「この国民にして、この政府」なのか?——希代の悪法、特定秘密保護法案が国会で成立 | Down to the river......

Down to the river......

写真・音楽等の趣味や、日々の雑感、または個人的な備忘録……

風邪を引きながら、おまけに腰痛も加わる中、連日のように首相官邸前、国会議事堂周辺に通い詰めていたので、疲労が溜まり風邪の治りも悪るく(2週間以上)、ようやく完治したと感じられたのが実は昨日でした。

時間的にも体力的にも少し余裕ができたので、断片的でまとまりに欠きますが、久しぶりの更新をします。



12月6日の深夜、21世紀の民主主義国家が作った中でも類を見ない「希代の悪法」と呼ばれている「特定秘密保護法案」が、参議院本会議で強硬に採決が行われ、その結果可決成立しました。



【関連エントリー】

◆ 【藤原紀香さんも反対】情報統制・監視社会化——国民の知る権利を侵害する「秘密保全法」の危険性!|Down to the river......


◆ 【9/17締切】秘密保全法のパブリック・コメント(意見募集)の参考文例|Down to the river......


◆ 秘密保全法(特定秘密保護法案)の背後に「アメリカの影」が……/みのもんたさんがパージされた?|Down to the river......


◆ 2013.10.22「秘密保護法NO! 国会前アピール」|Down to the river......


◆ 2013.10.23「STOP! 特定秘密保護法案!! 首相官邸前アクション」|Down to the river......


◆ 2013.10.25「特定秘密保護法~絶対止めたい!絶対止めよう!首相官邸前大集会」|Down to the river......


◆ そもそも今の「特定秘密保護法案」は、国に悪用されないと言い切れるんですか?|Down to the river......


◆ 2013.11.11 TVジャーナリストらによる「特定秘密保護法案」反対会見|Down to the river......


◆ 【特定秘密保護法】そもそも今もう一度治安維持法から学ぶことがあるのでは?|Down to the river......


◆ 2013.11.13「STOP 特定秘密保護法案!官邸前アクション」|Down to the river......


◆ 2013.11.15「絶対STOP 特定秘密保護法案!官邸前アクション」/今週中に衆議院通過!?|Down to the river......


◆ 2013.11.20「特定秘密保護法フェス」(山本太郎、三宅洋平、川内博史 他)|Down to the river......


◆ 【特定秘密保護法案が衆議院で強行採決】アベ・ラディン率いるアベカイダによるテロ行為/ブログの閉鎖|Down to the river......






法案成立翌日の朝日新聞のコラム(天声人語?)だったと記憶してますが、イギリスの歴史家「トーマス・カーライル (Thomas Carlyle)」の言葉「この国民にして、この政府」を引用して、この「希代の悪法」が成立してしまった背景(要因)について言及していました。

僕は毎日のように国会周辺の強行採決反対の抗議に参加していたので、僕の目に映る(抗議する)国民の姿とカーライルが述べる国民のそれとは全く一致できないものでした。

とするならば、「直接行動」という目に見える形で「声を上げなかった国民」が、カーライルが述べた「この国民」の姿なのでしょうか?

そうだとすると納得できなくもありません。

「希代の悪法が成立させたのは、国民の政治への無関心だから」だと言うことなのか……。

歴史的にみて、政府(行政権力)側は時折、庶民にとって「とんでもないこと」をしでかそうとします。

だからこそ「常に監視する必要」があるのですが、3.11のフクシマ(福島第一原発事故)を経験して僕が得た教訓は、権力の監視を誰か(政治家を初めマスコミや弁護士、市民活動家等)に任せるのではなく、全ての国民が一人ひとり監視する「必要性」でした。

その意味で、3.11のフクシマ(福島第一原発事故)を経てもなお政治に対して無関心なままだった「この国民にして、この政府」——という指摘なのであれば、あながち的外れではないように感じ始めています。

反対のアピール(キャンペーン)が「遅すぎた」朝日新聞(を初め、日本のマスコミ——特にテレビ局)にそのように言われるのは、「癪に障る」のが素直な感情なのですが……(苦笑)。





このブログで何度も言及していますが、日本国内は「情報鎖国」状態です。

フクシマ(福島第一原発事故)の時、最新の正しい情報は常に海外メディアから発信されていたことを教訓としていないのか、多くの日本人は「大本営発表」的な日本のマス・メディアからの情報を信用しているように、今回のこの特定秘密保護法案についても感じました。

