休肝旅行 | はったブログ

休肝旅行

 通称NANと呼ばれている米国のNational Academy of Neuropsychologyの第24回年次大会に単身参加した(もちろん発表はした)。同行を誘った人もいるのだが、入試があるとか忙しいとかという理由で断られたので、一人で出かける羽目になった。3泊5日の旅行である。4年ほど前にモントリオールに一人で出かけて以来の単独行である(同行者がいると荷物を見ていてもらってトイレに行くなどで便利なのだ)。この学会は米国では国際的に活動しているINS(International Neuropsychological Society)よりも組織が大きいらしいので、一度見てみたかったのである(実際参加者は人数的には多かった)。以前にも参加の機会があったのだが、同時テロの2ヶ月後だったこともあり、僕は取りやめた。院生の伊藤君は参加し、大いに刺激を受けた様子で興奮して帰ってきたのを覚えている。
今回は前日まで、いや当日まで忙しかった。午前中に教授会の事務方との打ち合わせを10時過ぎに終えて、成田に直行した。このとき、時間を勘違いして地下鉄までダッシュしたが結局予約していた新幹線に5分の差で乗り遅れることとなった(乗り遅れた新幹線の切符では新たに座席指定は取れない、自由席でなければダメなことを知った)。予定よりも東京駅には20分ほど遅れたにもかかわらず成田空港には予定よりも1時間も早く着いてしまった。パソコンの経路情報も当てにならないのである。
待ち時間が長いので、査読論文などを空港で読んで時間つぶしをするしかないと思っていると予定していた時間よりも30分も早い搭乗となった(バスで出かけるのでゲートを出るのが早いのである)。乗客がそろったのでということで、出発予定時刻よりも早く飛行機は飛び立った。飛行機の時間も当てにならない。とまれ、ミスであったことがそうでなかったかのような、変な案配でシアトルに着いた。大きなややこしい空港でやっと荷物を取り出した頃に急に便意を催した。空港では都合2回もトイレに行く羽目になった。10年ほど前にはこの空港で乗り間違えたこともある縁起の悪い空港である。痛むおなかを押さえつつタクシーでWestinホテルに到着(学会の会場でもある)。朝の10時頃で、すぐにトイレという状況であった。部屋に入れるのは3時以降なので、荷物を預けて町でも見ようかと当てもなく数分歩くと便意を催し、ホテルに戻る、ロビーでうたた寝して、また町へ出かけるが10分ほどでホテルに戻りトイレに駆け込むという状況であった。海外で体調崩すのはここ20年間ほどはなかったことなので、加齢のためだと元気をなくしてしまうこととなった(そのために活動量は減少した)。近所に薬局を見つけて下痢止めを購入した。不思議と下痢の英単語は浮かんできたので助かった。1錠でぴたりと止まったのだから向こうの薬はきついのだろう。
 そういうわけで初日は7時前から入眠。翌日は一日予定もなく朝飯を学会場で食べて、ポスターを少し見回ったりして過ごした。町にも出かけたが寒いのでホテルにいることが多かった。おかげで原稿書きなどの手持ちの仕事ができた(そうするしか仕方がなかったのだが、こういうときにPCを持ってきていないのだ)。そういうわけでホテルの向かいのビルの3階にある食堂(真ん中にテーブルがたくさんあり、各国の料理が周囲で売られている様式)で晩飯を食うしかなかった。どの売り場でも2人前以上の量が提供され5ドルほどの値段であった。この種の食堂ではアルコールが売られていないので、結果的に4日間アルコールを飲まずに過ごしたことになる。結局、毎日非連続ではあるが10時間以上寝たので、休肝と睡眠をとるためにシアトルに行ったことになる。
 さて、NAN学会であるが、とくに開業している臨床神経心理家に特化しているような性質を感じた。保健の点数の請求の仕方の講習、多動児、学習障害児、などの発達上の神経心理学的問題を取り上げたテーマが多いこと、検査の妥当性など神経心理学的評価法、司法神経心理学的な問題が多い印象を受けた。個別発表は早朝7時半から9時までが3日間で数がかなり制限され、発表の採択率は低いと聞いている(ちなみに真ん中の時間はワークショップで、聴講は有料、参加者のレベル指定あり)。僕らの発表が採択されたのも注意機能のスクリーニング検査としてのD-CATの信頼性と妥当性についての発表だったために違いない。米国以外からの発表は2件だけであったと記憶している。アメリカで開業していたり、研究志向ではなく治療志向の強い臨床心理の専門家のための学会だなあ、というのが結論である。日本から参加するのは新しい検査でもつくって売り出すときぐらいしか意味はなさそうである。
 そういうわけで、今回は肝臓のためには役に立つ学会であった。