少し前の話になりますが、

ようやく。
手に入れました。
狩田巻山先生「ペン字精習 上」。
 
今まで、Amazonや楽天ブックスで探しても、在庫はあるけれども中古品だったり、新品でもお高めだったり(増販されない下巻に至っては、目が飛び出しそうなお値段がついている物も(⁠*⁠_⁠*⁠)1万や2万じゃありません)。
なかなか思うような条件で買えない状態が続き、どうしようと思っていた所でした。
 
本が手元に届き、見てみますと、何と言いますか…、
こなれ感が凄い!!!
 
もう、どんな字が来ようと、サラサラっと、本当に何も悩みもなく難しく考える事もなく、そんな事はとうの昔に超えましたといった感じの、上級者の中の上級者としての余裕を感じられる字というか。
 
さすがだなぁ。。
すごいわぁ~…
 
語彙力が無いので同じ事を書いてしまいますが、こなれている。余裕がある。全然力が入っていない。柔らかい。優しい。字形は言わずもがな。
私だとこんなことしか書けませんが、とあるブロガーさんが、まさにそう!!という言葉で先生の字を表現していらっしゃいました。
 
『優美』
 
「優しくて美しい」ではなく、この熟語「優美」の2文字が、ドンピシャで刺さりました。
本当にそうだなと。
 
 
そして、線の細さや勢いから、もしかしたら筆圧がほぼ掛かっていないのではないかと推測します。
以前、ある習字教室の先生が御自身の筆圧を計量器で計ってブログに載せて下さっており、とても参考になったのですが(その記事はもう探せませんでした💧)、先生の筆圧が物凄く軽くてびっくりした事を覚えています。
これくらい軽くないと、自由に手が動かせないんだなと。
私も目指しましたが、とうしてもまだ縦書きで400g後半〜600g後半、横書きだと700gを超えてきます。
力を抜くって凄く難しいです。字形が崩れるので。
 
狩田先生の字は、サラッと軽く見えるのにきちんと強弱がついていて、そして字形や流れがまるで、、
そう、仮名の作品を見ているみたい!!
 
と思ったら、狩田先生は「かな精習」という本も出していらっしゃるんですね。
少しだけ内容を見る事が出来たのですが、
 
この臨書、もう、そのまんまじゃ!!!
原本と重ね合わせたら全くズレないのでは!?
 
狩田先生の真骨頂って、ペン字も凄いけど仮名なのでは、と思ってしまいました。
いや、何でもお出来になるんですよね、きっと。。
 
それと、この字形でこれだけ美しく書けるのは、狩田先生ならではないか、と思う字がいくつかありました。
「得」とか、「渡」とか「解」とか、その他。
仮に私が真似して字形を同じように書いても、その横線長いよ、とか、つくりが大きすぎとか下すぎるとか平たいとか言われそうだけど、狩田先生なら美しくまとめられる。
そう思わされるような字がちょこちょこと。。
 
どうしてだろう。線質?微妙なバランス?
何にせよ、唯一無二の字。
先生にしか出来ない表現の字。
 
もう感嘆の溜息しか出ないよ…
 
とにかく、先生のこの筆圧の軽さを目指したい。
一切迷いのない、震えのない、スッとして洗練された感じ。
ペンで書ける細くて繊細な線を、極限まで引き出している感じ。
ペンもポテンシャルが発揮できて、きっと嬉しいだろうな。
 

 

 
線が固い。
「お母さん、これ真ん中ズレすぎじゃん…」
と長女。
書きたい衝動に駆られると何にでも書いてしまいますが、確かに漢字練習帳に書くのはおかしかった。
線も見えていなかった(それはそれで大丈夫ですか、と思う😓)。
 
 
狩田先生。
何で、どうしてもう居らっしゃらないんだろう、と思ってしまう。
お会いしてみたかったな(御存命だったとしても、雲の上の存在だから無理かな)。
書く所、拝見したかったな。
 
そう思っているのは、きっと私だけではないはず。