いまは依頼により、古代日本研究に時間を費やすことが多い一方、

自分のメインテーマはあくまで世界史ということで。

 

イギリスで入手した一冊の気候と歴史に関する専門書をちまちまと翻訳作業中。

 

翻訳作業はひじょーに手間がかかるけれども、

引っかかったところがあればその都度関連書籍や関連論文などを調べられるので、

実は英語も内容も一番知識が身につきやすい(と己は思う)。


翻訳本も助かるけど、たまにすごい間違いもあったりして油断できない

 

ただ、一度引っかかると延々と抜け出せないので

そしてその論文が英文であったりすると、

翻訳に次ぐ翻訳になり

遅々として本来の作業が進まない事実。。 


そしてここのところ古代日本にいたのでまったく手がつけられていなかったうえ

古代メソポタミアと古代エジプトにとてつもない時間がかかり、

今はまだインダス文明にいて、ローマ帝国にすらたどり着いていない😂

 

早くマヤ文明に入りたいんだけど。。

 

これはもう、人生のテーマだと思って進めていくしかなさそうですわ。

 

古代日本については、どちらかというと隠された日本の姿を解き明かす、

というのがテーマとしてあるのだけれど、

世界史に関しては自分の専門でもありあくまで学術的に向き合っているので、

自分的には、フィクションとノンフィクションでバランス(中庸)をとる、

というような形が合ってるみたい。

 

ある意味生き方そのものかもしれないけど。

 

ということで、今回取り上げたい古代エジプト。


いろいろ調べていると、古代日本との繋がり云々という話はよく見かけるし、

実際そういう部分もあるのだろうとは思いつつ、

今回は思いっきりリアリストな立場から。

 (このブログはもともとわりとそっち寄り。

一方で、携わるYouTube動画は超ファンタジスタキラキラ



古代エジプトは定期的に繁栄と滅亡をくり返す。

 

そして、エジプトを繫栄させたのは、

歴史学の始まりともいえるヘロドトス大先生のお言葉

 

エジプトはナイルの賜物

 

に集約されていて、ナイル川の存在それ一つに尽きる。

 

ということは…

 

ナイル川が調子よいときはめちゃくちゃに繁栄するし、

ナイル川の調子がよくないと、その影響をモロに受ける、

ということになる。

 

Volcanic suppression of Nile summer flooding triggers revolt and constrains interstate conflict in ancient Egypt 

 

という論文の中では、

ナイル川の調子の悪さ=洪水量の低下は

Nile failureという言葉で表現されている。

failureという単語は、「失敗」と直結してしまいがちだけど、

「不足」という意味もあるんだよね。

 

いずれにしても、Nile Failureの年の早ければ翌年には影響が出て、

遅かれ早かれ神たるファラオの権威が失墜する。

 

Nile Failureのときの記録は本当に恐ろしくて、

親が子供を食べたとか、なんかもうとにかく凄まじい。

世界史の授業って、なんか淡々と出来事が経過していく感じだけど、

こういう「リアルな世界」をもっとしっかりとした分量でやるほうが

よほど為になるんじゃないかと思うんだけどね。

 

…って、他人事にせずに己でやればいいだけだわ。失礼。

 

そういう話が聖書のベースになってたりもするので、

一気に自分と世界が近づくと思われます。

 

さてこのNile Failure。

ナイル川の水量が少なくなるということは、何か原因があるわけです。

 

それが気候変動、といってしまうのは簡単だけど、

なんで気候変動?そしてなんで水量が減るのか?という疑問にぶち当たる。

 

この論文はその謎を解明する手がかりをくれるよき論文で、

まぁタイトルを読んでいただければわかる通り、

 

Volcanic

 

つまり、火山噴火です。

 

なーんだただの噴火かと思うなかれ。

 

火山活動の気候への影響に関するほとんどの研究は気温変化に焦点を当てているが、

現代においても歴史的においても、社会は水文学的な変化にも脆弱なのである。

 

とは論文の重要な一文。


そう、火山噴火は、気温を低下させるだけではないのだ!

 

論文をすごーーーくかいつまんでみると、

 

宇宙空間へのエアロゾル散乱

 

 

対流圏の温度低下

 

 

特定の風分布により集められる水の質量が減少

 

 

降水量から表面蒸発を差し引いた量が減少する

 


ただ単に気温が下がったから、というだけでなく、

エアロゾルが水量にも影響するから大変なことになる、

ということ。


水蒸気が減る、といってもよいかも。

 

そして、地球上にはいろいろな風循環システムがあるわけで、

影響が出やすい地域、というのが出てくるのも当然ということに。

 

実際、20世紀に起きた5回の噴火のあと、

サヘルを越えてエチオピアに至る地域と、

白ナイルと青ナイルに水を供給するアフリカの赤道地域において

降水量が抑制されたことが明らかになっている。

 

そして、この20世紀最大の五つの噴火は、

紀元前500年以降の最大の火山活動283件中、

平均して132位に過ぎないと。



132位!!


 

1位のときの影響なんてどれほど恐ろしいものだったか。。。

16世紀とか、18世紀とか、なかなかに悲劇ですよ。

世界史の激動のときには必ずといってよいほど、、

 

よく人類は生き残ったものだなと思いまする。

 

恐竜滅亡は隕石によるものとされるけれど、

このときも原理としては似たようなものかもね。

 

この論文は、「水文(気候)学=Hydroclimate」というあまり聞き慣れない学問の話で、

調べたけど日本には名大など数える程度しかなさそう。

 

個人的にめちゃくちゃ重要な気がするんだけど。

なんなら入りたいくらい😂


本当に世界史なんて、人間の意思なんかほとんど関係なくて

環境決定論じゃーという暴論に行きつきたくなる気持ちもわからなくもない。

 

まぁでも実際は人間にとって環境と遺伝のどちらも大事なように

 

あまり教育学では遺伝遺伝いうのは好まれないっぽいけど。

教育だと遺伝はどうもできないからね。

でも遺伝っておそらく物凄い重要なんだと思う。

 

そんな単純なものでも(たぶん)ないし、

やたら地震の起こる国と起こらない国で環境のとらえ方も違うだろうし。

 

感覚的に…

古来より日本人は耐え忍ぶことを良きこととし、

ヨーロッパなんかは克服することを良きこととしてきたような気がする。

(イギリスのマンションでそれを思い知った。

億ションだからとかそういうのではなく、そもそもの考え方)


それがそれこそ長年の遺伝子に組み込まれてしまっているなら、

耐え忍ぶ遺伝子はなかなかに強力なんだろうなぁ…

 

あんまり耐え忍びたくないんだけど笑

 

まぁとりあえず、人類と気候の関係をできるだけ解き明かしていきたいので、

めっちゃくちゃマイペースにだけど進めていきたいと思います。

 

古代インドのこととかほとんど知らなかったに等しいんだな…

とちょっと落ち込みながら笑

 


なーんかなぜかエジプトってあんまり行きたいと思ったことがなくて、

(イラクとかイランとかシリアとかレバノンは今すぐでも行きたいのに)

エジプトの写真がないので、、





ロンドンにある、エジプトのオベリスク。
クレオパトラの針

オベリスクの語源ってギリシャ語のobeliskos「串」とは知らなかった。
たしかに串だよね、間違いない。
「串」が妙にオシャレに聞こえるオベリスコス





パリのコンコルド広場のオベリスコス




この数時間後にパリのロマたちにサングラスを盗まれることをこのときはまだ知らない、、真顔