ホワイトバランス 実践編 1 | Down to the river......

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写真・音楽等の趣味や、日々の雑感、または個人的な備忘録……

写真は理系(科学)の分野なので、理論と検証(実践)の二つが大切です。
検証とは実際の撮影ですね。

その前に、デジタル以前の銀塩写真ではホワイトバランスの設定をどうしていたかを知ることは、大変参考になると思います。

銀塩フィルムは現像結果の違いから、ポジ・フィルムとネガ・フィルムがあります。
ネガ・フィルムは現像後、画像が反転しているので、印画紙にプリントしないと正しい画像になりません。
ホワイトバランス(色温度)ですが、デイライト・フィルム(5500K)とタングステン・フィルム(3200K)の僅か2種類の色温度しか対応してません。
一体様々な色温度にどう対処するのでしょうか?

それは、レンズの前に色温度変換フィルター(LBフィルター)を付けて、レンズに入って来る光の色温度をフィルムの色感度に合わせて変換していました。
実際どのくらい変換するかの補正値は、正確な色再現を要求されるプロの世界では、被写体を照らす光を直接測るカラー・メーターを使用して出しています。
ただ、非常に高価なので一般のアマチュアには手が出ません。
ですので、本などの知識と経験および勘で補正値をアバウトに出していました。

でも、昔から写真撮影してきた人の多くはLBフィルターを使ったことがないと思います。
それでも使い捨てカメラでさえ、きちんとしたプリントが得られましたよね。

その原因はフィルムにあります。LBフィルターの撮影方法は、ポジ・フィルム使用時に有効でした。
多くの人はネガ・フィルムを使用していたので、そのような面倒な作業が必要ありませんでした。
その訳は印画紙へのプリント時に色温度の補正が出来たからです。

印画紙の表面は、RGBの感光材が3層に塗られており、光を当てることで感光し像を形成します。
引伸機には、RGBの補色である、CMYの3色のフィルターが装備されていて、各色の濃度を変化させることによって、露光する光のRGB成分の割合を変化させることが出来ます。具体的には赤味(R)を押さえたい場合は、その補色であるC(シアン)のフィルターの濃度を適宜上げて調整します。
つまり、ネガ・フィイルム上の色温度のズレはプリント時のフィルター操作で補正できるのです。

実際の町の写真屋さんでは、大型の自動引伸機が適正になるように自動補正し、操作するオペレーターが小さいモニターで色味を確認し、必要ならば適宜手動で補正します。
プリント(焼き増し)をお願いする店が違うと、色味が微妙に違ってプリントされるのは、上記の理由(機械の性能およびオペレーターの判断)からですね。それが嫌で、僕はポジ・フィルムを使うようになりました。

しかし、山内順仁プロように、自分自身で暗室で手焼きのカラー・プリントが出来れば、プリント・テクニックを駆使して、自分の意図するとても幻想的で、他にはあり得ない写真に仕上げることも出来ます。それは正にアートの世界です。
昔、雑誌でCG処理したような彼の手焼きプリント作品を見た時、本気で個人で暗室を作ることを考えました。
しかし、暗室スペース、費用及び廃液処理等がネックで見送り、デジタル(PC)での画像処理を導入しました。
尚、山内順仁さんは自分の色調を追い求めて、ポジ・フィルムのネガ・カラー現像までしています(ポジとネガは現像方法が違います)。興味がある人は、彼のHPにアクセスしてみて下さい。

長くなりましたが、色温度の調整(補正)は、撮影前と撮影後の2種類があります。
デジタルでも変わりません。
よく、jpg はポジ、Raw はネガと言われるのは上記の理由からです。

次回は実際の僕の写真撮影から述べたいと思います。