この文章はKindleで出版した、
「与論島・小さな島のピアノ協奏曲」という本を連載形式で全文公開するものです。
『与論島の子どもたちに、最高の音楽体験を届けたい!』
この物語は、南の島・与論島で焼肉屋を営むナビが、即興演奏ピアニスト「日吉真澄」さんを島に招き、学校訪問演奏、そしてピアノコンサート開催を目指した、実際にあった約100日間の物語。
本文最後に、Kindle本のリンクがあります。一気に読みたい方はそちらから読んでいただけると嬉しいです🙇
当日はYouTube無料生配信も行います。ぜひ、当日は与論島へ、もしくはオンラインでYouTube、stand.fmから応援に駆けつけていただけると嬉しいです‼️
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♩フレーズⅢ 〜問いかけのツリーハウス〜
僕には、もう一つ考えていることがあった。
ひよさんのピアノの真骨頂は、感情を揺さぶるようなドラマチックな演奏だ。ひよさんのスタエフのチャンネルタイトルも『エモくて沁みる深夜のピアノライブ』だ。
ひよさん自身、ピアノの道を一度は諦め、挫折を乗り越えてまたピアノの道に戻ってきた。
いろんな感情を乗り越えて、悩んだり頑張ったりしている、そんな心の葛藤みたいなものを表現するときこそ本領を発揮するようなところがある。ひよさんのピアノに涙する人もたくさん見てきた。
つまり、ひよさんの真骨頂は、どちらかというと思春期の子供から大人へ向けての音楽なんだろうと思っていた。
そのため、学校訪問での演奏だけじゃなく、ぜひ一般向けにもコンサートをしてほしいと思っている。
まだ、ひよさんのことを知る人は与論島にはほぼいない。いくら僕が最高のピアニストだと思っていても、果たして僕の口コミだけで人を集められるのか?
学校訪問は教育長の協力と各校長先生の理解のお陰で、だいぶ実現が見えてきた。
コンサートにも、誰か協力者が欲しい。出来れば、与論島で過去に音楽イベントを企画したことがある経験者が……。
……いた!! あの人しかいない!!
思い付いたのは、昨年、与論町議会議員に初当選した、池田さん。
池田さんは、与論島で約三十年ぶりの女性議員として、特に島の子供たちの教育に力をいれて奮闘している。
そして、ご自身もマルチ歌手として活躍しており、与論島内でも過去にたくさんのイベントを主催・協力し、経験も豊富。
更には、元保育士でもあり、うちの子供たちも過去に大変お世話になっていた。
人柄的にも話しやすく、真剣に考えてくれる……はずだ。
……はず、というのは、町の議員になったばかりということもあり、とにかく池田さんは忙しい!
ひとまず、このコンサートへの想いをまとめて文章にして、ひよさんのプロフィールを添えて、池田さんにLINEを送った。
返事はすぐに返ってきた。
「何ということでしょう! 既に興奮気味です! ぜひ協力させてください!」
ただし、やはり池田さんはスケジュールがいっぱい。出張で与論島にいないことも多い。実際に、顔をあわせて打合せするのは約二週間後のクリスマスイブの日になった。
池田さんとの打合せまでに、集客の方法を考えたり、会場の候補を出したり、そしてそれをまとめて資料にしたり。
ひよさんとも連絡を密にして、ひよさんの想いや、プロフィールなども、今一度整理し直した。
そもそも、会場にピアノがなければ話にならない。そうすると与論島でピアノコンサートができる場所は限られてくる。
会場のサイズなど考えると、中央公民館が一番良いのではないか?
ただ、建物の老朽化で、年度末での閉館が決まっている。となると、四月以降は使えない。
三月か……。そうすると三ヶ月で全て用意しなくては。果たして間に合うのだろうか……?
まてよ!? 三月に入ると学校は卒業式シーズン。ということは三月は訪問演奏の方が無理じゃなかろうか?
教育委員会のHPから、各学校の年間行事予定を出してきて、にらめっこする。やはり三月は無理だ!
ひよさんのスケジュールを考えると、開催は秋から春ごろが理想。しかし、冬はひよさんがコンサートツアーで各地を回る。
一年後の冬に企画するか……? いや、来年になると中央公民館はもう使えない。
最終的に、二月後半に落ち着いた。平日に訪問演奏して、週末にコンサート。
なんてこった! 本番まで二ヶ月!?
でも、いろいろ考慮するとタイミング的にはこれがベスト。やったろうじゃないか!
『動けば変わる!!』だ!
日にちがない。すでに十二月半ば、もうすぐ学校は冬休みに入る。二学期の間に訪問演奏の日程だけでも連絡しておかねば。
すぐに中山教育長と連絡を取った。各学校への訪問演奏のスケジュール調整は、教育長自ら引き受けてくれることになった。頼もしいこと、この上ない!
