サイゴン証券(SSI)、3月25日(1対1無償増資)権利落ち | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 昨日25日はサイゴン証券(SSI)の1対1無償増資の権利落ち日でした。SSIはホーチミン市本拠のベトナム最大の証券会社です。ベトナムでは(自然)人または法人はベトナム国内で一個しか口座を保有できません。つまり、日本のように、N証券で口座設定して、S証券やR証券でも口座を設定するという複数口座の保有は認められていません。ベトナムは証券規制が強いわけです。

 そうしたなかで、SSIは証券口座数のシェア20%を占め、売買代金ベースでも15-20%のシェアを持っています。同社は、2008年9月に大和証券が10.97%の株式取得をしたほか、ANZ銀行(オーストラリア・ニュージーランド銀行)も18.35%の株式を保有しています。

 2009年の純利益は株式市場回復の追い風のなか前年比218%増の8040億ドンでした。1対1の無償増資の権利落日の25日は、24日株価が8万7500ドンのため権利落ち理論価格は4万3750ドンになります。25日、SSIの株価は前日比4万1600ドン安の4万5900ドンでしたが、実質値上がりしたことになります。

 証券株の場合は、市場出来高の増減によって極端に業績にブレがでるところに特徴があります。したがって、昨年後半からベトナム株式市場は急回復に転じたことが同社にとっては「吉」と出ています。今後については、ホーチミン証券取引所(HOSE)の取引時間帯が国際基準に沿って後場にも拡大するというニュースは同社にとっては良いニュースです。

 また、ベトナムは現在、「増資ブーム」にあり、今後、銀行株を始めとして増資希望企業が次々に出てくると思われます。アンダーライティング部門でも大手証券会社は順風かもしれません。

 注意点は、証券市場が逆風になった時に影響を受けることです。PER(株価収益率)が20倍弱と高いのも気になります。また、ベトナム企業の企業情報開示意識改革のためにも率先して、企業情報の開示を行って欲しいものです。