本シリーズも、音楽家アルファベット順の折り返し点までまいりました。下の背文字の写真を撮って眺めてみると、"M"はMcDonald and GilesからJim Mullenまで多士済々。多分1回ではまとめきれないので、予め「その1」とうたって始めさせていただきます。
☆ M&Gに続き、一部Simon & Garfunkelを思わせるフォーク・バンドとなっていたMagna Carta "Lord of the Ages"、Gongの管楽器奏者Didier Malherbeのソロ作があって、ウェールズの雄ManのLPが並びます。高校入学とほぼ同時に第7作"Back into the Future"にはまり、その後の高校時代(1970年代央)は、東芝EMIから順調に出されていた新譜国内盤だけでなく旧盤の逆走も「あまり他の人は聴いてなさそうだから」という使命感を抱いて行っていましたが、結果的には随分虫食いの多いコレクションとなっています。レイド・バック気味に長尺の即興演奏をこなすギター・バンドであり、メンバーも地元共同体の中から都度選ばれる点等、米・Grateful Deadと共通する個性を有していますが、音はそこからカントリー風味を除いた感じです。

☆ 唯一のアルバムでは第1面の大作「曼荼羅組曲」より第2面の小品4曲の方をよく聴いたMandalaband(後にSad Cafeに変身)、Bruce SpringsteenやBob Dylanのカバーが冴えていたManfred Mann's Earth Band、マンと同様にLPがなかなか揃わなかったMark-Almond、と続いて、加・トロントのバンドMartha and the Muffinsの第1作"Metro Music"は、私にとっての'80年代の幕開けでした。二人のマーサをフロントパーソンとして押し出した、サックスを含むニュー・ウェイブ曲を、プロデューサーMike Howlett(元Gong)が手際よくまとめた良質のポップ・アルバムでした。このアルバムは、Virginが立て上げたサブ・レーベルDindiscからの第1弾でしたが、同じイニシャル"M"の捩くれたポップ・バンドThe Monochrome Set、The Rezillosの超ポップ発展形The Revillosや初期のやや変態がかった音のO.M.D.もレーベル・メイトだったので、ディンディスクの英盤7'・10'・12'は見つけ次第買っていました。今思えば、そういったことも含めて「'80年代の幕開け」だったわけです。

 

※ "M"にはMonty Pythonの"Holy Grail"「サントラ」LPもあり、雑食の極みとなっています

 

☆ Matching Moleの「毛語録」、デビュー作にはBasiaも居た「ニュー・ウェイブ・ラテン」Matt Biancoの次に、英・Medicine Headの3作。このバンドは基本的にはJohn Fiddler (vo, g, ds)とPeter Hope-Evans (harmonica, mouth-bow)のデュオで、フィドラーが歌ってギターを弾きながらバス・ドラムとハイハットを鳴らし、ホープ‐エヴァンズが伴奏、という、街中の大道芸に近いスタイルで奏でる土臭いロックンロールを得意としていますが、'68年のデビュー時はJohn Peelの全面的な支援を受け(彼が主宰するレーベルDandelionと契約)、ホープ‐エヴァンズが一時バンドを離れていた'72年にはKeith Relfがベースとプロデュースを引受けて"Dark Side of the Moon"を発表(この盤が売れていれば、Pink Floydの翌年のアルバムは違った表題で出ていたはず)、表題曲が彼ら最大のヒットとなった'73年の"One & One Is One"と、5人編成に拡大した'74年の"Thru' a Five"はTony Ashtonがプロデュース、という風に、ずっと(その筋の)大御所に可愛がられ続けたバンドでした。Familyからアシュトンとともに横滑りしたRobert Townsendが正式メンバーとしてドラムを叩いている"Thru' a Five"あたりは非常にいい味を出しているんですが、フィドラーの歌声にもう少し個性があれば、と惜しまれます。相棒ホープ‐エヴァンズはその後Pete Townshendのソロ・バンドに加入、結果的にフィドラーより長く"Active"であったのではないでしょうか。

 

※ メディシン・ヘッドの第3~5作目とシングル"(And the)Pictures in the Sky"(日本盤)。

第4作はダブル観音開き、第5作はサイコロの目が型押し、とジャケットが凝っています

 

☆ P.W.L.がサポートするディスコ・ポップ・ユニットMel & Kimkから先述のThe Monochrome Setまでの間では、米・Lee Michaelsの"Live"。LP2枚全編がマイケルズの歌・オルガンとKeith Knudsenのドラムだけ、という代物ですが、何故か聴き飽きません。

(以下次回)

 

(10/22/2022)