『美味しんぼ』問題——「風評被害だ」との抗議は「言論封殺」そのもの | Down to the river......

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タイトル通りですが、漫画『美味しんぼ』の表現問題は、一向に沈静化しません。

日本人の「知性の劣化」を強く意識せざるを得ません。

今回は前回のエントリーの続報、補足です。



【関連エントリー】

◆ 『美味しんぼ』と山下俊一、不公正な扱い方の違い——劣化し続ける日本人の思考力|Down to the river......





「チン○ス野郎」の安倍総理が、暗に『美味しんぼ』の表現が「風評被害を助長する」との発言を、福島県で発言しました。




首相、風評被害払拭へ「正確な情報を分かりやすく」






安倍総理が福島視察 健康被害への不安払拭目指す(14/05/17)






世界に「汚染水はコントロールされている」との大嘘をついた安倍総理の言葉を今も信じる人は、死ぬまで彼や日本のメディアのようなペテン師たちに騙され続けるのでしょうね(^^;。

僕に言わせれば、安倍総理は完全に「虚言癖」のある精神異常者です。

上記の映像の中で、彼の後ろに「悪名高きペテン医学者」として世界中に認知され始めた「山下俊一」氏の姿が映っているのが、その何よりの証拠です(爆)。

タイトルの意味に戻りますが、『美味しんぼ』の内容に批判するのは「表現の自由」ですが、時の権力者が「科学的な根拠をデータとして示さず」一方的に「風評被害だから表現を控えろ」と発言するのは、正に「言論封殺」そのものです。





 漫画の表現が、首相、閣僚までをも巻き込む一大騒動を引き起こしている。異例ともいえる場面の数々に「わが国にタブーがひとつ増えたのだ」との懸念は強まる一方だ。

 小学館の漫画誌「週刊ビッグコミックスピリッツ」に連載中の「美味(おい)しんぼ」が論議を呼んでいる。問題となったのは「福島の真実」というタイトルで、4月28日と5月12日発売号に掲載された。

 主人公の新聞記者、山岡士郎は東京電力福島第1原発を取材した直後に鼻血を出す。実名で登場した福島県双葉町の井戸川克隆前町長は原因について「被ばくしたから」と述べる。また、やはり実名の荒木田岳福島大准教授は「福島を広域に除染して人が住めるようにするなんて、できないと私は思います」と語る。

 安倍晋三首相は17日、視察先の福島市で「根拠のない風評に対しては国として対応する必要がある」と述べた。先立って菅義偉官房長官や根本匠復興相、太田昭宏国土交通相、下村博文文部科学相、森雅子消費者相も批判の声を上げていた。

 鼻血と被ばくの因果関係は、分からないというのが現状であろう〔強調:引用者〕。関係があるという専門家もいれば、ないという専門家もいる。事故から3年余しか経過していない。今後の被ばくの影響への懸念も高まる中で到底、「風評被害」と断じてしまうことができる段階ではない。

 実際、森消費者相は閣僚就任前の2012年6月、国会で「子どもの鼻血と被ばくの関係を不安視する声がある」と発言している。同様の不安が存在するのは事実なのだ。

 そうした不安を漫画で表現することに問題があるのだろうか。政治家による相次ぐ批判は過熱気味で「表現の自由の侵害」となりかねない。何より、放射能の問題に真摯に向き合う姿勢があるのかという、事故後に多くの国民が感じた不信を再び喚起するだろう。

 福島県は「風評被害を助長する」と小学館に抗議したが、同県内の複数の市民団体が抗議撤回を求めた。県への抗議文では「(作品は)『福島の現実』と向き合おうとしている多くの人たちにとって注目し共感せずにおれない重要な見解」とし、「県の非難は、人々の声を上げる自由をも抑圧する」と訴えた。政治、行政がすべきは不安の声を封じるのではなく、誠実に不安と向き合い、放射能の問題に対峙することだ。

【神奈川新聞】






権力者側から、正確には「フィクションにすぎない」表現について「風評被害だ」と指摘されれば、表現者は今後「萎縮」せざるを得ないのではないだろうか?

