文献検索について
コーヒータイムの際に文献の調べ方が話題になった。6月23日(日)の午後のことである。川口、唐沢両先生と名古屋大学国際フォーラムに早朝から、しかも休日にも拘わらず参加し、揃って昼飯を食べて、コーヒーを飲んでいた。 われわれはこの頃やけに忙しい、昔の大学の先生は良かった、うらやましい、などといつものように愚痴っていた。愚痴ばかり言っていたわけではなく。話は何故か文献検索のやり方になっていた。いつものことだが、なぜか話題は院生の研究指導のことに行ってしまう。われわれがとても熱心な教育者であることの証左に他ならないと言っておこう(あるいは、全員年をとってきて、この頃の若い学生は、というようになったことかも知れないが、若いと思っているはずの二人には悪いので、声を潜めておく)。
日頃、僕が考えていることに二人とも同感であるということなので、伝えておこう。伝えておかないと教育的でなくなるからでもある。
結論はインターネットを介してデータベースを検索するだけではいけない、ということである。図書館で電子検索ができるようになり、著しく便利になった。昔はどうしていたかというと、雑誌の現物を見る、Psychological Abstractの現物を読んで要約を知ることをしていた。短所は時間がかかる、目が疲れる、検索できる雑誌が限られるなどである。しかし、表題が少しおもしろそうだということで流し読んだが、コピーするまでもないという論文でも、検索していたことになる。引用文献の欄などを流し読むと、そのトピックスの中心的研究者が誰かは引用文件数の多さで知ることができた。また、そのときは直接関係しない研究者の名前でも覚えることができた(潜在記憶ですが)。このような、関連周辺情報はインターネットでのデータベース検索では得られまい。
関連周辺情報の収集は実は、研究者がタコ壺型になるのを避ける上で有効性を持つ(と信じている)。
インターネットでの検索の第一の短所は、キーワードの付け方が研究者間で一定しないことでヒットしない文献がでる危険があることである。著名なデータベースなので、検索してひかからないと、研究が存在しないような錯覚に陥る。関連研究がないと言い張るトピックを僕が検索すると多数でてきた経験がある。トピックに関連しそうなキーワードが浮かばないためである。また、現在利用できるデータベースは欧文論文、それも著名な雑誌に限られている。日本の研究者がやっている研究はインターネットでは調べられないと考えた方が無難である。
では、若い学生はどうすればよいか?答えは、ともかく関連分野の3種程度の主要な学術雑誌は必ず現物に目を通すことである。そして、気に入った、あるいは関係する研究者を引用文献を含めて探し、見つけたならば、それからデータベース検索に移るというのがお勧めである。データベース検索をしないと主要な雑誌以外に発表している研究(以外とよいものもある。アイデアはよかったが結果が今ひとつというような)を見落としてしまうからである。
なに? 時間がかかり、図書館に行くのが面倒だ?
そういう学生は科学する心欠乏症で治療の必要がある。治療法は転地療養しかないだろうね。