今日は「SPA(製造小売業)とセレクトショップの仕組み」を、営業利益の視点から整理していきます。
アパレル業界は、売上があっても利益が残りにくい構造になりやすい業界です。
値引き、在庫、SKU過多、人件費……心当たりのある方も多いのではないでしょうか。
だからこそ今は、「どれだけ売れたか」よりも、「どこで、どうやって営業利益を生んでいるのか」を理解することが重要です。
SPAやセレクトショップは、単なる業態の違いではありません。
利益を生み出す仕組みの設計思想そのものです。
今日は、実在企業の考え方をヒントにしながら、ファッションブランドにどう応用できるかを、できるだけ噛み砕いて解説していきます。
SPA(製造小売業)とは何か【仕組みの本質】
SPAとは、商品企画・生産・販売を一社で一貫して行うビジネスモデルです。
代表例が ユニクロ です。
■ どこで営業利益を生んでいるのか
中間業者を挟まないことで原価をコントロール
定番商品を大量生産しSKUを絞り込む
売れ筋に集中し在庫回転率を高める
値引きを前提にしない価格設計
結果として、
「値下げしなくても売れる仕組み」=営業利益が残る構造を作っています。
■ ファッションブランドに置き換えると
型数を増やす前に「本当に売りたい定番」を決める
1シーズン1回ではなく、小ロットで追加生産を考える
売場・EC・在庫データを一体で見る
「売上を追う前に、失血しない設計になっているか」を確認することが重要です。
SPAが生まれた背景【従来型アパレルの課題】
従来のアパレル産業は、
川上(素材)→川中(メーカー)→川下(小売)と分業されていました。
■ 何が問題だったのか
商品化までに時間がかかる
流行ズレによる在庫ロス
在庫を見越した高い上代設定
この構造では、
「売れても利益が出ない」状態に陥りやすくなります。
SPAは、この時間ロス・在庫ロス・価格ロスを同時に減らすための仕組みです。
セレクトショップのビジネスモデル
セレクトショップは、複数ブランドを編集・提案する小売業態です。
代表例として
BEAMS、
UNITED ARROWS などがあります。
■ セレクトショップはどこで利益を出すのか
バイヤーの目利きによる付加価値
コーディネート提案による体験価値
店舗・スタッフを含めた世界観
しかし、仕入れ中心だけでは粗利が不安定になります。
セレクトショップ×SPAという考え方
多くのセレクトショップが行っているのが、オリジナル商品の展開です。
■ なぜオリジナルが重要か
自社企画=粗利率が高い
価格決定権を持てる
値引きしなくても成立しやすい
これは、セレクトショップ版SPAとも言えます。
■ ファッションブランドに応用すると
全商品を自社で作る必要はない
利益を生む「柱商品」だけSPA的に設計する
その他は外部ブランドや協業で補完する
全部やらない。利益が出る部分だけ握る。
これが現実的な経営判断です。
他業界に学ぶ視点(簡易例)
例えばカフェ業界では、
スターバックス はコーヒーそのものより、
「滞在体験」で客単価と利益を作っています。
アパレルに置き換えると、
接客
売場ストーリー
試着体験
これらは原価を上げずに利益を伸ばせる要素です。
まとめ
■ 今日のポイント
SPAは「安く売る仕組み」ではなく利益を残す仕組み
セレクトショップは「編集力+オリジナル」で利益を安定させる
全部やるより、利益が出る部分を意図的に握る
■ 明日から意識すべき視点
自社は「どこで営業利益を生んでいるか」
その部分に、時間・人・在庫を集中できているか
売上より先に、利益が残る構造を描けているか
この視点を持つことが、
これからのファッションビジネスの土台になります。
