カラッとあっけらかんと、あの、そこはかとなく明るいイントロが流れてくると、
僕のおなかはきゅう、と絞られ、胸の中がなんだか熱く暖かく満たされる。
十数年前のその時、僕はニュージーランドをヒッチハイクしていた。
車の通らぬ国道の端でポツリと立ち、空を眺めていた僕を拾ったのは、出張公務中のマオリの青年だった。
車の場所に帰る必要がないので、ロングトレイルの山歩きにヒッチハイクは都合が良かったが、生活道具全てを担いで山を歩かなければならなかった。

彼の公務に付き合いながら数百キロを移動し、なんとなく意気投合した僕は、彼が予約していたワンガヌイと言う町の貸し別荘の一室に便乗させて貰うことになった。
車のラジオでは、DJがやたら「ラストサムライ」と言っていた。
このタラナキ山で映画のロケをしているんだよ、と青年が教えてくれた。

その晩、僕等は街に出て数件を飲み歩き、その流れでカラオケバーに入った。
そこは日本のそれとは少し違っていて、そこにいる全員が絶えず誰かが歌う歌に耳を傾け、皆が空気を共有していた。
やがて、見るからに他所者の僕を面白がってか、歌え、歌え、と客達がはやし立てはじめた。
英語の歌も知らず、そもそも英語が苦手な僕は、困り果て頭をムシリつつ渡された歌本をめくっていると、題名を読むことすらできないような歌の羅列の中に、
「sukiyaki」
の文字を見付けた。
歌本の文字の向こうで、九ちゃんが「やあやあ、こんにちわ!」と白い歯を見せて大きく笑っていた。
あの、聴き慣れたイントロが流れると、僕の中に一万キロ彼方のニッポンがやってきて、おなかを熱くした。
訳も分からず赤道を越え、何処へ行くかも分からず彷徨っていた僕の両肩に、
九ちゃんはやさしく、だけどしっかり手を置いてくれた。僕は九ちゃんと歌った。
我に返ると、大きな大きな拍手に包まれていた。
僕を載せてくれた青年。
その道中、彼の仕事である違法ゲーム機のヒミツ捜査に、自分も捜査官ヅラでバーに潜入したけれど、僕を見た店のオヤジは僕を何と思っただろう(笑)

奇しくも、今年行ってきた日本の南島のキャンプサイトで、三線弾きのキャンパーの方と意気投合し、最初に僕のギタレレと一緒に弾いたのが「上を向いて歩こう」だった。
二人して朝から酔っ払ってテキトーに音遊びをしているさなかだったので、音合わせも何も無く、何ともバラバラだけれど、それがお互いの勝手感(生き様だねw)や、ちょっと前まで知らなかった者同士ってのを表現していて、自分的には見ていてなかなか楽しい。
「上を向いて歩こう」
今、この歌が僕をあの十余年前のニュージーランドに還してくれる。
上を向いて歩こう。
空は繋がっている。
時は繋がっている。
上を向いて歩こうか。
涙もこぼれないしね。
僕のおなかはきゅう、と絞られ、胸の中がなんだか熱く暖かく満たされる。
十数年前のその時、僕はニュージーランドをヒッチハイクしていた。
車の通らぬ国道の端でポツリと立ち、空を眺めていた僕を拾ったのは、出張公務中のマオリの青年だった。
車の場所に帰る必要がないので、ロングトレイルの山歩きにヒッチハイクは都合が良かったが、生活道具全てを担いで山を歩かなければならなかった。

彼の公務に付き合いながら数百キロを移動し、なんとなく意気投合した僕は、彼が予約していたワンガヌイと言う町の貸し別荘の一室に便乗させて貰うことになった。
車のラジオでは、DJがやたら「ラストサムライ」と言っていた。
このタラナキ山で映画のロケをしているんだよ、と青年が教えてくれた。

その晩、僕等は街に出て数件を飲み歩き、その流れでカラオケバーに入った。
そこは日本のそれとは少し違っていて、そこにいる全員が絶えず誰かが歌う歌に耳を傾け、皆が空気を共有していた。
やがて、見るからに他所者の僕を面白がってか、歌え、歌え、と客達がはやし立てはじめた。
英語の歌も知らず、そもそも英語が苦手な僕は、困り果て頭をムシリつつ渡された歌本をめくっていると、題名を読むことすらできないような歌の羅列の中に、
「sukiyaki」
の文字を見付けた。
歌本の文字の向こうで、九ちゃんが「やあやあ、こんにちわ!」と白い歯を見せて大きく笑っていた。
あの、聴き慣れたイントロが流れると、僕の中に一万キロ彼方のニッポンがやってきて、おなかを熱くした。
訳も分からず赤道を越え、何処へ行くかも分からず彷徨っていた僕の両肩に、
九ちゃんはやさしく、だけどしっかり手を置いてくれた。僕は九ちゃんと歌った。
我に返ると、大きな大きな拍手に包まれていた。
僕を載せてくれた青年。
その道中、彼の仕事である違法ゲーム機のヒミツ捜査に、自分も捜査官ヅラでバーに潜入したけれど、僕を見た店のオヤジは僕を何と思っただろう(笑)

奇しくも、今年行ってきた日本の南島のキャンプサイトで、三線弾きのキャンパーの方と意気投合し、最初に僕のギタレレと一緒に弾いたのが「上を向いて歩こう」だった。
二人して朝から酔っ払ってテキトーに音遊びをしているさなかだったので、音合わせも何も無く、何ともバラバラだけれど、それがお互いの勝手感(生き様だねw)や、ちょっと前まで知らなかった者同士ってのを表現していて、自分的には見ていてなかなか楽しい。
「上を向いて歩こう」
今、この歌が僕をあの十余年前のニュージーランドに還してくれる。
上を向いて歩こう。
空は繋がっている。
時は繋がっている。
上を向いて歩こうか。
涙もこぼれないしね。