海外メディアは今回の法案成立について、かなり厳しい論調で報じているメディアも少なくありません。

国会周辺の「現場」に行けば分かると思いますが、海外メディアの食い付き(関心)は悪くはありませんでした。

取材中の海外メディアの何人かに話しかけたり、会話をしているのを聞く機会があったのですが、青い目をしていながら「皆さん日本語を流暢に話す」ので驚きました。

「情報の上でも、本当にグローバル化した」現状を目の当たりにしました。

「情報鎖国」(もしくは情報統制)の効果は国内のみに限定され、世界的には意味がないことを、多くの日本人は気が付くべきだと感じました。

そして、行政(官僚)の「広報機関」に成り下がっている現在の日本のマスコミの方には、次の言葉を思い出して欲しいと思います。









まず最初に「戦後68年経って、日本はファシズムの道へ戻り始めた」というタイトルの海外メディアの報道からご紹介します。

海外メディアは「センセーショナルに誇張しすぎて」報道している——との意見を、フクシマ(福島第一原発事故)以降良く見かけますが、問題の根本は「海外で日本のことがどのように報じられているのかを、日本人は知っているのか?」にあります。

知った上で、デマならデマだと日本国政府が「公式に抗議」しないと、国益を大きく損ねてしまうのですから。

つまり、正しい、正しくない以前の問題です。



★ » Japan Has Fallen Back Into Fascism After 68 Years Alex Jones' Infowars: There's a war on for your mind!




動画(↓)もあります。



Fukushima Hysteria in Japan Leads to Fascism






フランスのメディアの動画も見つけました。




12/10海外報道 秘密保護法FRANCE 24 山本太郎インタビューも少し
Japan imposes harsher sentences on whistleblowers - FRANCE 24






イギリスの『エコノミスト (The Economist)』紙の記事「単に叫ぶことの脅威 (The threat of merely screaming)」については、これを日本語訳にしてくれた方がいるので、それを引用させて頂きます。



★ Japan’s illiberal secrecy law: The threat of merely screaming | The Economist





エコノミスト 12月3日

日本の一般市民による抗議行動は、自由主義社会において最も秩序だった整然としたものでありながら、日本の警察によって自由主義社会で最も厳しい取り締まりを受けています。

11月26日、国会の両院において過半数の議席を独占する与党自由民主党が、論議の的となっている特定秘密法案を衆議院を強引に通過させました。
この事態を受け、英国から派遣された特派員は、国会の外で一列に並び、この法案に反対するサインボードを静かに掲げている市民たちの様子を観察しながら歩いてみました。

その中で最も- 飽くまでその場の人々の中で – 暴力的であったもの、それはメガホンで法案反対のシュプレヒコールを叫びながら、空に向かってこぶしを何度も突き上げていた一人の女性でした。

現実はそのようであるにもかかわらず、法案を通過させた3日後、自民党幹事長で党内の実力ナンバー2の石破茂氏は、自由主義社会で最も整然と抗議活動を行う人々をテロリスト同様の存在であると、そのブログに書き込んだのでした。

11月21日は東京の中心部において講義をする人々の数は相当数に上り、万を数えるまでに膨らみました。
そしてこの日、国会に向け行進をしていた抗議者の中心となっていたのは比較的年齢の高い人々でしたが、国会議事堂に近づくと警察から掲げていたのぼりや旗を降ろすよう命令されると、みな素直に警察の指示に従いました。

それにもかかわらず石破氏は、そのブログにこう書き込んだのです。
「単なる絶叫戦術は、その本質においてテロリズムの行為と何ら変わるところは無い」

この書き込みに対してはさすがに嵐のような批判が巻き起こり、石破氏は態度を軟化させざるを得なくなり、いち早くその表現を撤回しました。
12月1日の演説において石破氏は抗議活動の騒がしさについてのみ言及しテロリズムの定義については明言することを避けました。

しかし時すでに遅し、石破氏の書き込みは現在の安倍政権のアンチリベラル、非市民的性格を暴露しただけでなく、一般市民の今回の法案に対する幅広い不安をかき立てる事になりました。
それでも自民党はこの法律の国会通過を強行しようという態度を変えてはいません。

この法律之成立により、4つの分野において国家機密を漏洩した政府職員に対し、最高10年の禁固刑を科す事が可能になります。
防御、外交、敵対的スパイ活動とテロ対策の4分野です。
しかし法律の条文の表現はきわめて曖昧で、政府が常軌を逸脱した範囲の情報をすべて国家機密であると規定し、国民の手の届かないところへしまい込んでも、それを抑止する手だてはありません。

