HER2タイプ転移・再発乳がんに対するいわゆる標準治療として、
治療ライン
① ハーセプチン+パージェタ+タキサン系抗がん剤
② カドサイラ or エンハーツ
③ エンハーツ or カドサイラ
が推奨されているかと思います。
確かに、ハーセプチン+パージェタ+ドセタキセルはハーセプチン+ドセタキセルよりも、無増悪期間も全生存期間も延長する事が、統計学的に証明されています。
比較は「延命」です。
「完全寛解」「無病状態」「根治」ではありません。
N Engl J Med 2015; 372:724-734
DOI: 10.1056/NEJMoa1413513
この論文には、どれくらいの割合で完全寛解、あるいは無病状態になるかの記載はありません。
元々、この臨床試験を組んだ先生方と私とは、見ている先、思い描く景色が全く異なる様です。
HER2タイプ乳がんにハーセプチン+パージェタを最初に使う事は、根治を目指す場合、バイオロジーの観点からは、大袈裟に言えば「とんでもない治療」と私は考えています。