こんばんは、はるとです。
きょうも、ひとりぶんの転職の話をさせてください。
思い出したのは、27歳の男性のこと。
施設警備員として働いていた人です。
夜勤中心の勤務だったそうです。
巡回、カメラチェック、鍵の管理。異常があれば即対応。
何も起きない時間が延々と続くのに、いざというときは瞬時に動かないといけない。
24時間拘束される日も、珍しくなかったといいます。
規則の上では、ちゃんと仮眠時間が確保されていました。
深夜2時から4時、交代制で休む決まりです。
その日も、彼は決められた時間に、決められた部屋で横になっていました。
巡回も引き継ぎも、済ませたあとのことです。
ところが翌朝、職場の空気が妙だったそうです。
何人かの同僚が、彼を見てにやにやしている。
見せられたスマホには、社内の全体チャットに投稿された一枚の写真。
仮眠室で眠る、自分自身の姿でした。
撮ったのは、たまたま巡回に来た上司だったといいます。
添えられていたコメントが、これです。
「勤務中に爆睡してる緊張感ゼロの警備員」
「これでお客様の安全、守れるんでしょうか」
全営業所のスタッフが目にするグループでの投稿でした。
すぐに上司へ連絡したそうです。
「仮眠時間中でしたが」
返ってきたのは、こんな言葉でした。
「寝てる姿って、見た目悪いんだよ」
「仮眠でも、すぐ起きる緊張感は持っとけ」
「わざわざ撮って、全社に流す必要ありましたか?」
そう聞くと、上司は笑いながらこう言ったそうです。
「注意喚起だって」
「恥ずかしいなら、寝なきゃいいだけの話でしょ」
その日を境に、彼はまともに眠れなくなりました。
また撮られるかもしれない。寝顔を見られるかもしれない。
誰かが、いつ部屋に入ってくるか分からない。
横になっても、小さな物音ひとつで目が覚める。24時間勤務なのに、休めない状態が続いたそうです。
笑っていた同僚もいれば、「あれはひどいよね」と言ってくれる人もいたといいます。
ただ、誰も上司には逆らえませんでした。
判断力が落ちているのは、自覚できたそうです。
さっき確認した場所を、もう一度確認してしまう。
それでも、「休みたい」とは言い出せなかったといいます。
面談での第一声は、「寝てた僕が悪いんですかね」でした。
私は、こう返しました。
「規則どおりの時間に、規則どおりの部屋で寝ていた。それのどこが、あなたの落ち度ですか」
彼は、しばらく黙っていました。
——ここが、いちばんの分かれ目でした。
「注意喚起」という言葉は、都合よく使われがちです。
でも、決められた休憩を勝手に撮影して社内中に晒すのは、注意喚起とは呼びません。
人を追い詰めるための手段でしかないんです。
そして、そういう組織は、狙いを定めた相手に理由なんて用意しません。
彼が次に選んだのは、同じ警備でも、担当先が固定されたオフィスビルの仕事でした。
24時間拘束はなく、夜勤と日勤がきっちり分かれています。
仮眠室に誰かが撮影しに入ってくることも、もうありません。
年収は、ほぼ横ばいだそうです。
面接で前職の話をすると、担当者はこう答えたといいます。
「休憩中の部屋に無断で入るのは、うちでは完全にアウトです」
当たり前のことを当たり前に言われたのが、逆に心に残ったそうです。
物音のたびに飛び起きる、ということはなくなりました。
数か月経ったころ、彼はこう言っていました。
「仮眠が、やっと仮眠として機能してます」
面接の場でも、あの写真の件を包み隠さず話したそうです。担当者は驚いた様子で、「うちでそんなことがあれば、上司のほうが処分の対象です」と言い切ったといいます。その反応を見て、ようやく肩の力が抜けたそうです。
写真を撮られた夜のことは、いまも時々思い出すそうです。
それでも、次の仮眠室では、物音を怖がらずに目を閉じられるようになりました。
いま、ちゃんと休んでいるだけなのに責められている、あなたへ。
規則どおりの休みは、サボりでも何でもありません。
それを撮って晒す人がいる時点で、その組織の規則は形だけなんです。
守られない場所で、これ以上すり減らなくていいんですよ。
では、また明日。
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【今日のブログのおまけ】
「規則が守られる職場を見分ける」考え方は、私が本業で運営しているサイトにまとめています。
元面接官として、転職サービスを実名で辛口レビューしています。
よかったら、のぞいてみてくださいね。
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・夜勤・交代制の働き方を、じっくり見比べたい人は
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