野党の中で著名な政治家の一人、山本太郎議員は次のようにツイートしました。
「石破氏に感謝!彼の書き込みのおかげで、秘密保護法が成立したら、政府に対し批判的言動を行った人間がどのような扱いを受けるかはっきりしました。」

石破氏の書き込みはこの法律について、さらなる懸念がある事を気づかせる事になりました。
原子力発電所の再稼働に反対する抗議行動を禁止するために、テロリストの標的にされる恐れがあるとして、特定秘密保護法が拡大運用される可能性があります。

野党の民主党、維新の会、その他の野党5党が揃って、石破氏の書き込みは「常軌を逸した暴言」だとして一斉に反発しました。
今回の法律のテロリズムの定義も、あまりに漠然としている事にも留意するよう、野党側が呼びかけています。

今回の法律成立の立役者である安倍晋三首相は、特定秘密保護法は国家の安全を強化するものだとの主張を続けていますが、国民からはきわめて厳しい視線を向けられている事を痛感せざるを得なくなりました。

2012年12月に政権の座について以来、安倍政権への支持率が今回初めて50パーセントを割り込みました。
12月1日に朝日新聞が発表した世論調査の結果は、安倍政権の支持率は前回の53%をさらに下回り、現在49%にまで低下しました。石破氏の書き込みの、逆の意味での貢献は明らかです。






上記と同じ方が、イギリス『ガーディアン (The Guardian)』紙の記事「日本の内部告発者は、提出された国家機密法の下で弾圧に直面している (Japan whistleblowers face crackdown under proposed state secrets law)」も日本語訳をなされているので、そちらもご紹介します。



★ Japan whistleblowers face crackdown under proposed state secrets law | World news | theguardian.com





ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン(英国) 12月5日

日本ではこれから先、国家機密を漏えいした政府職員、そしてその事実を報道したジャーナリストは、長期間刑務所に入らなければならなくなった自分を発見することになるでしょう。
福島第一原発の過酷事故についても中国との外交摩擦についても、国民の知る権利の前に、その国家機密の壁が立ちはだかることになりそうです。

12月6日金曜日に特定秘密保護法が可決成立したことにより、『特定秘密』を洩らした公務員、民間人に対しては最高10年の、そしてその事実を報道したジャーナリストに対しては最高5年の禁固刑を科すことが可能になります。

この法律に反対する人々の中には、この法律は日本を太平洋戦争以前の軍国主義が支配する時代に押し戻し、政府に反抗するものは誰でも治安維持法によって逮捕拘禁される暗い時代を呼び覚ますものだとの批判もあります。

「この法律は、民主主義に対する脅威です」
東京新聞の論説委員桐山桂一氏がこう語りました。そしてこの法律について次のように付け加えました。
「ジャーナリストに情報を伝えることについて、公務員を委縮させる効果があります。」

エドワード・スノーデン氏の機密漏えい事件の影響により、中国との緊張関係が頂点に達した際、日本政府はアメリカ政府から同国が入手した情報を共有するについては、徹底した管理を行うよう圧力を受けました。

日本の安倍晋三首相は自身が発案者であるアメリカ流の国家安全保障会議が期待通り機能するためには、特定秘密保護法の成立が欠かせないと主張しました。

この法律は、中国の台頭と北朝鮮の核兵器開発疑惑への懸念に対応する形で、日本の防衛能力を強化しようという安倍首相の保守的政策の一環を成すものだと見られています。

安倍首相は今後3年間国政選挙を戦う必要は無く、その期間を利用して宿願の国家主義的政策を推進するものと見られています。
具体的には日本の軍事能力を完全に防衛にのみ限定している、日本国憲法の改定です。

衆議院における特定秘密保護法案の審議が極めて短期間のうちに終了したことは、一般市民の激しい抗議行動を巻き起こし、表現の自由が危機に瀕していることを危惧する映画監督と漫画家に加え、ジャーナリスト、弁護士、政治家、研究者と科学者なども次々と反対の態度を明らかにしました。
人々は、懲役刑を恐れて政府職員は国民の利益に反すると解っていても内部告発を思いとどまるようになり、ジャーナリストも同じ理由から報道することに及び腰になってしまうと反対しています。

