NHKがテレビジョン本放送開始70周年を記念して、28年前に制作した「映像の世紀」を再放送していたので、拙宅のHDにまとめて録画して少しずつ見ています。痛感するのは、21世紀に入って20年以上も経つのに、こんにちの状況は前世紀と何も変わっていない、ということでしょうか。特に外交と戦争のやり方に顕著で、ひょっとしたら「軍」という概念を地球上で最もとらえにくくなっているかもしれない我々日本人が見ていても、「ああ、今のあそこの軍事行動の手法は、80余年前のこれと同じだ」などと感じる場面が多々あります。ただし、今のあそこのケースは当事国の国民に「あれは専門会社がやっていることだから」ということなのか当事者意識が感じられず、むしろ昔より有り様は悪くなっているのではないか、と思います。こんなことでは、人の痛みを感じて無益な戦争を止めろといっても通じませんよね。

さてさて。我等がColosseumは昨年Jon Hiseman / Dick Heckstall-Smith / Dave Greenslade抜きの新録CDを出し、本ブログでも採りあげましたが、今般2003年9月27日、独・Viersenジャズ・フェス出演時の実況DVD(+CD)"Live at Rockpalast 2003"が発表されましたので、茲許「逆走」致します。

 

※ これも「新譜」ではありますが、収録ははや20年前です。

DVD末尾には、ハイズマンのインタビュー約20分のおまけ付き

 

元々は'68~'71年に活動したコラシアムは、'94年独・ケルンでコンサートを行って復活しましたが、時系列ではその時に続くDVD作品となります。第1期の演奏を収めた"Live in Germany"やこの後の独国でのライブ"Live 05"等のCDも出ていますし、彼らのドイツをはじめとする欧州での人気の高さがうかがえます。

演奏は当時の新譜"Tomorrow's Blues"からの曲で始まり、ハイズマンの律義なMC(ドラマーの彼がいちいち前に出てきます)を挟みながら"Those about to Die"や"The Valentyne Suite"等の定番曲に進んでいきますが、途中Barbara Thompsonのことを"Special Guest Star"などと紹介していて「何のこっちゃ」と感じていたのが、実はトムプスンはヘクストール‐スミス(D.H.-S.)の代役として急遽登場していたのでした。"Tomorrow's Blues"の発表時('03年春)にはD.H.-S.は現役で、このコンサートのリハ中に体調を崩しトムプスンに代打を頼んだとはいえまだ存命中でしたが、翌年の12月に亡くなっています。

ということで本コンサートは、長きにわたりゲスト出演だったトムプスンのコラシアムの正式な一員としてのデビュー記録でもあるのですが、映像中彼女のソロの際にはD.H.-S.の写真が「アノ人ヲ偲ブ」風に映し出される場面もあり、現時点で見ると少し手回しが良過ぎる印象を受けます。一方で、ずっとメンバーであったように違和感なく流麗な演奏を聞かせるトムプスンも、既にパーキンスン病を患っていたようで、更に収録から20年が経過してハイズマンもトムプスンも故人となってしまい、DVDを見ていると「諸行無常」を感じざるを得ません。

その他の気付きとして、

☆ '07年2月の来日公演の際はハイズマンのキットがトレードマークのツインバスでなかったことに驚きましたが、その4年前のこのコンサートで、彼は既にシングルバス(ツインペダル)・キットを使っていました。ツインペダルなので、演奏の切れ味は変わりません。

☆ ライナーでDave Clempsonが「このときの演奏は最上のものだった」と振り返っていますが、なるほど、彼自身のギターも冴えわたっています。"The Valentyne Suite"をはじめとして、フレーズのアイデア・スタミナともに申し分ありません。唯一「ロック・スターとしてのカリスマ性」に欠けるところ(即ち、トリビュートされる側でなくする側にいること)が惜しまれますが、現コラシアムで彼 / Mark Clarke / Chris Farloweのコンビネーションが続く限り、引き続きついていかなければならないと強く思っています。

☆ 最後に、来日時とのセットリストの比較を。

 

 9/27/2003 @Viersen Jazz Festival

 2/17/2007 @Club Citta’, Kawasaki

 1

 Come Right Back*

 Those about to Die

 2

 No Pleasin’*

 Theme for an Imaginary Western

 3

 Hard Times Rising*

 Come Right Back*

 4

 Those about to Die

 Stormy Monday Blues

 5

 Tomorrow’s Blues*

 Walking in the Park

 6

 I Could Tell You Tales*

 The Valentyne Suite

 7

 The Valentyne Suite

 Rope Ladder to the Moon

 8

 (Encole) Drum Solo - Lost Angeles

 No Pleasin’*

 9

 In the Heat of the Night*

 Tomorrow’s Blues*

10

 -

 (Encole) Drum Solo – Lost Angeles

*'94年活動再開後の楽曲

 

(2/17/2023)