ベトナムは労働力の輸出国です。ベトナム労働省によると現時点(2009年12月現在)で海外で働いているベトナム人労働者数は7万5000人とのことです。しかし、7万5000人は政府の2009年労働者海外派遣数目標の83%にしか相当しません。労働省は目標不達成の理由として「世界景気後退」と「人材水準」が受け入れ国の要求を満たさなかったことを挙げています。
海外で働くベトナム人労働者数は最近30年間の累計では100万人以上に上ります。労働者側にとっては海外で働くことは条件の良い雇用先を確保できるメリットがあり、国(ベトナム)にとっては有力な外貨獲得手段となっています。統計上、年間平均で7万7000人(2003年-2009年)のベトナム人労働者が海外で働き、本国への送金額は年間17-20億ドルに達しています。しかし、(労働者の)受け入れ国側からは一部の労働者の「専門技術知識の低さ」、「言語能力の低さ」、そして「規律意識の欠如」などが指摘されています。
ベトナム労働派遣協会(Viet Nam Labour Export Association)では派遣前に海外派遣労働者の専門技術、言語力、規律意識を訓練するために、政府に優秀な教育スタッフの提供を訴えているようです。つまり、派遣前訓練を充実させようという試みです。しかし、政府は現段階では労働者の質の向上よりも、海外への労働者派遣やその保護のための「法整備」や労働者受け入れ国の「新規開拓」で手一杯というのが実情のようです。
現在、労働者の受け入れ国としては台湾、特に台湾の製造業の受け入れ数が最も多くなっています。また、経済封鎖が解かれたリビアも国家再建のためベトナムの労働者を必要としています。日本への派遣労働者数(2007年-2008年)は年間6,000人程度です。日本へはこれまでの累計3万人超の労働者が派遣されている」ます。更にマレーシア、韓国、中東各国、加えて豪州、ニュージーランド、カナダ、フィンランド、スウェーデンなどもベトナム人労働者の受け入れをする有望国として挙げられています。
今年(2010年)、ベトナムは中東での警備員要員5000名を含む8万5000人の労働者を海外派遣することを目標としています。