この法案は会期末の金曜日夜遅く参議院を通過、成立しました。

この法案に関する最大の懸念は、『特定秘密』の定義が極めてあいまいなことです。
国家機密が何であるかについて、この法律は担当する省庁に自由な裁量権を与え、台頭する中国の軍事力に対応するため、あるいは原子力発電所の安全を妨害するなどの理由で、様々な問題が『特定秘密』扱いされ、国民の目から隠される可能性もあります。

「秘密の定義に関する詳細な記述がほとんどありません。それが意味するところは、政府が国民による詳細な検証を望まない事項に関しては、全て機密扱いにすることが可能であるという事です。」
この法案に反対する野党社民党の福島瑞穂議員がこう語りました。

「現在の法律のままでは、何が特定秘密に当たるかを首相自身が一人で決めることが出来ます。」

この法律は防衛、外交、テロ対策、そして敵対的スパイ活動の分野に適用され、国民なら誰でも確認できる公有情報から除外されます。
与党の幹部級の議員はこの法律が報道関係の口を塞いだり、市民の知る権利を制限することには用いられないと主張しています。

しかし政府の谷垣法務大臣は、この法に関し警察が法を犯したとして告発しようとした場合に、新聞社を告発対象から外すよう求めた法案の修正要求を拒否しました。

またこの法案の担当である森少子化問題担当大臣は、原子力発電所はテロリストの潜在的攻撃目標であり、特定秘密保護法が原子力産業内で適用される場合があると語りました。
しかし同時に森大臣は、この法律が福島第一原子力発電所の放射能漏れの情報に適用されることは無いと語りました。

11月最終週与党自民党の石破幹事長は、この法案に反対して路上で声を挙げている大勢の人々はテロリストと変わらないという意見を明らかにし、国民と世論の怒りを買いました。
後にこの意見を撤回し、謝罪しました。

「現在の政権周辺には、国民全般に対する支配・統制を強化したいという欲求があるようです。」
こう語るのは明治大学法学部のローレンス・レペタ教授です。

「この欲求は国家機密を取り扱う政府にはより幅広い権限を持つ必要があるという概念と、基本的に一致しています。
そして今回の法律によって、日本のジャーナリズムを委縮させてしまおうという意図は、極めて明白なようです。」

この法律に対する広範囲にわたる反対は、安倍政権への支持率を急落させました。
朝日新聞紙による最近の世論調査によれば、昨年12月の発足以来、安倍政権への支持率は初めて50%を割り込みました。
調査を受けた人々の60%が、法案の成立を急ぎ過ぎたことに対して懸念を表明しました。

この事態に安倍首相は12月初旬、政府職員や各省庁が公共の利益に反する情報を隠ぺいするためにこの法律が濫用されることは無いと、国民を説得しようとしました。

「この法律についての誤解があります。」
安倍首相はこう語りました。
「ジャーナリストの通常の取材・報道行動を罰することが、この法律の目的であってはならない、その点は明らかです。」

その上で安倍首相は『特定秘密』について政府がはっきりとした定義づけを行い、法の運用においては監視を行うための第三者機関を指名すると語りました。

しかしこの問題を検証する人々は、安倍首相が提案した『第三者機関』は、外務省、防衛省、警察庁の高官によって構成されており、とてものこと『独立した機関』と呼べるものではないと指摘しています。

「私たちに必要なのは『第三者機関』であって、『第三者機関のようなもの』ではありません。」
野党民主党の海江田万里代表がこのように語りました。
「この法律は官僚が情報を隠すために、官僚自らが作り上げたものである、そのように言うことが出来ます。」

スノーデン・スタイルの内部告発者と、それを報道するジャーナリストを厳しく罰しようとする日本の特定秘密法の成立は、国内のみならず世界中のジャーナリストの懸念を増幅させることになりました。

国境なき記者団は、
「日本は調査報道を違法にしてしまった」
と批判し、以下の声明を発しました。
「福島第一原発の事故発生に憤慨する一般市民から、行政の情報開示、透明性の保持に対する要求が高まっているにもかかわらず、政府が情報を国家機密であるとして自在に非公開にできるような法律を成立させてしまえば、どうやって国民の負託にこたえることが出来るというのだろうか?」

人権のための国連高等弁務官のナヴィ・ピレイ氏は、国民との間でほとんど議論らしい議論をすることなくこの法律を押し付けたとして、日本政府を厳しく非難しました。
「日本国憲法と国際人権保護法が保障する表現の自由、そして適切な情報入手の権利を守るための手段を講ずることなく、日本政府は法律の成立を急ぎましたが、このような行為は許されるべきではありません。」

