八雲町での検診から
今年も北海道八雲町での検診に出かけた。8月3日の朝の飛行機で函館まで行くと、町のバスが迎えに来てくれるのだ。当日の飛行機には40名ほどが乗り込んだ、別便での参加者もあり、八雲町の病院からの応援もあるので検診スタッフは90名近くなる。それに、町の保健婦さんたち職員やボランティア(受診者の誘導係)が加わるので大規模であると共に非常に洗練された検診体制であると自慢できる(25年も続いているので、洗練されるのは当然だが、この洗練化過程に私は寄与していない、6年前に加わったのでfree rider的存在である)。翌日から3日間実施されるのである。
今年も我々心理班は前頭葉機能を測定すべく、言語流暢性、記憶力、注意力、心的回転力、構成失行検査などを行った。これまでの5年間の経験から検査項目は精選し、15分で可能としている(もっとも、耳が遠い人や雑談したがる人がいるのできちんとは行かない)。今年の検診から気づいたことを書いておこう。①町村合併により参加者が減った。例年は900人規模であるのに、有料化以後600人弱になっている。これは有料化(2000円)されたためとか。実施している検診内容は、それぞれの班の研究データを収集する側面を許されているので、豊富であり、詳しいので2000円はただのような値段に思えるが、年寄り2人がくると4000円となるわけで、バカにはならない。去年やったから今年は止めておこうとなるのだろう。町村合併して自治体が豊かにならねば合併の意味がなさそうに思えるが、さまざまな要因があるのであろう。残念なことである。
ただ、検診担当者は時間的に余裕が出来、ゆっくり昼飯がごちそうになれることとなった。最初の頃は昼飯も20分程度でへろへろになるほどであった(かつては、院生の間では、しんどいから八雲検診は敬遠されている気配もあったが、今年は天国であったといえる)。昼ご飯がおいしいのだ!ルビーメロンも、トウキビもスイカも食べ放題!
②検診項目に自信が持てるようになった。精選した検診項目はこれまでも自信はあったのだが、先月名古屋市総合リハビリテーションセンターでの共同研究で主な検診項目の脳機能画像を測定した。近赤外光トポグラフィでの確認である。予想以上に推定脳活動域と検査項目との対応関係がよかったのだ。たとえば、letter fluencyは前頭前野、 word fluencyは側頭葉から頭頂葉にかけて活性化が著しいという予測は統計学的にも確認できたのである。このことから、検査項目の成績のばらつきを見て、脳機能の推論が自信を持って言えるようになった。我々が今回の被検診者で問題に気づいて保健師さんに伝えると、彼女らの日常観察の結果を一致しているのである。少しデータを吟味すれば、個人別に高次脳機能低下を鈍化させる処方箋が住民に返せるかも知れないと思う。またその介入の効果測定も保健師さんの協力があれば可能となろう。それができれば、八雲町の皆さんに恩返しが出来るというものである。
③高次脳機能に関しても夫婦関係のシステム性(相互依存性)を確認できた。パーキンソンを病む夫が、行動が思い通りにならないので怒るので困っていると2年前に相談を受けたことがある。そのときは夫の脳機能は成績が悪かった。奥さんは全く問題なかったのであるが、今年の検診で夫は少し体重も増え、検査成績も改善していた。しばらくして受診した奥さんは2年前に比べると驚くほど成績が低下していた。病気の人を介護していると健康なのに、介護の必要性が低下すると健康でなくなる家族のシステム機能があるようである。夫がもう一度身体が不自由になってくれば、奥さんの脳機能検査の成績が上がるのであれば、夫婦関係のシステム性(相互依存性)を確認は確かなものとなるが、期待して良いのか悪いのか倫理的にも分からない。とまれ、人間は一人で生きているのではなく、他者と相互に依存しながら過ごすことではじめて正常な脳機能が維持できるのだ、と誇大妄想的に言っておこう。
④異性の検査者が好まれる。次々来る受診者を7ブースある検査者の誰の所に行くように指示するかは私の役割である。楽そうに見えるが、けっこう難しい判断がいるのだ(時間がかかりそうな人はベテランに、待ち時間が長くなりそうだと先に血液検査に行かせる、など)。「あちらの先生に行って下さい」と言っての間違いは、3人ほど経験した。いずれも異性の検査者に、私の指示を無視して行くというものであった。おばさんは若い男の検査者に、おっさんは若い女の検査者に無意識的に足が向かうようである。来年はこのことを加味して配分せねばと反省している。
八雲町の検診参加者はすべて善人である。言うまでもなくスタッフもいい人ばかりである(美味いものを食べさせてくれるから言っているのではない)。15分ばかりかかる検診も、だれ一人不平や不満を言わずに受けてくれる。都会での検診では考えられないことである。昨日返ったばかりなのに、来年の予定を楽しみにする理由がここにある。定年後は八雲町に移住するかな?
