このシリーズを始める直前にThe BeatlesのDVD"Get Back"の感想文を書きましたが、その収録時期…1969年1月の前月に、同じMichael Lindsay-Hogg監督がThe Rolling Stonesの企画もの"Rock and Roll Circus"を撮っていて、そちらにも顔を出していたJohn Lennonに「取り漏らしがあったから」とストーンズ紹介のMCを頼む場面があります。そのこと(本編の中でレノンは何度も台詞「今夜のホストはストーンズです!」を手話付きで繰り返しています)はいいのですが、レノンは「サーカス」に"The Dirty Mac"なる名前の臨時グループ(Lennon/Clapton/Mitchell/Richardsという結構スーパーな顔ぶれ)を組んで出演していて、バンド名はこの件で腰の重かったPaul McCartneyに対する強烈な当てつけだという話でした。

感想文で「物語の肝はLennon/McCartneyの仲睦まじさだ」と書きましたが、この時期の二人の間には既にかなりの「含むところ」が存在していた、ということですね。ただし、最近入手した説には「このバンド名はFleetwood Macのもじりだ」というのもあって、逆に今一つ判然としなくなっています。「掛け言葉」なのでしょうか…。

さて、今回の本題、アルファベット順"B"の後半、未だ弊ブログでふれていない人達を"Artist by Artist"で。

 

※ Boxer "Below the Belt"は、背文字だけよ~ん。

 

☆ 米・NYのバンドBlue Oyster Cultは、最初は中学時代の友人に「担当」してもらって、'75年の実況録音"On Your Feet or on Your Knees"から「参加」しました。ハード・ロック卒業間際に盛んに聴いていましたが、意外に絶叫系ではなくて、ステージでの売り…ギター3本による"Born to Be Wild"がSteppenwolfの3倍"Heavy Metal"かというと、あまりそういう印象は持たなかったですね。このバンドは現在もオリジナルのギターリスト2人が残って活動中のようです。

☆ Graham Bondの"Solid Bond"はColosseumの追っかけにとっては必須のレコードですが、なかなかお目にかかれず、ようやく'79年末に中古の見本盤(Warner Bros.のマークがあるのに、なぜか東芝音工発)を買いました。'66年にボンド/Jon Hiseman/Dick Heckstall-Smithのトリオで録った曲を中心に、'63年、ボンド/Creamのリズム隊/John McLaughlinという編成での実況演奏を加えたLP2枚組ですが、コラシアムでもろ再演した"Walkin' in the Park" (ボンド作)の他にも"The Grass Is Greener"という曲(ボンドとマクラフリンの共作ながら、後に"Valentyne Suite"の一部に発展)もあって、Pre-Collosseumの雰囲気ムンムンです。

☆ The Alan Bownは、同名の電気トラムペット奏者が結成した英国のバンドで、Jess RodenやRobert Palmerといった優秀な歌手を擁していました。セルフ・タイトルの第1作はそのうちパーマーの受け持ちで、主作曲者Jeff Bannister(後にA Band Called Oに参加)の功績で、ジャズ・ロックというよりは良質のポップ音楽に仕上がっています。

☆ Boxerは、Mike Patto/Ollie Halsallの新しいバンドだという情報が早くに入っていて1作目を心待ちにしていたのですが、高校生が馴染みのLPコーナーで買うのには流石に勇気が要るジャケットでした(ちなみに、私の英盤は「検閲済」の方です)。一方、あまり市場に出なかったといわれる2作目を渋谷Ciscoで運よく見つけられたのは、彼らを長く贔屓にしていたご褒美でしょうか。

☆ British Electric Foundationは、The Human Leagueの分派Heaven 17の更にスピン・オフ、企画もの担当、という存在ですが、自前の凝ったエレクトロ仕立ての"Ball of Confusion"でブレイク直前のTina Turnerを、"You Keep Me Hanging On"でThe Nolansの歌姫Bernie Nolanを起用したり、名曲"Wichita Lineman"をH17のGlenn Gregoryに歌わせたり、と多士済々。'80年代前半におけるこの一派の冴えっぷりが今でも伝わります。

 

(8/20/2022)