特定秘密保護法案の成立は、国境なき記者団が主宰する『世界の報道自由度ランキング』において、日本の順位の急落を反映しています。
2012年の順位22から31段階も順位を落とし、2013年は179か国中53位の成績でした。






更に、『ガーディアン』紙繋がりで、アベ・ラディン日本国首相、日本のジャーナリスト、及び日本国民に伝えたいのが、『ガーディアン』紙編集長の次の言葉です。








また別の方が、ドイツの『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング (Frankfurter Allgemeine Zeitung - 略号:F.A.Z.)』紙の記事「日本が報道の自由を制限・われわれはフクシマの原発事故を報道することがゆるされるのであろうか? (Japan schränkt Pressefreiheit ein: Dürfen wir über den Atomunfall in Fukushima noch berichten?)」を日本語訳なさっているので、そちらもご紹介します。



★ Japan schränkt Pressefreiheit ein: Dürfen wir über den Atomunfall in Fukushima noch berichten? - Medien - FAZ





われわれがフクシマの原発事故を報道することはまだ許されるのであろうか?

日本政府が、国家秘密保護法を強行、ジャーナリストと情報提供者にとって危険がより増大。



12月6日東京。カーステン・ゲルミス

 東京では日本の政府が外国人特派員に向けて、彼らの政策と法律を説明するのに努力するのは非常に稀なことだ。ところがこの珍しいことが今週起こった。「外国では、われわれの計画している『特別国家秘密保護法』を大変懸念する報道が行われている」、「これについて皆さんに情報を提供したい」とのことだ。外国人ジャーナリストたちが政府機関地域の霞ヶ関の味気ない役所の大部屋で、「政府関係者」から、色とりどりの図表で、なぜこの法律が報道と情報の自由に関する基本権を無視するものではないかについて説明を受けている最中に、直ぐ近くでは、同法に反対する年寄りを主とする数千人がデモをしていた。

 多くの人々が、安倍晋三首相の政府が同法を悪用して、ありがたくない情報を隠して反対派を脅かすのではないかと恐れているのだ=ちょうど前世紀の30年代に日本で起こったようにである。日本では、年寄りたちが抗議行動に活発なのは、単に老齢化社会であるからだけではなく、彼らが財政的にも独立しているからだ。政府の諸計画を拒否する日本人の多くは、抗議行動の危険を冒そうとはしない。彼らは調和と礼儀正しさによって成り立っている日本社会から除外されることを恐れるからだ。
 
 しかしながら、稀なことに、国家主義者安倍晋三が政権について以来、反対派の同法に反対する強力な抗議行動が起こっている。安倍の自由民主党が法の成立を議会で強行する傍若無人さによって、参議院では殴り合い寸前にまでにいたっている。


 批判派へのわずかな譲歩

 世論の圧力によって政府は批判に対し、最後の瞬間にいくつかの譲歩をした。しかしながら、どのように(秘密を)コントロールし、基本権を保証するかについての法律での具体的条項は、曖昧な意図表明がなされているだけに終わっている。

 政府の長である安倍にとっては、この法律は国家秘密の保護のため重要だ。なぜなら、日本を再び東アジアにおける軍事大国とし、憲法に明記されている平和的基本方針を変えようとする彼の戦略の転機点がこれであるからだ。日本には今週からアメリカ合衆国のように国家安全保障会議が設立された。日本を古い大国に戻したいとする安倍が、その実現を強行したのだ。彼が国家秘密保護法を望むのは、これなしには外国の諸大国が、情報を東京と共有しないことを恐れるからである。

 国家秘密保護法は他の諸国にもある。ではなぜ日本社会はこんなに感情的にも反応するのだろうか? その理由のひとつは、同法がすでに強力な官僚主義をさらに強固にする点にある。何が国家秘密であるかを官僚たちが恣意で決定する。同法の最後の条項にも彼らの裁量の拡大が変更されないままとなっている。
だから日本人のほぼ80%までが、都合の悪いことを隠してしまう長い伝統のある日本の政府と役所が、汚職と不都合をもっとしっかり隠蔽してしまうことを恐れるのは、何ら不思議なことではないのである。
 そしてそのような不都合なことや秘密をばらしてしまう公務員に対する刑罰は重い:国家秘密を暴けば、10年までの懲役が彼らを脅かすのだ。これまでは、最高懲役1年であった。「違います」と政府関係者は「将来も今日以上に国家秘密が増えることはありません」と言う。「違います。原子力発電所で事故があれば、これまでのように報道できます」と外国人記者たちに保証する。