そうこうしている間に、クリスマスが近づく。
池田さんから、打ち合わせを1日前倒し出来ないかと連絡があった。やはり忙しい中、時間をやりくりしてくれているんだと改めて感じた。
打ち合わせ当日。呼ばれた場所は、池田家の有機農園の一角にある、大きな木の上に作られた、本格的なツリーハウス。
梯子を登って中に入ると、4〜5人は座れるテーブルがあり、更に上に上るとブランコまである。夜にはライトアップも出来る。まるで秘密基地だ。
なんでも島外から専門家を呼んで、安全面などもしっかり考慮して作られたらしい。池田さんがどれだけ本気に取り組んでいるのかも伝わってくる。
すぐ隣には畑の一角を整地したイベントスペースもある。「未完村」と名付けられたこの場所は、自然を大切にし、子育てや教育に力を入れている、池田さんを象徴するような場所だ。
僕も何度か家族で訪れたことがあるが、我が家の子供たちもここに来ると、目がキラキラとする。
そんなツリーハウスの中のテーブルで池田さんと向かいあい、コンサートの相談が始まった。
すでに日程がほぼ決まっていること、集客については自信も経験もないのでアドバイスもらいたいこと、出来ればなるべく多くの島の人たちに聞いてもらいたいと思っていることなどを話した。
この時、僕は「問題は集客をどうするか」だけだと思っていた。
池田さんからは、訪問演奏については大絶賛してもらったように思う。だが、コンサートについての反応はそうではなかった。
今振り返ってみると、「島の子供たちのための訪問演奏」という部分は僕のビジョンがはっきりしていたのに、コンサートについてはフワッとしていたからだと思う。「せっかくだから大人のみなさんにも聞いて欲しい」という感じだ。
池田さんからの質問は、どれも鋭かった。
「そのコンサートの目的は?」
「どんな人に聞いてもらいたいんですか?」
「日吉さんが音楽をしている想いと合致しますか?」
池田さんの口調は、決して厳しくはない。むしろ、僕の想いにとても寄り添ってくれるような反応だ。だけど、同時に僕が甘くみていた部分に自分自身で気がつくような、的確な質問を投げてくる。
質問に答えながらフワッとした答えしか返せない自分が、本当に恥ずかしくなってきた。
目的地を決めて船を出したはずだけど、いざ漕ぎ出した船は、あっという間に霧に包まれてしまった。目指していたはずの景色も、よく目を凝らしてみると、それはただの蜃気楼だった。
だんだんと言葉が出なくなる僕に、池田さんは投げ掛ける。
「ライブハウスで十人くらいの規模なら、このままで全然大丈夫です。日吉さんの素晴らしさもナビさんの想いも伝わります。でも、もし百人集めようと思ったら、今のままでは正直難しいですね」
池田さんの言葉には、説得力があった。だてに何度もイベントを企画してきた訳じゃない。失敗も反省も、めちゃくちゃ経験してきたと言っていた。
僕は、あまりにも申し訳なくなってしまい、こんな段階で相談に来てしまったことを謝った。
最後に池田さんが言ってくれた言葉は、いまだに心に強く残っている。
『全ては想いから始まります。ナビさんの想いを現実にしていきましょう! 私も協力します』
その言葉は、準備不足だった申し訳なさと現実への不安とでいっぱいだった僕の気持ちに、光を当ててくれたような気がした。
ここから、水平線も見えない夜明け前の大海原に船を出す。帰り道に振り返ったツリーハウスは、まるで灯台のように見えた。
池田さんは、まだ霧のかかる海に、一筋の光で道を示してくれたのだ。
コンサートまで、約2ヶ月しかない。
まずは、コンセプト。それが決まらないことには、話が先に進まない。
すぐに、ひよさんに池田さんからもらったアドバイスなど、連絡をいれた。
まずは、ひよさんの想いと僕の想いを、しっかり確認して、向かう方向を揃えるところから始めなくては!
動けば変わる!
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一気に読みたい方はこちらから
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【えっ⁉️これ本当に即興なの⁉️】
日吉さんの即興演奏をぜひ、聞いてみてください🙇
🎹ピアニスト日吉真澄・即興演奏『ヨロンブルー』🎹
2/21(土)の与論島ピアノコンサートまでに1万再生目指しています✨
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このコンサートは、島の方も、島外の方も、オンラインからも、より多くの方に感動を届けたいという想いから、『入場無料・YouTubeでの無料配信』で開催します。
そのため、運営費はチケット収入ではなく、この企画に共感してくださる皆さんの「応援」という形(ご支援・スポンサー)により運営されています。
ご支援は、コンサート運営費、学校訪問演奏、会場づくり、そして子どもたちへとつながる企画に、大切に使わせていただきます。
今回は、「花の苗で応援するプロジェクト」も実施予定です。
コンサートをきっかけに、卒業式・入学式を花いっぱいで迎えられるよう、島の学校へ花の苗を届けたいと考えています。
なお、運営費用を超えて集まった分は、与論島内の学校や子育て支援団体など、島の子どもたちの未来のために寄付させていただきます。
詳細・応援方法は、公式ホームページに掲載しています。
もし心が動いたら、ぜひ応援という形で関わっていただき、皆さんと一緒に、このコンサートの結末を迎えられたら嬉しいです。
「日吉真澄・ピアノコンサート『瞬音』in 与論島」
主催:「すみ火焼肉サム」店主・ナビ








