CTC (循環腫瘍細胞:Circulating Tumor Cells)の薬剤感受性を調べる事に意義があるのかどうかについてですが、採取するCTCがバラバラの一個一個の単一細胞が前提で話しを進めます。
CTCのDNAやRNA発現を調べるとした場合、とても重要な問題があります。
それは「形質転換」です。
乳がんは乳管上皮から発生します。
基本的には、比較的早期の原発巣は多くが上皮系ですが、増大に伴って悪性化の過程として、間葉系がん細胞に移行する細胞が現れます。
この形質転換は「上皮-間葉移行(EMT:epithelial to mesenchymal transition)」と呼ばれています。
乳がん細胞が上皮系である間は、比較的薬剤感受性や放射線感受性が高い状態にあります。
間葉系がん細胞は、薬剤抵抗性や放射線抵抗性があり、治癒しにくい状態にあります。
間葉系細胞になると接着因子(E-カドヘリン)の発現が低下して、細胞がばらけ始めます。
また遊走能・浸潤能が高まり、やがて血管・リンパ管に到達します。
それが血管に入って、血流に乗り、血管内をぐるぐる回り始めます。
これがCTCです。