ベトナムのスーパー・「株式リッチ」 | ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ

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ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリスト・竹内浩一が、ベトナムを中心に世界の金融市場を見渡すブログです。

 ベトナムの富裕層には「株式リッチ」が多くなっています。2009年末の株式資産評価額トップ100人の合計株式評価額は75兆ドンでした。「株式リッチ」が増加した要因の一つは、2009年の株式市場が急激に回復をしたことにあります。ベトナムの代表的な株価指数であるVN指数でみると、2009年のVN指数は56.8%上昇、昨年2月の(ザラバ)最安値からは123%の大幅上昇をみせました。

 ベトナム語メディアの「ビナエクスプレス」によれば、ベトナムトップの株式資産評価額を誇るのは、不動産を核とする産業コングロマリットホアン・アイン・ザー・ライ(HAG)のオーナーのドアン・グエン・ドュク(Doan Nguyen Duc)氏です。ホーチミン証券取引所(HOSE)の発表データによると、同氏のHAG保有株式評価額は11兆5000億ドン。2008年の株式評価額は6兆1600億ドンだったため、同氏が保有する株式の資産価値はほぼ倍増したことになります。

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 HAGが建設のビル(ナムサイゴンにて撮影)。

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 これもHAGが建設したビルだろう。HAGの名称が大きくビルに書いてある(ナムサイゴンにて撮影)。ベトナム版森ビルか?

 2009年のHAGは24%の上昇にすぎませんでしたが、同氏は株価下落時に大幅にHAG株の「買い増し」を実施した模様で、現在は同社株の50%を保有しています。ベトナム初の自家用飛行機(Beechcraft King Air 350)を保有するドアン・グエン・ドュク氏は、「世界一のお金持ちになるのが私の夢だ」と語っています。・・・日本人ならば、そうは思っていても世間の目を気にしてこういう発言はしないでしょう。ベトナム人は資本主義に適応しています。

(付記)
 仮に、日本人投資家が新興国ベトナムが化ける(ベトナムや台湾は日本にとって地政学的に非常に重要な国です)のを期待して不動産の上昇にベットするならば、同社(HAG)の株式を購入すれば良いのです。わざわざベトナムのアパートや一戸建てなどの不動産投資までする必要がある人は限られると思います。

 第2位はビンコム株式会社(VIC)とビンパールランド株式会社(VPL)の大株主で合計株式評価額9兆ドンのファム・ニャット・ヴオン(Pham Nhat Vuong)氏です。そして、第3位はキンバック都市開発(KBC)議長のダン・タイン・タム(Dang Thanh Tam)氏。同氏はKBCの他、サイゴン・クイニョン鉱産(SQC)、サイゴン通信技術(SGT)、タンタオ工業投資(ITA)など合計株式評価額4兆7000億ドンを保有しています。

 HOSE発表の保有株式評価額ランキングは決して、正確無比な「リッチ」ランキングではありません。しかし、株式がベトナムで非常に重要なアセット(資産)となっていることは感じ取れると思います。