出版ラッシュ? | はったブログ

出版ラッシュ?

 

 どういう巡り合わせか、自分が関わる本の出版が(大げさだけど)ラッシュ状態なのだ。

 先だって、「左対右 きき手大研究」の文庫本が化学同人社から発行された(5月15日刊)。この出版社が過去に選書で出したものの中から選び出して、文庫スタイルで始めたシリーズに入れてくれたものである。選書の内容ままでも良いという話だったが、出版後10年ほどの間に勉強した分を加筆した。

 その後、NHKが監修して「チコちゃんのギモン365」が7月1日刊で出版された。宝島社が出版元で、初版3万部という。僕が関わった回の記事のチェックをせよということで原稿を見た。印税はありませんということであった。放送5年分から厳選した、放送回に入れて貰えたことで満足だし、献本を孫と自分に贈ってもらったので文句はない(4年生の孫が届いた本を読めたと言ってきた)。

 この種の話に対応している頃に、日本文芸社からコンビニなどで販売するという「図説 左ききの話」を出すので、監修してほしいという依頼があった。7月半ばに刊行される予定で、アマゾンではすでに予約注文を始めている。

 実は本の監修という作業依頼は二度目で、最初の仕事は「騙された?」と思っているので、迷ったが編集者の対応が誠実だったので、「まあ、いいか」と引き受けた次第。監修本は、翻訳などを専門家でない語学の達者な人がした場合に、誤訳がないかを確認するのがたいていの場合で、友人もしているので、興味半分で引き受けた次第。

 最初の「騙された?」話は、僕の本が素人には難しいので分かりやすくしたいと言うことであった。自分の能力不足を補ってくれて、お金が入るのなら悪い話ではないと、卑しい魂胆があったのは否定しない。

 「騙され本」はアマゾンで検索すると、色も鮮やかな表紙でいまだに出ている。その度に不愉快な記憶が蘇るのだ。「選ばれし民…」というタイトルである。「騙された?」と思っているのは、このライター(2010年当時30歳代の男)は、日本文芸社の提案と同じように、化学同人選書のダイジェスト版を作りたいということであった。出張ついでにこのライターと会って、彼が送ってくる原稿に目を通す約束をした。正確に覚えているが、印税を提供するということであった。

 しばらくして1、2章分がメールで送られてきた。加筆修正をして送り返すことを2度ばかりした。「言い過ぎの部分」が多いので、直して送り返したのだった。その後、ピタッと原稿が送られてこなくなったが、自分の仕事も忙しいし、出版をやめにしたのだろうと思っていた。ところが、半年ほど経過した頃に、知人から僕の本が出ているという。慌てて梅田の旭屋本店に行って探すと、一冊だけ「選ばれし民…」の本が書架に見つかった。帯を著名な博物学関連のタレントが書いており、僕の名前は帯に隠れて見えないように小さな活字で印刷されていた。中身を見るとイラストがいっぱいの趣味の悪い構成で、とても自分の名前を冠するのは困ると思える(大したものではないけど)品物であった。

 僕のところには発行された本がきていない。何部くらい印刷されたのかももちろん知らせてきてはいない。

 文句を言わねばと、出版社を探すと(この出版社はHow toものや自己啓発本を電車の窓に貼り付けているのをよく目にしていたのだったが)、倒産したのか、もう存在しなかったのだ。どこにも文句を言って行く先が無い状態のままで、10年以上が経過している。

 ハッキリ言えるのはこの本は、僕は監修をしていない。内容に責任は持てない、というのが最初の監修にまつわる失敗談である。ライターも修正箇所が多くて対応が嫌になったのだろうが、音沙汰なしは、ダメである。追求する気はもうないが、アマゾンからは消してほしい、どうやれば良いのかわかる人は教えてい下さい。

 

 今回の日本文芸社の記述内容は、ライターは素人向けの書き方で間違いという箇所は数箇所あったが、ちゃんと目を通したので、内容に一定の責任を持てるものである。コンビニで見かけたら、購入ください。

 

 それにしても、きき手や左右脳の働きの違いの話題がこんなに長く続くのに驚いている。心理学研究のたいていの研究テーマは10年ほどわっと盛んになって、大勢が研究し始めるとすぐに消えていくものなのに、1974年にラットの左右脳の研究論文(左と右に異なる記憶を植え付けたら、ラットは困ってしまう、という内容)が初めて国際誌に掲載されてから46年も経過しているのに、消えていかない研究テーマとの巡りあったことになる。運がよかったとしか言いようがない。改めて、この研究テーマに導いて下さった平野俊二先生に巡り合った幸運を感謝したい。

 

 以上、2月ほどの間に僕が経験した出版ラッシュ(?)で、たいそうな言い方だが、キャリアハイの経験である。

 

 先ほどまで、MLBの大谷選手が、8回13三振奪取、ヒット1本6勝目の活躍をT Vで見ていた。前日2本のホームラン8打点で暴れたのに。キャリアハイというのはこういうのを表現する用語であろう。まさに、「オータニさん、スゴイ!」である。