・戦争サンド

・初書き静雄








相変わらず夏真っ盛りだ。
ぎらぎらと太陽は容赦なく人々を照らしてゆく。しかし建物が日陰を作り出し、携帯をいじっている蜂蜜色の髪を持つ少年を守っていた。

日陰といえども暑さは尋常ではないようでべっとりと汗がまとわりつくTシャツを忌々しそうに引っ張る。

そして暑さを少しでも逃れるために、ぱたぱたとTシャツの裾を上下に振って空気を送り込んでいた。
ちらちらと綺麗な肌が露出し、汗も加わって年に合わない色っぽさを醸し出し周りの目を釘付けにさせる。だが、当の本人は携帯に夢中で気づいていない。

「おい紀田ぁ」
「あ、静雄さん!」

静雄という単語を聞いたとたん、少年を見ていた通行人はびくりと反応し、関わらないようにそそくさと自分たちの目的地へ足を急がせてゆく。この町で静雄の名を知らない者はいない。自販機を片手で投げる喧嘩人形として恐れられているのだ。少年はそれを知らないのか笑顔で静雄へ寄っていく。簡単に挨拶をし、たわいもない話を始めたバーテン服の口調は荒々しいが、それと裏腹に藍色のサングラスの間からは優しい瞳が覗いていた。

「あ、仕事中でしたか?」

「なんつうか…平気だ心配すんな」

トムに少し仕事を任せている合間に蜂蜜色を見かけて、悪いと思いながらも思わず来てしまったのだが。話がしたかった。少しだけでも。


「そういや紀田は何してんだ?」

「えーと…ちょっとバイトで…」

急に声のトーンが変わり、正臣は伏し目がちにコンクリートを見だした。困ること聞てしまったのだろうかと静雄が想像を巡らせようとしたその時

「おーっとシズちゃんじゃないか!」

ざわり

全身の血液が頭に登るような感覚におそわれる
本能のままに力を解放し、虫酸の走る声の発信源にむけて渾身の一撃を食らわせた
…はずだったのだが拳は空を切る。

「こんなところまで紀田君を追いかけて来たのかい?あはは!!熱心だねえ!」

笑いながら静雄の一撃を避けるなど、後にも先にもこの男しか現れないだろう。


「なぁに湧いてきてんだオイ死ぬ覚悟くらいは出来てんだろうな!?いざやくんよぉ!」

「怖いなあまったく!おじゃま虫はシズちゃんだっていうのにさ。俺は紀田君に会いに来たんだからねーあ、因みに予約済みだから。」

ね、紀田君?といきなり声をかけられあからさまに少年は動揺していた。


「なんで紀田とてめぇが一緒にいる必要があるんだよ」

「何もしてないよただちょっと口説いただけさ」

「綺麗事でごまかしてんじゃねぇよ。紀田を脅しやがったんだろそうかそれなら殺されても文句はいえねぇよな」

「シズちゃんこれ以上標識引っこ抜くのやめた方がいいよ…」

「ごちゃごちゃうるせぇんだよ!」

静雄の怒号とともにぐわあんと耳障りな音を立て鉄でできている筈の、決して人間の握力では握り潰す事などかなわない筈の標識がまるで粘土のようだ


「っ…紀田君!逃げるよ!」
「へ、!」


目の前の出来事に茫然としている正臣をひっぱり、すぐそばにあった裏路地に飛び込んだ。まるで消えるように。

怒りをぶつける標的を早々に失った静雄は1人憎らしい相手の名前を叫んだ







「…っは、ここまで、くれば、」

「はぁ、本当、になんであんなところにシズちゃんいたのしかも紀田君と喋ってるし最悪だよ。…計画狂っちゃった。なんで死なないのかなシズちゃん」

「ひど…、疲れた、あ、仕事…」

「ああ良いんだよ。今日は別に人と会うとかじゃないんだ」

「え」

「今日の仕事は俺と一緒に来ることだから。…勿論拒否権は君にはないよ?まぁ何処へでも連れて行くけど、希望を聞いておこうか?」

「家がいいです」

必ず喚かれるだろうと予想していたのに、家に行きたいなどと言い放つ正臣にいざやは目を丸くする
息を整え終わったらしい正臣はいざやに似た不敵な笑みを浮かべた


「早くいきましょう。静雄さんに見つかっちゃいますよ。何処へでもつれていってくれるんですよね?」

「…お手をどうぞ、お姫様?」


恭しく差し出された手に俺は男ですよと呟き少年はそれをとった。






臨正←静が好物です。
シズちゃん初書き。扱い方ワカンネ\(^^)/


臨と静のケンカ書くの
本気で楽しい← 笑
cpにする気はありませんが。