「哀しみ」の塩業、エビ養殖業 | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

コメ1キロを購入するためには、天然塩10キロ以上を売らなければならない」。

 一年で最も暑い現在「暑期」のメコンデルタでは例年以上に長く晴天が続いています。そして、メコン水系の旱魃も続きます。通常、晴天が続く「暑期」の気候条件は天然塩生産に最適です。しかし、生産量が増加しすぎると、価格は暴落するのが市場経済の原則でもあります。

 現在、南部ベトナムのバクリュウ市カマウ市など天然塩の産地では、塩業業者が大量(13万トン)の塩在庫を抱えています。更に、例年以上の高温と水位低下はエビ養殖業者にも被害を与えています。

 塩の価格は昨年の1キロ当たり2000-3000ドン(約10-15円)から現在は1キロ当たり400-700ドン(約2円-3円50銭)まで下落しました。塩業業者は塩を作れば作るほど損失が拡大する状況にあるため、塩田の塩は(回収のための)労賃を抑えるため放置されています。

 また、例年以上の高温は推定400ヘクタールに及ぶエビ養殖池にも被害を及ぼしています。水温上昇と水位下降そして水温の大きな昼夜差で多くのエビが死んでしまうからです。エビ養殖業者のなかには炎天下でのエビ死滅を恐れて、まだ十分に育っていないにもかかわらずコスト割れの低価格で市場に売りにだすものもいます。