 世論の圧力と、強力な抗議によって、異論の大きい法律のなかで、これまで懲役5年までの懲役を科せられるとされていた、報道の自由の保護については少しだけ強化した。修正第22条では、国家秘密を報道したジャーナリストは、「不当な」方法でその情報を入手したものではないことを前提にして、罪を問われないことになった。また不都合なことを公表する、いわゆる「内部告発者」もより保護されるべきとされた。


 デモするものはテロリストであると宣告

 政府の長である安倍はこれに加えて、法の施行を監督する専門家委員会を設置すると約束する。この専門家たちは独立した立場でなければならないとされる。ところが彼らは政府の長により任命される。ここでの問題は:これら全てが曖昧で、法律に明記されない意図表明でしかないことだ。

 批判する者はこの法律に、日本が侵略戦争を進めた30年代への回帰を見ている。当時も政府は思想の違うものを弾圧する法律を公布した。その結果、まだ若い民主主義が廃棄された。だからここ数週間の日本のリベラルなメディアでは、安倍の諸計画に反対して、ほぼ一致した批判が行われている。この民主主義の空洞化への懸念は、与党自由民主党の石破茂幹事長の発言によって募らされた。彼は法律に反対するデモを「テロ」行動に近いとしたのだ。

 政府の長である安倍が信頼する石破は、ブログに「単なる絶叫戦術は本質においてテロ行為と変わらない」と書いたのである。野党は、そこに安倍政権が民主的な基本自由権を切り取ろうとしているとの疑いが裏付けられたと見ている。「わたしは、このような意見を表明する人物がいる政府を信用できません」と社会民主党副党首である福島みづほは述べる。安倍と彼の自由民主党はこの週末、可能な限りの国会規則を駆使し、激しい抵抗に対して法律を成立させた。

(Karsten Germis Frankfurter Allgemeine Zeitung 7.Dez.2013 訳責:梶村太一郎)






法案成立後、アベ・ラディン首相は記者会見で「しっかり説明して誤解を解きたい」と述べたようですが、未だに「納得できる説明を(世界に対しても)していません」よね。

「世界中の人たちが誤解をしたまま」なのですよ。

何をしているんでしょうか。

これは「大きな国益の損失」に繋がる緊急の課題であるのを自覚してないのでしょうか?

「誤解」と言うなら海外メディアの報道に対し公式に抗議するとともに、何よりも先に一刻も早く正しい説明をして、世界中の誤解や不安を払拭するのが最優先事項であるはずです。

……でもまあ、オリンピック招致の際汚染水について「大嘘」をついた前科者の首相なので、彼の言葉「だけ」をそのまま信用する外国人は殆どいないと思われますが……(蔑)。





冒頭で言及した通り、この法案が成立した大きな要因として「日本国民の無関心」があるのなら、この特定秘密保護法の内容の危険性を知っている国民は少数派だと言えます。

そこで、法案成立前日の12月5日に放送された、テレビ朝日系列の番組「モーニングバード」の木曜日の名物コーナー〝そもそも総研 たまペディア〟の動画を最後にご紹介します。

繰り返しになるかと思いますが、この法律を知れば知るほど「希代の悪法」としか感じられないと思います。

弁護士資格を有する森雅子担当大臣(および、橋下徹大阪市長も?)を除く、日本の弁護士のほぼ「全員」がこの法律を反対している異常事態に気が付けば、誰だって「この法律は怪しい」と感付くはずなのですが、日本のメディアの多くの「情報操作」によって今も気が付いていないのでしょうか?

それとも、やっぱりそれも「無関心」という鈍感さによるものなのでしょうか?

過去の世界の歴史から「行政権力の恐ろしさ」の本当の意味を、日本人は学ばなかったのでしょうか?

もしそうであれば、世界的に見ても今の日本人は「あまりにもナイーブすぎる」ように思えます。

それとも、たまたま僕は、首相官邸前・国会周辺で「警察権力の不条理さ、不可解さ」をこの目で良く目撃しているので、そのため他人より過敏になりすぎているのでしょうか?




秘密保護法案 法案の内容 このままでいいの? 前編 2013/12/05






秘密保護法案 法案の内容 このままでいいの? 後編 2013/12/05