久しぶりの荒天下ドライブ | はったブログ

久しぶりの荒天下ドライブ

 コロナ前の冬のことです。北海道の警察に研究協力依頼に行ったことがありました。知り合いの道議会議員に頼んで、警察署長に面会し協力を依頼したのです。この研究計画はコロナで中断を余儀なくされて予定通りには進捗しませんでしたが、共同研究者2名と千歳空港でレンタカーを借りて、吹雪の中を2時間走り、計画していた荒天での道路状況のビデオが撮影でき、喜んでいたのですが、八雲町で一泊した翌日は暴風雪の天気となりました。高速道路は閉鎖され、前も見えないほどの吹雪の中を地道で3-4時間ほど走り(若い共同研究者が運転して、僕の出番はなし)、千歳空港まで来ると、飛行機は飛ばず、急遽札幌駅近くに宿を取り(ぐしゃぐしゃの雪道で革靴は濡れて大変)、翌朝一番の飛行機で這々の体で帰阪したのでした。

 

1 0月初めにこの北海道の荒天を思い出す経験をしたのです。前日、講演依頼のあった自治体から連絡があり、悪天候が予想されるので、飛行機が飛ばない場合の対応の相談があり、飛んだ場合は予定変更で、空港まで車で迎えに来てくれることになりました。関西は好天続きであったので、北海道の天気予報は全く気にしていなかったのでした。

 

 実は、連絡があった前々日から三重の民宿に友人らと旅行に行っていたのです。この1泊旅行は大学1年時からの友人6人での旅で、毎年大阪市内の何処かで食事をする会を続けてきたのですが、僕が退職したので泊まりがけでということになったのです。

 

 友人が30年来通っているという有名な民宿は、大阪からは往復で500Kmを超える場所にあり、毎年この宿は話題には登るのですが、なかなか実現しなかったのです。ミシュランの星を取ったというのも頷ける宿で、確かに食べ物は豪華で、量が多くて、美味で、満足しました。お互い知り合って60年になり、バカなことばかりしていた頃を次々と回想したことであります。もちろん、全員80歳近くになっても腰は曲がらず、元気で飲み食いできる幸運を喜び合ったことであります(もっとも、卒業した夏に1人が急逝し、4人の心理学専攻の卒業生で残った3人がこの会のメンバーなのです。毎年彼女のことは話題にするのですが、思い返せば、今年は食べ物の豪華さに浮かれてしまい、早逝した彼女を話題にするのを忘れました。ゴメン!)。

 

 話が横道に逸れましたが(これが老人の認知機能特性の一つ)、 要するに、北海道の天気予報は全く気にせずにいたのです。自己中心の思考という想像力の欠如も、老人の認知機能特性の一つであります。

 

 朝一番の千歳行きは予定通り飛び、構えていたほど揺れずに着いて、迎えの人と合流して、八雲町まで高速道路を南下したのですが、途中で台風並みの強風と豪雨に出くわしたのです。車は時折横揺れで浮いているような感覚を何度も味わったことであります。この時、数年前の暴風雪下でのドライブが想起されたのです。北海道の自然の厳しさは、建物が林立する都会では経験できない類のものです。

 

 無事、予定通り講演会場に着きましたが、台風並みの天気が理由でしょう、会場での参加者は30人ほどでした(検診結果を返却するので、何時もは100-150人ほど集まるのです)。80歳以上になっても60歳代の認知機能を持つSuper-agersになるためにどうしたら良いかを話しました。自治体の健診事業は40周年になりますが、2001年に僕たちが継続中のこの事業に参加するようになって24年目なのです。最初の参加時、2001年の自分の写真を見せて(この写真はアエラのカメラマンが撮影したクレジット付きのもので、遺影に最適と当時話していたものです)、もう使えない、人は老化するものであるというツカミは受けたので、前日の長距離運転の疲労感も忘れ、気分良く、同じ町内の40 Kmほど離れた別に地区でも話したのでありました。その後、用意してくれた温泉宿で泊まり、翌朝函館から帰阪しました。昨夜の荒天で倒木があったと言うことで、予定していた特急はキャンセルとなり、函館では時間の余裕はなく、そそくさと帰阪したのでした。

 

 三重から北海道とハードな6日間を何とかこなせたので、この調子ならSuper-agersになれるかもと思うのですが、同時に「儚いのが人生と」言う蓮如の御文章も浮かんで来るのであります。