ネコの死 | はったブログ

ネコの死

6月15日(金曜)夕刻,愛猫(アイ又は愛)が死亡した。とうとう死んでしまったというところである。6月11日(月曜)に壊死していた左右下肢のうちの左側がちぎれ,3本足のネコ状態であったのだが,折れた箇所をきれいにして肉をまく手術を15日の午後からしたのである。アイは麻酔から覚めることなく,心停止となり8時前に駆けつけた家内の腕のなかで死亡した(このことに彼女はこだわっていた)。この日は獣医まで2往復したのである。
アイは(愛仁会に捨てられていた2匹のうち雄は仁という名前が付いていた。雌ネコの方をもらったので,愛という方が正確であるのだが,愛が死んだというのもなんとなく変なのでアイなのである),2月に両下肢が血栓により麻痺してしまったのである。急に両足を引きずるようになったので獣医に行くと,先天的に心臓奇形があり,それが原因ということであった。入院したが改善の兆しがなく,安楽死を勧められた。自宅にともかく連れてかえってということにしたら元気になり,壊死した足に家内が作った靴下を履いて,こつこつ音を立てて上手に歩くようになったのである。獣医は奇跡的ということで(獣医にも始めての病気ということで)ビデオに撮影もしたらしい。
家内の献身的な介護で(血液を凝固させない薬をのませたり,栄養食を食べさせたり)5月頃は庭から抜け出して隣の家にまで出かけるほどであった。しかし,脚の壊死部分と健常箇所の接合部の治療は毎日であり,大変であった。僕がいないときは往診をしてもらうのである。家内は親の介護は免れているけれどもネコの介護をやっているということで満足げでもあった。
アイは翌朝でも死後硬直がなく,柔らかいままであったが,渋る家内を急かせて5月16日(土曜)の朝5時から掘った庭の隅の穴に埋めた。先代のミャーというネコの墓の隣である。
アイは3本脚になる1週間ほど前からしきりにまとわりつくようになり,座っていると膝のなかに何度押しやっても座りたがった。3本脚になってもあぐらをかいた膝に乗ってきた。障害のあったネコで(最近まで知らなかったのだが)おとなしく,そっけないネコでそれまでにはあまりしなかった所作で,今から思うと,何かをアイは感知していたのかも知れない。
家内はさんざん泣いたりしたので,20年ぶりにイヌもネコもいないから寂しいとは言っているものの以外とさばさばしているように見える。日曜には姉たちと母親の50回忌に鳴門市まで出かけていった。
僕は,早朝からの墓穴掘りや墓標づくりでノコギリを引いたための腰痛,筋肉痛と土曜日,日曜日と助産専門学校の研究指導や授業の疲労で,寂しさに浸る暇もない。明日からモントリオールへ一人で行くのでゆっくりと家内に邪魔をされずに喪失の悲哀が味わえるはずである。