論文の作り方(めげそうな人への示唆) | はったブログ

論文の作り方(めげそうな人への示唆)

昨日から,COE 21プランと呼び名を変えたトップ30に関わる資料づくりをしている。役人が思いつきで言ったに違いないこの計画で,全国の大学教員がどれだけ振り回されているか分からない。ともあれ,自分の大学か,それとも自分の大学以外に数億というお金が集中的に配分されるかどうかに関わることなので,お金に弱い(財政的基盤の不確かな状態におかれ続けていると言う意味だが)研究者は大騒ぎなのである。
 評価の対象になる業績としては,研究論文,著書,競争的資金の獲得状況などが対象になるので,将来のある院生諸君はこの種の評価対象になるものをできるだけ蓄積することが,否応なしに求められる。
 昨日,昼飯を一緒にした院生らとの会話の中で投稿論文が不採択になってと自信喪失気味の人がいた。投稿した論文の実験計画や結果の処理には問題はなくて,修正の仕方が分からない,論旨不明確などが主たる原因と思われるので,先輩として対応策を教授しておこう。何といっても教授なのだから(?)
 ・論旨を他人に話してみること。本当に分かっているかは,絵に描ける,話せるなどの運動表現ができるかだ,と山鳥重教授は近著「わかるとはどういうことか」の中で書いている。序論と考察の部分をできれば異なる分野の人に話して,理解してくれるかを検討すべきである。分かりやすい話の筋道が見えてこよう。
 ・Peer readingの習慣を付けることである。欧米では仲間内で下書き論文を回し読みし会う。ここでも直接の専門家でない他人が読んで分かるかが問われるのである。すると,異分野の人から新しい視点を提供されたり,解釈が膨らむことがある。
 ・現在,院生諸君は読書会をしているらしい。それもよいが,下書きの論文を読み会い,意見を言い合う会もやることが望ましい。僕は,ちょっといい雑誌にと思う場合は今でも,教え子に読んでもらい意見を参考に修正している。
 ・英文論文の場合は,論旨の展開の際の言い回しが見つからないことが多いようである。そう言う場合は,先生に教えてもらうのが近道であるし,金もかからない。ちょっとした構文で明かりが見えることは少なくない。
 ・査読結果はレフェリーの特性も反映するので,めげずに何度でもチャレンジすることが肝要である。僕など何度もrejectされている。現在査読付き論文は3桁になったが(自慢!),1回でOKというようなものは,ほとんどなかったように思う(謙虚!)。僕の先生であるDimond,S.J.もnatureやscienceに論文を若くして書いていた超有名な神経心理学者であったが,それでも投稿論文がrejectされることがあったのを知っている。阪神タイガースもnever surrenderでがんばっているではないか。

 最後に,ここでの話が馬耳東風というようなことにならぬよう,論文をともかくも投稿することである。