【連載B/S⑨】前払い費用(prepaid expenses)の会計処理とは? | 【匠】会計・英語・ITを武器に!バンコクで働くバイリンガル米国公認会計士のブログ

【匠】会計・英語・ITを武器に!バンコクで働くバイリンガル米国公認会計士のブログ

バンコクを拠点に、世界中でビジネス・投資を行っている米国公認会計士が情報発信をするブログ。会計・英語・ITを駆使して、セミリタイアまでの過程を赤裸々に綴る。まずは、TOEIC900点を取得しませんか?

こんにちは。謙信です。

前回は、棚卸資産(inventories)を掛売りした際に、B/Sがどう変化するかを見てみました。現金販売との違いを理解して頂けたなら幸いです。現金(cash)が増えるか、売掛金(accounts receivable)が増えるかの違いでしたね。また、売掛金(accounts receivable)は債権(receivable)の一種で、顧客から代金を回収する権利でしたね。

また、現金販売でも掛売りでも、留保利益(retained earnings)が増える点は同じでしたね。

前回の図を再掲しておきます。


記事87_20120826掛売り時の会計処理



今回は、若干馴染みのないトピックとなるかもしれませんが、米国公認会計士(U.S.CPA)試験に合格する上では必須の知識ですので、分かりやすく解説できればと思います。


みなさん、「前払い」した金額は、B/S上にどのように表すかイメージ出来ますか?

例えば、$100を「前払い」した場合、もちろん現金(cash)が$100減りますよね。B/Sの貸借を一致させるためには、資産(assets)を$100増やすか、B/Sの右側を$100減らすかしなくてはいけませんね。B/Sの右側は、負債と株主資本なので、「前払い」した際に減らす訳にはいかないですよね。

答えは、資産(assets)を$100増やすです。「前払い」はあくまで、「前もって払った」だけであって、まだ事業単位(entity)の資産なんですね。

例えば、9月分の家賃を8月に「前払い」した場合、現金は減りますが、「9月に住む権利」を得たと考えて、この「9月に住む権利」は、資産として計上します。

要は、現金が住む権利に振り替わったようなイメージですね。

このように、「前払い」の結果、得た権利のようなものを前払い費用(prepaid expenses)と呼びます。

前払い費用(prepaid expenses)については、また改めて解説させて頂きますが、ここで注意しなければいけないのは、前払い費用(prepaid expenses)は資産(assets)であるにもかかわらず、費用(expenses)と呼ばれている点ですね。


さて、前置きが長くなりましたが、今回の例題です。

(9)
1月12日、Kenshin社は、この先1年分の地震保険(掛け捨て型)を$500で購入した。支払は現金で行った。


記事88_20120827前払い費用の会計処理



上記で解説したように、この先1年間、地震による被害を補償してもらう権利を購入したと考えて、前払い保険(prepaid insurance)を計上し、現金(cash)を$500減らします。

ちなみに、この前払い保険(prepaid insurance)は、無形資産(intangible asset)に分類されます。