朝、昨日とは違う陽光の明るさと暖かさ、匂いで目が覚める。
・目の前の河原には、ピンク色の大きな大きな芙蓉の花が咲いていた。

しっぽおまけ夫妻がピザトーストを焼いてくれた。
青い草原に吹き流れて行くコーヒーの香りに包まれていたのも束の間、
カ、シーッ…、と本来の歯切れ良い音をいくらか殺しながらプルタブを起こしたしっぽの旦那が、キリンラガーを自分と愛妻のタンブラーに注いでいた。
しかしこの二人は幸せそうにビールを飲むなあ。
川下り隊の僕とベッタ君は、そんな朝のゆるい空気を堪能しながらゆっくりと準備をし、夜露を避けてテントの下に干していたウエットを車に積んで川へと出発。
・今まで何十回も通った橋の上から。
そしてその通った数だけ、この谷の底を流れて行く自分を想像していた。

・ベッタ君、今日もよろしく!


・川は一日経って、さらに澄んだ。濁り無き川が僕等の心をも洗う。


・しばらく下ると大きな堰堤が現れる。

・僕らがこの堰堤を越えることの出来る唯一のルートである魚道だが、下りて行くのは簡単ではない。水圧で激しく体を押さえ込まれる。

・チューブを流し受け取って貰ってから、自分も同じように魚道を下った。

ダムは、このルート一番の難関。
増水時には魚道の縁から水が盛大に溢れ出すので、溢れた水に押し出されてダム下のコンクリ床に転落する危険がある。
また、川の両岸は切り立っていて、山を迂回するのも難しい。
当初は最終手段としてダムから飛び込む事も考えていたが、実際には水流が激しすぎて飛び込む場所で安全に飛び込む姿勢をつくる事も出来ない。
・難所を越えて一服。
僕はここでビールを飲み、以後頻繁に上陸してはオシッコをすることになる。
ウエットの中で用を足すと、あとあと面倒なので。
(→「キャニオンチュービングweb古座川川下り記録」より)

・ダム下の地形調査に潜るが、この日は水流が速くなかなかダムに近寄れなかった。

ダムを超えたあたりから、両岸を岩に阻まれた景色へと変わる。
初めてこの区間を流れた時、その景色に思わず僕は、わあ、と子供のように声を揚げてしまった。
・両岸の岩壁までしっかりと満たされた青い流れは、チューブの上でぽかんと口を開けている僕を滔々と流した。
谷を流れる青い水と、そこを流れ行く僕に、岩の上に生える木々がやわらかく緑の屋根をかけていた。

要するに、僕はこの景色に出会いたかったのだ。
20年以上前、職場に落ちていたトラックのチューブを眺め、こいつで何か出来そうだと拾い上げ、よく分からないままに海や雪山で遊び、川に持ち込み、実に些細なものではあるが改造を重ね、カヌーでは入れない山奥の川にたどり着いた。
・この青い水にもっと触れたくなった僕はチューブから転げ、しばし川に浸りながら、時に歩きながら川を下った。思った以上に水が柔らかく身体を包んだ。
景色に抱かれ、水に抱かれる。
美しい谷を流れている時は、そんな感覚である。

・狭い断崖の曲がりを抜けると、突然橋が現れた。
何十回と、あの橋の上からこの谷を眺め下ろしては、ときめいていた。
そして今、自分のやり方でそこに来たという感慨。

・ゴール近く。太陽がいとも簡単に、この山奥の深く狭い谷底を跳び越してしまった。

・おつかれさま。
一緒に流れてくれてありがとう。

・仕事以外にも何かと忙しいベッタ君はそのまま帰っちゃった。
一緒に遊んだ後に飲む酒が一番美味しいのに。

・目の前の河原には、ピンク色の大きな大きな芙蓉の花が咲いていた。

しっぽおまけ夫妻がピザトーストを焼いてくれた。
青い草原に吹き流れて行くコーヒーの香りに包まれていたのも束の間、
カ、シーッ…、と本来の歯切れ良い音をいくらか殺しながらプルタブを起こしたしっぽの旦那が、キリンラガーを自分と愛妻のタンブラーに注いでいた。
しかしこの二人は幸せそうにビールを飲むなあ。
川下り隊の僕とベッタ君は、そんな朝のゆるい空気を堪能しながらゆっくりと準備をし、夜露を避けてテントの下に干していたウエットを車に積んで川へと出発。
・今まで何十回も通った橋の上から。
そしてその通った数だけ、この谷の底を流れて行く自分を想像していた。

・ベッタ君、今日もよろしく!


・川は一日経って、さらに澄んだ。濁り無き川が僕等の心をも洗う。


・しばらく下ると大きな堰堤が現れる。

・僕らがこの堰堤を越えることの出来る唯一のルートである魚道だが、下りて行くのは簡単ではない。水圧で激しく体を押さえ込まれる。

・チューブを流し受け取って貰ってから、自分も同じように魚道を下った。

ダムは、このルート一番の難関。
増水時には魚道の縁から水が盛大に溢れ出すので、溢れた水に押し出されてダム下のコンクリ床に転落する危険がある。
また、川の両岸は切り立っていて、山を迂回するのも難しい。
当初は最終手段としてダムから飛び込む事も考えていたが、実際には水流が激しすぎて飛び込む場所で安全に飛び込む姿勢をつくる事も出来ない。
・難所を越えて一服。
僕はここでビールを飲み、以後頻繁に上陸してはオシッコをすることになる。
ウエットの中で用を足すと、あとあと面倒なので。
(→「キャニオンチュービングweb古座川川下り記録」より)

・ダム下の地形調査に潜るが、この日は水流が速くなかなかダムに近寄れなかった。

ダムを超えたあたりから、両岸を岩に阻まれた景色へと変わる。
初めてこの区間を流れた時、その景色に思わず僕は、わあ、と子供のように声を揚げてしまった。
・両岸の岩壁までしっかりと満たされた青い流れは、チューブの上でぽかんと口を開けている僕を滔々と流した。
谷を流れる青い水と、そこを流れ行く僕に、岩の上に生える木々がやわらかく緑の屋根をかけていた。

要するに、僕はこの景色に出会いたかったのだ。
20年以上前、職場に落ちていたトラックのチューブを眺め、こいつで何か出来そうだと拾い上げ、よく分からないままに海や雪山で遊び、川に持ち込み、実に些細なものではあるが改造を重ね、カヌーでは入れない山奥の川にたどり着いた。
・この青い水にもっと触れたくなった僕はチューブから転げ、しばし川に浸りながら、時に歩きながら川を下った。思った以上に水が柔らかく身体を包んだ。
景色に抱かれ、水に抱かれる。
美しい谷を流れている時は、そんな感覚である。

・狭い断崖の曲がりを抜けると、突然橋が現れた。
何十回と、あの橋の上からこの谷を眺め下ろしては、ときめいていた。
そして今、自分のやり方でそこに来たという感慨。

・ゴール近く。太陽がいとも簡単に、この山奥の深く狭い谷底を跳び越してしまった。

・おつかれさま。
一緒に流れてくれてありがとう。

・仕事以外にも何かと忙しいベッタ君はそのまま帰っちゃった。
一緒に遊んだ後に飲む酒が一番美味しいのに。
