スタジオ待合室で、1970年代に活躍した英国のバンド…ルネッサンスのCDをかけて、従業員と談議をいたしました。

私はその時代のバンドの理想形を、「自ら曲を書いて、演奏を完結させて、ライブでも自分達だけでレコードと同じレベルで披露できる」というものと考えていますが、ルネッサンスのレコード作りは、はなからそういうところに力点を置かず、マイケル・ダンフォードの美しい曲とアニー・ハズラムの歌声をどのように活かすか、というテーマだけを優先させた点で、他の同時代のバンドとはやや異なっていたと感じます。

凡そロックっぽくないクラシカルなピアノとアコギとオーケストラで音を組み立てていくバンドを、当時の洋楽ディレクターが「プログレッシブ・ロック」として紹介しようとする苦労は、大変なものだったのではないかと想像いたします(「ジョン・キャンプのベースは充分プログレだ」と理屈づける、等)。

ハズラムの秀逸なソロ作も含めて、今でも冬の夜長にはぴったりのレコードだと思います。

(12/6/2019)