時代の流れとともに、この場所は、『セピア色の風景』になります。

新しい場所で、また何かが始まるでしょう。

 

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『セピア色の風景』とは、現実には消えてしまった、心の中の景色。

心の中で、時間とともに、セピア色のフィルターに覆われていく記憶です。

セピア色のフィルターは、その記憶を隠すためのものではありません。

セピア色のフィルターは、大事なものが本当に消えてしまわないように、守るためのものだと思います。

容赦のない視線を避けて、かつて、そこにあった記憶をセピア色の衣で、大切に包んでいるのです。

 

時代の流れとともに、『セピア色』になった風景・記憶。

この、『セピア色の風景』を、気まぐれ画廊においておきます。

 

現実世界は、原色のまま流れていきます。

 

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山形の老舗の画材屋、彩画堂さんが、創業の地である山形市本町を離れて移転することになりました。

彩画堂さんのアトリエをお借りしていた、僕の『スケッチデッサン講座』も、ここでの活動は終了となりました。

5年間続けさせていただいた講座ですが、これでおしまいかなと覚悟しました。

生徒さんたちにそのことを告げると、何とか続けてほしいと言っていただけました。

本当に、涙が出るほどうれしかったです。

おかげさまで僕の講座は、場所を変えて何とか存続することができそうです。

彩画堂さんで講座を続けた5年間、本当にいろいろなことがありました。

最初、講座を始めようと思ったときは、誰も生徒さんがいなかったので、芸工大の学生さんにお願いして生徒になってもらったのでした。

途中、やめてしまおうかと思った時も、店員さんに励まされて続けることができました。

コロナが始まった年は、生徒さんがいなくなって、しばらく休んでいました。

再び応募してくれる人がいて、なんとか復活しました。

グループLINEでコミュニティを補完していただき、今に至っています。

いろんなご縁と出会いがありました。

最初は手探りだった講座ですが、5年前に比べてずいぶん進化したようです。

おかげさまで生徒さんに支持していただけたのだと思います。

決して自分一人でやってきたことではなく、

生徒さんや店員さんたちに支えられて、何とかやってこれました。

望んでいる人がいるのなら、これからも続けていきたいと思います。

絵を描く中で、生徒さんたちの様々な気づきの言葉をお聞きすることができました。

人様に教えさせていただくことで、僕自身が一番成長していると感じています。

時代の流れとともに、この場所は、『セピア色の風景』になります。

新しい場所で、また何かが始まるでしょう。

 

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現実世界は、原色のまま流れていきます。