(ベトナム)2010年インフレ率10%以下は達成困難(?) | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 ベトナム統計局(GSO)によると、2月のインフレ率(CPI)は前月比1.96%の上昇でした。この上昇率は昨年12月比、前年同月比ではそれぞれ3.35%、8.46%の上昇となります。(2月CPIの)前月比で1.96%の上昇は、2008年7月以降で最大の上昇率です。

 加えて、(ベトナムでは)3月1日からの公共料金(水道料金、電気料金)の値上げを実施しているます。地元紙は、例えばホーチミン市人民委員会は3月1日から水道料金(1立方メートル当たり1100-2200ドンの)値上げを実施しただけではなく、2013年までの3年間で段階的に水道料金の値上げの実施計画を同時に決定したと報道しています。また、電気料金も3月1日から約6%の値上げが実施されました。更にガソリン価格についても値上げが実施されています。各紙がこうした(政府による)重要な公共料金やガソリンの値上げを大きく報道しないのはお国柄でしょう。

 水道料金、電気料金、ガソリン価格の値上げ実施は今後多くの業界に波及することが予想されます。鉄鋼協会では電気料金の値上げを受けて鉄鋼価格の値上げ実施を既に発表しています。また、セメント協会でも石炭、電気料金の値上がりによる生産コスト上昇を理由にセメント価格の値上げを実施する構えです。更に、製紙業界でも3月から販売価格の(値上げ調整を)実施します。加えて、ガソリン価格上昇でタクシー会社や公共バス料金にも値上げの動きがあります。

 ベトコムバンク(VCB)では3月1日からの電気、水道など公共料金の値上げと年初2ヶ月間でのCPI上昇率が2010年目標10%の内、3.35%に達したことから、「政府目標の2010年のインフレ率10%以下の達成は非常に難しい状況」とみています。