1960、70、80年代と長きに渡って活躍した、ソングライター・チームであり、かつ夫婦デュオでもある「Ashford & Simpson」の夫の方の「Nickolas Ashford」さんが、8月22日咽喉癌で逝去されたとのこと……。
享年70歳。少し早すぎる死のようにも感じます。
ブラック・ミュージックに偉大なる貢献をしてきたアシュフォード&シンプスンですが、残念ながら、この日本ではなぜか知名度が低い……。
僕が訃報を知ったのも、報道メディアではなく、YouTube での英語でのコメント欄を見て……。
「○○時間前」のコメントが多く、拙い英語力で英文を読んでみて、何となく「亡くなったような」意味にも取れる内容で、直ぐに名前で検索しました。
ニコラス・アッシュフォードさんが死去したのはすぐに分かりましたが、しかし、検索結果の殆どが英語での情報……。
日本語での情報は、かなりコアな洋楽ファンのブログでの記事のみです。
ブラック・ミュージックをあまり聴いてこなかった僕ですら、アシュフォード&シンプスンの偉業を知っているのに……なぜなんでしょうか?
偉そうなことを言えば、日本人ってものの価値を見極める、「見る目がない」んだな、と感じてしまいました(苦笑)。
前回少し言及した「父軍足」なんて、本国では日本ほどの人気はないそうで……、どっちが見る目があるのかは別にして、こういった例は探せばいくらでもあるんでしょうね(^^;。
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しかしだからこそ、このブログでアシュフォード&シンプスンの功績をご紹介する意義も大きいのではないか……(^^;。
長くなりますが、ニコラス・アッシュフォードさんのご冥福を僕なりに祈る意味を含めて、彼らの音楽をご紹介します。
アシュフォード&シンプスンの代表曲の多くは、1960年代に書かれました。
彼らの初期の活躍は、ソングライター・チームとして「モータウン・サウンド」を支えて来たことにあります。
「マーヴィン・ゲイとタミ―・テレル」の一連の大ヒット曲は、彼らのペンによるものです。
MARVIN GAYE & TAMMI TERRELL "Ain't no Mountain High Enough"
正に歴史に残る名曲、「マスター・ピース」です。
比較的に若い方には、次の映画『天使にラブ・ソングを2』のエンディング・クレジットで使われたこの曲を聴いたことがあるかもしれませんね。
Ain't no mountain high enough by Sister Act 2
アシュフォード&シンプスンがホイットニー・ヒューストンと共演した動画もあります。
Ashford & Simpson with Whitney Houston and Al Jarreau! (1986)
彼らが作曲して「マーヴィン・ゲイとタミ―・テレル」が歌った曲の中で、僕が好きな曲が次です。
Marvin Gaye & Tammi Terrell - Your Precious Love
そして、「マーヴィン・ゲイとタミ―・テレル」に提供した次の曲も、大変有名です。
こちらは、1990年代のカヴァー曲です。
"AIN'T NOTHING LIKE THE REAL THING" - GLADYS KNIGHT & VINCE GILL
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1990年代、他にはホイットニー・ヒューストンが、アシュフォード&シンプスンが「チャカ・カーン」に提供した「I'm Every Woman」をカヴァーし、大ヒットさせました。
Whitney Houston - I'm Every Woman
その他にも「アシュフォード&シンプスン」による名曲は数多いのですが、詳しくは次のニューヨーク・タイムズの記事をご参考にして下さい。
Nick Ashford, of Motown Writing Duo, Dies at 70 - NYTimes.com
*上記記事の中の曲名のリンクをクリックすると、YouTube で動画が見れます。
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ソングライター・チームとして名声を得た「アシュフォード&シンプスン」は、1970年代に入ると夫婦デュオのアーティストとしてアルバムを発表し、表舞台で活躍し始めます。
以下、僕の好みでアーティストとしての彼らの曲をご紹介します(^^ゞ。
彼らの「アーティストとして」の最大のヒット曲「Solid」です。
US の R&Bチャートで、シングル(Pop チャートでは12位)、アルバムとも1位を記録しました。
ASHFORD & SIMPSON - "Solid"
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そして、僕が一番好き……というか、なぜが耳に残っていて、彼らの名前を見ると思い出してしまうのが、「Is It Still Good To Ya」です。
このブログの開設当初の2008年8月8日のエントリーでも、この曲を採り上げました。
Is It Still Good To Ya?|Down to the river......
「今でもまだ、新鮮な気持ちになれるの? 今夜、それを証明してくれる?」
と、ちょっとエッチな歌詞でもあるのですが(^^;、長年連れ添ったカップルが歌うと、人生(男女)の機微……と言うか、大人の愛の深遠さを感じられて、描かれているテーマが意外と深いのです……。
この曲は「大人向き」の楽曲であるがゆえ、僕の中では「AOR」なのです(^▽^;)。
そして、(隠れた)名曲だと思います!
Ashford & Simpson - "Is It Still Good to Ya"
この曲の貴重なライヴ映像もご紹介します。
Ashforde & Simpson with Johnny Gill - "Is It Still Good To You"
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英語で「R.I.P.」という表記があります。
今回「R.I.P. Nickolas Ashford...」というコメントを多く目にしました。
これはラテン語の「requiescat in pace」の略語で、英語では「rest in peace」の意味だそうです。
「安らかに眠って下さい」という……。
最後に、ニコラス・アッシュフォードさんを安らかに見送るという意味で、次の曲で締めたいと思います。
Send It...
Ashford & Simpson - Send It