今日も上機嫌でいきましょう!

 

バイリンガル手打ち十割蕎麦職人の御尓沢明です。

 

さて、前回はハワイの人達が食べ物に関してなぜ質より量を優先して

しまうのか?についてお話しました。

 

今日は、ハワイに進出する際、物件契約後にあれよあれよと出てくる、

「それ、早く言ってよぉ〜な経費」についてお話しします。

 

 

③ハワイ進出は、初年度が一番資金が出ていく

 

これは日本でも会社を経営されていらっしゃる方なら、よーくお分かり

かと思います。しかし、アメリカのそれは国の大きさくらい日本との差

があります。

 

特に初年度です。手元資金を今後の運転資金として残しておきたい!

って時に、そそくさと出ていきます。

 

当たり前のことなんですが、日本でどれだけ成功しているビジネス

オーナーでも、アメリカ進出の際は海の物とも山の物とも分からな

い新参者です。信用がゼロですから、全てが最高値、前払いとなり

ます。

 

それでは、一つ一つお話ししていきましょう!

 

①弁護士、会計士費用

 

 法人登記、就労ビザ申請、アルコール販売のためのリカー・ライ

 センス申請(アメリカではリカーライセンスがないとお酒を売れ

 ません)等々、申請手続き時はどうしても弁護士を雇うことにな

 ります。もちろん、税務上の手続きなどもありますので、会計士

 も必要になります。この士業の人たちの費用が、とにかく高い。

 

 特に就労ビザとリカーライセンス。私の場合、25年前ですが併

 せて200万円(ビザ150万円、リカー50万円)かかりました。

 今はどちらも取得が厳しくなっているので、もっと高いと思い

 ます。

 

 私の場合、幸いにもリカーの方は特別に割り引いてもらったの

 で、安く済みましたが、本来なら100万円かかるところでした。

 

 ↑ミーハーな私は、ハリウッド映画で弁護士が法廷でカッコよく話し

  ているシーンを散々見ていたので、渡米前はある種の憧れみたいな

  ものがありました。今は、できるだけ関わりたくない人達です。

 

 彼らと会う前に知っておかなければならない事があります。

 彼らと過ごす時間は1分たりとも無駄にしてはいけません!

 最初、私はそれを知らなかったばっかりに、会計事務所に挨拶

 へ行った時、日本から手土産を買って行き、会議室で世間話を

 30分ほどして退席しました。

 

 後日、その会計事務所から封筒が届き、開けてみるとそれは、

 

 ミーティング30分:$120

 

 の請求書ではないですか!(手土産返せ、このヤロー!)

 

 ようこそアメリカへ! を実感した瞬間でした。

 

 以来、よほどの事がない限り、彼らには連絡を取らず、事務所に

 行く時は、用件を箇条書きにし、受付の所で立ち話で済ませ、

 会議室には絶対に入らない、という作戦でいきました。

 

 彼らとの世間話は世界一高くつく

 と認識しておきましょう。

 

 

②火災保険

 

 これが一番、開いた口が塞がらなかった経費かもしれません。

 

 知らない人のために説明しておきますと、日本で飲食店の火災

 保険に加入する場合、プラン内容と店のサイズにもよりますが、

 年間で大体5万円前後が相場です。これを覚えておいて下さいね。

 

 ハワイではいくらかかったでしょうか? 時は1995年です。

 

 なんと、

 

 初年度は150万円かかりました。

 

 この金額を聞いた時の私と親方の表情、そしてながーい沈黙の時間は

 本当に録画しておきたかった、と今でも思います。

 

 2年目は70万円に下がりますから!

 

 と慰めるようにセールスの方が笑顔で説明してくれましたが、

 

 それでも70万円かい!と私は心の中でその人にハリセン・ツッコミ

 を入れてました。

 

 保険に絡んだ高額な費用は、まだ続きます。

 

 

③健康保険の会社負担額も高い

 

 ご存知の方も多いかと思いますが、アメリカは日本のような国民

 皆保険というシステムがありません。民間企業の保険プランに入

 らなければ、医者にかかった時は天文学的な金額を請求されます。

 つい最近の話ですが、米国でコロナに罹り3ヶ月間入院した女性

 が、病院から13億円請求されたというニュースがありました。

 もう笑うしかありません。

 

 前回のブログでも書きましたが、この保険プラン、個人で入ると

 ものすごく高くつきます。家族4人で月15万円位ですね。しかも、

 これには歯科と眼科は含まれていません!それを追加すると一人

 5万円以上するので、家族4人で20万円ということになります。

 ひょえぇ〜!!

 

 法人向けには、契約人数が多い分、この費用は若干安くなります。

 それでも一人当たり4万円以上はします。そして、これが米国なら

 ではの仕組みなのですが、州によって会社と社員の負担比率が違う

 のです。

 

 ニューヨーク州は、極端に経営者よりでして、保険プランそのもの

 を社員に提供しなくてもOKです。従って、小さい飲食店ですと、

 うちは保険プランないよ〜、という場合が多いです。

 

 一方のハワイ州は、被雇用者が圧倒的に優遇されており、週20時間

 の勤務が3週間以上続いた場合、健康保険に加入させなければいけ

 ません。そして、保険プラン費用に対する会社と社員の負担比率は

 会社が98.5%:社員が1.5%。全米でハワイが一番会社の負担率は

 高いのです。

 

 

④各種許可証

 

 これは、許可証が高いというよりも、下りるまでの期間が異常に

 長くかかり、開業できずに家賃の空払いが発生することがアメリ

 カの場合はよくあります。特に建築許可です。現在のハワイは、

 そこまでひどい状況ではないと思いますが、シアトルやサンフラ

 ンシスコなど建築ラッシュの都市は、半年以上かかる事も珍しく

 ありません。因みに、私が知っている最長期間は1年半です!

 

 

⑤電気配線や排煙設備

 

 

 

 最後はかなり突っ込んだ内容になってしまいますが、物件の

 電気配線や排煙設備のやり直しは思いの外、経費がかかりま

 す。よくあるのは、各厨房設備を設置した際、電気使用量の

 合計が大幅に既存の容量を超えてしまうこと。排煙設備であ

 れば、排煙の管を延長しなければならないとか、設備そのも

 のを取り替えなければならない、などです。あとはグリスト

 ラップのサイズも確認しておいた方が良いです。グリストラ

 ップの取り替えは1,500万円以上かかります。気をつけまし

 ょう。

 

 できることなら、施工会社の人と一緒に物件を見学し、事前

 にどこをどう改修する必要があるのか、修繕が必要な箇所、

 配管や電気配線のレイアウトなどについて明確にしておくこ

 とです。ハワイは厨房設備もアメリカ本土から送られてきま

 すので、時間もお金も余計にかかります。気に入った物件は

 一刻も早く契約したくなる気持ちはわかりますが、ここは

 落ち着いて詳細を詰めていきましょう。

 

 以上、今回は出店前の見えない経費についてお話ししました。

 

 ご参考になれば幸いです。

 

 では、また!