守備範囲外のレコード(アイランドにおける抹香系、ソニーにおけるイージー・リスニング系)が含まれているため、見つけても即買うわけにはいかず、ともに全部揃えることは困難でした。

この状況下で1979年に現れたのが、やはり手の届かぬ存在となっていたVirginのサブ・レーベルとして発足したばかりのDinDiscです。

そもそものきっかけは、所属する加/英混成バンドMartha and the MuffinsのデビューLP "Metro Music"をジャケ買いしたことでしたが、そのレコード番号がDID1、いかにも新規開業のたたずまいであり、そのうちに同レーベルの7'シングルを見かけ始めたので「LPは無理だがシングルなら…」と考え、一念発起し全制覇を目指すこととしました。

このシングル・コレクションはおそらく最後まで私の手許に残ることとなりそうですが、アレが何時始まるかもしれない状況下で、取り敢えず蒐集にまつわる思い出は書き留めておかねばなりますまい。

 

※ 最初の6枚。DIN3…Sting制作、Duggie Campbellの"Enough to Make You Mine"は見つかりませんでした

 

DIN1 … The Revillos "Where's the Boy for Me?" c/w "The Fiend"

米・Sireから出したデビューLPが英国に逆輸入されヒットしたエディンバラのバンドThe Rezillosが、色々あってディンディスクと契約し直し、更に改名を余儀なくされた上で発表した再デビュー盤。私はレズィロスを聴いていませんでしたが、レヴィロスの他のパンク/ニューウェイブ勢とは一線を画した純ポップぶりには驚きました。

DIN2 … Orchestral Manoeuvres in the Dark "Electricity" c/w "Almost"

最近の弊ブログでふれることの多い、O.M.D.のデビュー盤。ディンディスクの運営者Carol Wilsonによると「O.M.D.はレーベルのイメージに完璧に適合」していて、彼らをFactoryから半ば強引に引っこ抜いたのであろう形跡がジャケ裏の表記"A FACTORY PRODUCT Marketed by DinDisc"に見て取れます。

DIN4 … Martha and the Muffins "Insect Love" c/w "Cheesies and Gum"

O.M.D.同様レーベルの旗艦バンドだったマーサズ、アルバム未収録のデビュー盤で、制作は元GongのMike Howlett。厚紙折り返しだけのジャケにジッパー付のビニール袋入りですが、当時はこのように凝った意匠のシングル盤が結構みられました。

DIN5 … The Revillos "Motor Bike Beat" c/w "No Such Luck"

ここから製作が'80年に入ります。"M.B.B."のエンディング、バイクが轟音で走り去りその後海に飛び込んだとおぼしきS.E.に笑わされます。

DIN6 … Orchestral Manoeuvres in the Dark "Red Frame/White Light" c/w "I Betray My Friends"

O.M.D.の、おそらくデビューLPの発売とリンクした第2弾。ジャケットの赤/白模様がアルバムの青/橙模様と共通していますが、このデザインは当時新進気鋭の存在だったPeter Saville。

DIN7 … The Brians "My Brother's Famous" c/w "Brian's Sister's Sue"

Brian Sinatra (lead vo)、Brian Travolta (vo)、Brian Costello (vibes)、Brian Brando (ds)、Brian Stewart (spiritual guidance, vo, all instruments)からなる困ったバンドが、T. RexにRod Stewartを混ぜ合わせたような曲調に乗ってコミック・ソングを繰り広げます。唯一実在していると思われるA面の共作者兼制作者John Owen Williamsが、"Sunshine of Your Love"や"Purple Haze"等名曲のギター・リフを合間々々に挿み込んでいます。

 

この項、多分(間歇的に)続きますよ。

 

(4/20/2024)