時代遅れとなったなあ | はったブログ

時代遅れとなったなあ

PCを使い始めたのは同年齢の人たちより早く、1970年代であった。当時の心理学教室の予算は少なく、階層にかかわらずに平等に配分はされていたが、共通経費は16人で300万弱のであった。PCを使っていた記憶があるので科研費以外に購入できるはずはない。50万近くしたように思う。僕の指導院生以外も欲しいと教員に訴えるので、院生には平等にすべきという教授らがいて、僕には共通経費は配分されなかった(代表者は教員養成大学では研究は不要であり、院生不要論者であった)。何もしない人が研究費を多く配分され、科研費を取ると減額されるのは不合理と立腹していたが、講師になりたてで年功序列の壁は厚かった)。

 それ以降、カセットテープに記録されたプログラムを読み出しての統計処理、5インチ、3インチのフロッピーディスクなど、もはや死語となっている物を使って情報化社会に対応してきたつもりであったが、最近のインターネットシステムには、もうついていけていないことを思い知らされた。4週間ほど前のことである。所属している国際学会の名簿から探したというメールが海外のある会社から届いた(経歴などの条件を満たすのでという、くすぐりも書いてあるし、日本語が主のバイリンガルが要件という)。何でも神経心理学検査の妥当性を検証する方法の評価や治療効果の測定評価の妥当性の検証を生業にしているらしい。そんなことが商売になっているのかと、この会社のビジネスモデルへの興味、そして退職した後の時間を潰すのに良い老化防止になるかもしれないという関心、時間的な制約は特にないという条件、どれくらいの対価をくれるのかといういわば助平根性もあって、プロポーザルに「関心あり」と返事を送った。

 するとすぐに返事が来て、インタビューしたいのでPhoneをかける時間合わせを言ってきた。「時代遅れとなったなあ」と後で気づくのは、Phoneとはインターネットを介してのテレビ電話のことだと気付いたのであった(このときは、join.meというテレビ電話ソフトで時間とコード番号を知らせてきた)。また、時間予約もこちらがメールで知らせた時間(時差が念頭にないので東部時間であった)が僕のPCのカレンダーに相手から記入されていたのにも驚いた。

 ともかくインタビューの時間(結局夜になったので夕飯時にアルコールも飲まず)に待機した。結果は待ちぼうけでインタビュー不成功であった。理由は僕のPCにjoin.meのアプリを入れていなかったという初歩的な誤りである。Phoneといえばネットでのやり取りで日常使っているアプリを相手も使っているという想定類似性の錯誤によるミスコミュニケーションである。僕は、Phoneは固定電話が掛かってくると思っていたのだから「時代遅れ」なのだ。翌日、うまくいかなかった理由を相手にメールで知らせると(このレベルならついて行けるのだが)、再度日程調整をと言ってきたが年度始めは忙しいので後日知らせるということにした。その後急速に関心がゴールデンウイークの過ごし方に移り、薄れたので、インタビューは実施していないままである。

 テレビ電話は未経験というわけではなく、SkypeやFaceTimeは孫との連絡で使っているのだが、join.meは知らなかった。後日、同僚とこのアプリの使い方を試してみた。相手の顔が見られるというだけでなく、共通の白板に相互が記入しあい議論できる点が新しいことがわかったが、いちいちコード番号を打ち込まねばならないのは面倒だということは判明した。いわゆるグローバルな活動をしている人たちはこのようなシステムでやり取りをしていることを知った。同時に「時代遅れとなったなあ」と思い知らされた。

 

 春のゴールデンウイークは有休を取って空いている日を選んでDisney seaに孫を連れて行った。もちろん初めてで開園30分前から大勢の人たちと並んで待つという一番苦手なことをやって来た。5才半の孫をジェットコースターに乗せる役目を果たせるのは、パパは仕事で同行出来ず、僕しかいないと説得されたためである。

 孫相手だと特別な脳内機構が働くのか、はたまた感情が鈍化してきたのか、それほど待つ時間も苦痛ではなく過ごせた。自分の子どもはこんな風に遊園地に連れてくることはなかったなあと思いつつ、孫とメリーゴーランドやフライイング・カーペットにも乗った。こういう時間を幸せな時間というのかもしれないとは思ったが、特段興奮も楽しいという気持ちにはならずに4時過ぎに帰路についた。Disneyの映画もよく知らないので、孫やママが興奮するキャラクターに何の感興も起きるわけではない。子どもの頃の月光仮面や七色仮面もテレビは見たが、没頭することはなかった。人が夢中になるものに同調することを好まないタイプの人間に育ってしまったのだ。

 先日、何かのきっかけで「蘇州夜曲」が気になり、U-Tubeで聞いて見た。李香蘭(山口淑子)が一番、雪村いずみが2番目によかった。最近の歌手も大勢カバーして歌っているが、いずれも不可に思えるのは「時代遅れとなっている」何よりの証拠なのだろう。

 

 しっかりと休暇を取ったので、早く日常生活スタイルに戻らねばとは思いつつも、山積する仕事を前に立ち竦みがちなのであります。