今年も我々心理班は前頭葉機能を測定すべく、言語流暢性、記憶力、注意力、心的回転力、構成失行検査などを行った。これまでの5年間の経験から検査項目は精選し、15分で可能としている(もっとも、耳が遠い人や雑談したがる人がいるのできちんとは行かない)。今年の検診から気づいたことを書いておこう。①町村合併により参加者が減った。例年は900人規模であるのに、有料化以後600人弱になっている。これは有料化(2000円)されたためとか。実施している検診内容は、それぞれの班の研究データを収集する側面を許されているので、豊富であり、詳しいので2000円はただのような値段に思えるが、年寄り2人がくると4000円となるわけで、バカにはならない。去年やったから今年は止めておこうとなるのだろう。町村合併して自治体が豊かにならねば合併の意味がなさそうに思えるが、さまざまな要因があるのであろう。残念なことである。
ただ、検診担当者は時間的に余裕が出来、ゆっくり昼飯がごちそうになれることとなった。最初の頃は昼飯も20分程度でへろへろになるほどであった(かつては、院生の間では、しんどいから八雲検診は敬遠されている気配もあったが、今年は天国であったといえる)。昼ご飯がおいしいのだ!ルビーメロンも、トウキビもスイカも食べ放題!
②検診項目に自信が持てるようになった。精選した検診項目はこれまでも自信はあったのだが、先月名古屋市総合リハビリテーションセンターでの共同研究で主な検診項目の脳機能画像を測定した。近赤外光トポグラフィでの確認である。予想以上に推定脳活動域と検査項目との対応関係がよかったのだ。たとえば、letter fluencyは前頭前野、 word fluencyは側頭葉から頭頂葉にかけて活性化が著しいという予測は統計学的にも確認できたのである。このことから、検査項目の成績のばらつきを見て、脳機能の推論が自信を持って言えるようになった。我々が今回の被検診者で問題に気づいて保健師さんに伝えると、彼女らの日常観察の結果を一致しているのである。少しデータを吟味すれば、個人別に高次脳機能低下を鈍化させる処方箋が住民に返せるかも知れないと思う。またその介入の効果測定も保健師さんの協力があれば可能となろう。それができれば、八雲町の皆さんに恩返しが出来るというものである。
③高次脳機能に関しても夫婦関係のシステム性(相互依存性)を確認できた。パーキンソンを病む夫が、行動が思い通りにならないので怒るので困っていると2年前に相談を受けたことがある。そのときは夫の脳機能は成績が悪かった。奥さんは全く問題なかったのであるが、今年の検診で夫は少し体重も増え、検査成績も改善していた。しばらくして受診した奥さんは2年前に比べると驚くほど成績が低下していた。病気の人を介護していると健康なのに、介護の必要性が低下すると健康でなくなる家族のシステム機能があるようである。夫がもう一度身体が不自由になってくれば、奥さんの脳機能検査の成績が上がるのであれば、夫婦関係のシステム性(相互依存性)を確認は確かなものとなるが、期待して良いのか悪いのか倫理的にも分からない。とまれ、人間は一人で生きているのではなく、他者と相互に依存しながら過ごすことではじめて正常な脳機能が維持できるのだ、と誇大妄想的に言っておこう。
④異性の検査者が好まれる。次々来る受診者を7ブースある検査者の誰の所に行くように指示するかは私の役割である。楽そうに見えるが、けっこう難しい判断がいるのだ(時間がかかりそうな人はベテランに、待ち時間が長くなりそうだと先に血液検査に行かせる、など)。「あちらの先生に行って下さい」と言っての間違いは、3人ほど経験した。いずれも異性の検査者に、私の指示を無視して行くというものであった。おばさんは若い男の検査者に、おっさんは若い女の検査者に無意識的に足が向かうようである。来年はこのことを加味して配分せねばと反省している。
八雲町の検診参加者はすべて善人である。言うまでもなくスタッフもいい人ばかりである(美味いものを食べさせてくれるから言っているのではない)。15分ばかりかかる検診も、だれ一人不平や不満を言わずに受けてくれる。都会での検診では考えられないことである。昨日返ったばかりなのに、来年の予定を楽しみにする理由がここにある。定年後は八雲町に移住するかな?