いや、その「萎縮」効果を狙ったのが、安倍総理の本当の意図ではなかったのではないでしょうか。





武田邦彦」中部大学教授が、その見解を更に発信しているので、ここにご紹介します。





福島県知事、大阪市長などが「美味しんぼ」に被ばくによる鼻血のことが書いてあるということで、猛烈に抗議をしましたが、下の資料の通り、原発事故の後、多くの鼻血がみられるということが国会で4人の参考人と議員が質問しています。その時に自治体の首長(福島県など)は異議を申し立てていません。
国会や国会議員は怖いからクレームをつけないけれど、個人や出版社などは弱いとみて攻撃する。 そんな人は民主主義における指導者ではありません。少なくとも、なぜ国会での質問には表現の自由があるけれど、個人にはないかということを言わなければならないでしょう。
マスコミも報道する場合、「首長だから」というのではなく、もちろん国会での発言は聞いているのですから、放送や記事を書くときに「被曝と鼻血のことはすでに国会で4人の議員が追及している」とか、そのことに関する取材をして放送法第4条の規定を守らなければならないと思います。NHKも殿様ではないのです。法律に基づいた放送をしなければ受信料は払うことができません。
また私へのバッシングも来ましたが、ネットでも「自由に発言できる」という権利とともに、「ウソを言ってはいけない」という義務もあります。ネットでの発言も良く事実を調べて発言しなければならないのは当然です。特に匿名と言う権利をさらに使う場合は、名前を出して発言するより高い道徳が必要とされます。
資料
参議院・東日本大震災復興特別委員会8号(平成23年12月02日)
宍戸隆子参考人(議員ではありません)
北海道に避難している方たちといろいろ話をしまして、その中で、例えば鼻血なんですけれども、そういうような症状を訴えていたお子さんが非常に多かったです。
国は安全だと言う。これぐらいの低線量では身体的な影響は出ないと言います。私も初めはそう思っていました。自分の娘も鼻血を出したりしたんですが、それでもそれを被曝のせいだと私は初め考えておりませんでしたし、今でも疑っているのも事実です。
目の前で今まで出したことのないような鼻血を出している子供たちがいたら、皆さんどうしますか。偉い学者さんがどんなに安全だと言っても今起きているその事象を優先しませんか。本当に、お手元に資料配られていると思うんですが、みんな目の前で起こったことを、それを見て避難を決めている方もたくさんいらっしゃいます。
参議員予算委員会8号 (平成24年03月14日)
熊谷大議員(自民党)
ある小学校の、県南の小学校の保健便りです。四月から七月二十二日現在の保健室利用状況では、内科的症状で延べ人数四百六十九名。内科的症状では、頭痛、腹痛、鼻出血、これ鼻血ですね、順に多くということ、これ結果で出ているんですね。
参議員文教科学委員会3号(平成24年03月22日)
熊谷大議員
四月から七月二十日現在の保健室利用状況では、内科的症状で延べ人数四百六十九名が利用しました。内科的症状では、頭痛、腹痛、鼻出血の順に多く、鼻出血というのはこれ鼻血のことですね、外科症状では擦り傷、打撲、虫刺されが順に多かったということで書いてありますが、平野大臣、この事実もう一度、どのようにお考えになりますでしょうか。
参議員憲法審査会4号(平成24年04月25日)
山谷えり子議員(自民党)
井戸川町長が雑誌のインタビューでこんなことを言っていらっしゃいます。
放射能のために学校も病院も職場も全て奪われて崩壊しているのです。私は脱毛していますし、毎日鼻血が出ています。この前、東京のある病院に被曝しているので血液検査をしてもらえますかとお願いしたら、いや、調べられないと断られましたよ。我々は被曝までさせられているが、その対策もないし、明確な検査もないという。本当に重い発言だと思います。
フランスの原発関係のジャーナリストに聞きましたら、こんなに情報公開がなくて、しかもいろいろな、沃素剤一つ取っても国、県の指示があって初めて服用できるというような、非常に不十分なままほったらかされていたと、この十三条と二十五条、幸福追求権と生存権が妨げられているのではないか。
参議員東日本大震災復興特別委員会8号(平成24年06月14日)
森まさこ議員(自民党)
例えば、具体的にこんな心配の声をお寄せいただいています。子どもが鼻血を出した、これは被ばくによる影響じゃないかと心配なんだけれども、それを診察してもらった、検査してもらった、そのお金はどうなるんですかということです。
(国会の記録は読者からご提供いただいたものです)
(平成26年5月16日)





【1290】 自治体の首長は国会議員が怖い ? ... 鼻血の記録 / 武田 邦彦 ※ 「美味しんぼ」福島鼻血問題








次に、これも前回ご紹介した「広河隆一」さんが積極的にインターネット上で発信しているので、その一部を続報としてご紹介します。




2014/05/17 「チェルノブイリでは5人に1人が鼻血」 健康被害をなかったものにする日本政府の対応を厳しく批判 ~岩上安身によるジャーナリスト・広河隆一氏インタビュー








なぜ『美味しんぼ』の表現〝だけ〟を「風評被害」として、政府、行政側は過剰に反応するのか?

慶應義塾大学経済学部教授の「金子勝」さんが、次のようにその背景、真意を推察しております。




【大竹まこと×金子勝×室井佑月】 金子先生怒りで血圧UP!「美味しんぼ」風評被害は揚げ足取り!








最後に「藍原寛子」(医療ジャーナリスト)さんによる、福島での現状と、問題点の報告をご紹介します。

「福島の現実」とは一体何なのか?

各自ご自身で確認、判断してください。




【福島報告】美味しんぼ問題が隠蔽した、より深刻な問題