食事療法でがんを治す、と言う方がおられます。
昔、乳がんにかかられた患者さんで、手術の後に、ニンジンジュースで再発予防をする、と言う方がおられました。
一日2リットルのニンジンジュースを飲む方法でした。
そのうち、身体の色がかなり黄色くなっておられました。
この患者さんは栄養失調気味になり、その後対側の乳がんを発症されて、ニンジンジュース療法をやめられました。
その方にとって、一日に2リットルのニンジンジュースを摂る事はかなり負担だった様です。
本来摂るべき様々な栄養を摂る事よりも、ニンジンジュースをとにかく2リットル飲むことの方が、優先順位が高くなってしまって、栄養失調になられたのです。
また別の方ですが、突然肝機能異常になり、サプリメントを摂られてないか訊ねましたが、何も摂ってない、との事でした。
思い当たる薬剤を中止しましたが、全く改善せず、もう一度訊ねると、実は「肝油(実際どんなものか分かりませんが)」の錠剤を飲んでいます、との事でした。
成分を見るとビタミンEが入っていました。
性格がある程度大雑把で、時々摂る様な飲み方であれば、大抵大丈夫です。
しかし、この方はきっちりとした性格の方で、最大限の効果を得るために、書かれている量の最大量を、毎日きっちりと飲まれていました。
私はビタミンE過剰症を疑い、「1週間だけ、飲むのをやめていただけませんか。」とお願いしたところ、肝機能はあっという間に基準値まで下がりました。
私は基本的には、治療に支障が無ければ、サプリ摂取を否定はしません。強くお勧めもしませんが。。
その代わり、成分の書いてあるところを持ってきていただいて、チェックはさせていただきます。
ある精神科の先生で、患者さんにがんは食事療法で治る、と言う本を書いたり、講演されていた先生がおられました。
その先生がある時、大腸がんになられました。
その先生は、直ぐに手術をされて、その後抗がん剤治療を受けておられました。
私は思わず呆気に取られてしまいました。
少なくとも自分が人に勧めている事は実践して欲しいなぁ、と思いましたが、人の命は大切ですので、それで一つの命が助かったのなら良かったかもしれません。